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  • 自分が良いなと思うもの

    自分が良いなと思うものをただ紹介していくだけのものです。

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厨房より狭い人生の一日

パン職人のAさんは美味しいパンを焼けるが、赤ちゃんのときは何も焼けなかった。小学生のときはモチを焼いた。中学生のときに始めてパンを焼いた。 しかし、出来上がったパンは焦げており全く美味しくなかったと言う。それが今は世界中の人がAさんのパンを食べる。同じ人間から生まれる同じパンのはずなのに、全然違う。 それはAさんが何千、何億とパンを焼いてきてより美味しいパンを作るために試行錯誤してきたからだ。 私はというと、きっと人生の一日一日が、中学生の焦げたパンのまま、何の美味しく

    • 私が全身砂で出来た怪物だったら「砂がこぼれ落ちるように」と表現したかもしれないけど私は肉とか血とかで出来た人間で「肉片がこぼれ落ちるように」という表現で、無駄に過ぎていく『時間』に殺されている。 いつかどこかで私が死ぬタイミングが10年後だとしたら、今日私は3652分の1の肉片をえぐり取られたということになる。もちろんこれはあくまで比喩であり何か不慮の事故でもない限り肉片は私が死ぬ1秒前まであり続けるだろう。 しかしどちらにせよ同じことだ。現在進行系で私は死んでいくし、君

      • タイトル思いつかなかったです

        洗濯機が回る音がとまった。世界が終わるときはどんな音がするんだろう。そう思ってすごくつまらないことを考えてしまう人間になってしまったと思った。世界が終わる音なんかよりも明日の朝ごはんの方が大事で、世界とか~人間は~、とか不相応な主語を持ち出すときは大抵疲れている。そうだ、私は疲れている。夜の12時過ぎに美味しいチョコレートを食べるくらいには疲れている。 文章を書いていると「自分をよく見せよう」とか「文章を上手く書こう」とか、そういう意識が生まれるけど、それは結構しんどい。

        • おもしろいものはつくりものばかり

          「おもしろい」って感じるものは基本的につくりものばかりだなと思った。みんなが語る「おもしろい」もつくりものばかりだし、私が語る「おもしろい」もつくりものばかりだ。 人工物じゃない天然物のおもしろいものって何だろうね。たぶんそういうのって「自然ってすごいよねー」で全部帰結してしまうような気がしている。生命の神秘とか宇宙の広大さとかそういうの。 人生のすべての時間をそういった自然に対する考察に費やす人はいままで何百人何千人と出てきた。一冊の本を80年かけて読む人はいないから、

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          PEOPLE1「常夜燈」

          あなたに、今日の「良いな」と思ったものをシェアします。「良いな」と思ったということは、私の心が動かされたということです。私の心が動かされたということは、あなたの心も何ミリか動かすかもしれません。レシートの裏に書かれた文章でも、路地裏に捨てられた看板でも、小説でも、音楽でも、漫画でも私が見た世界をシェアします。 今日良いなと思ったのはPEOPLE1の「常夜燈」という曲です。MVも合わせてどうぞ。 単純に良い曲だなあと思うのですが、特に私はこの歌詞の他人事のような距離感が好き

          PEOPLE1「常夜燈」

          夜が少し低くなる

          1日に一体どのくらいの喜びや悲しみ、怒り、苦しみ、嫉妬、といった感情が自分の中で電光石火のように発生しているのだろうと最近考えるようになった。 このところ私は感情を隠さなくなった。感情を隠さなくなったというより体の表面や顔の皮膚まで感情が出なくなった。 おかしいことでも笑わないし、悲しいことでも泣かなくなった。 ただエイリアンかロボットか冷蔵庫か、人間以外のものに間違えられないように時折顔の皮膚をそれっぽく動かすだけだった。 とはいえ感情自体は絶滅したわけではなかった

          夜が少し低くなる

          圧倒的に足りないよ

          いま書きたい感情と、冷蔵庫にある言葉の数が釣り合っていないのですが、今日は最高速度で行きたいです。突き抜けて、燃え尽きて、消失したい。7月の隕石みたいに。 それにしても感情と書くと、喜怒哀楽みたいなことだったり、良いことがあったり、悪いことがあったりとか、思われるかもしれませんが、そういうのではなく、どちらかといえば気分に近いものだと思います。自給自足で肉を食べたいのに、焼きそばしか作れないので、焼きそばをハンバークにする?というか、書くスピードを上げることで対応できるんじ

          圧倒的に足りないよ

          夢の恵み

           古本の間に白い紙がはさまっていた。2匹の魚がよりそっている絵が描かれていて、「夢の恵み」という筆跡がある。  なんとなく怖くなってネットで調べてみた。それらしきものは見つからない。検索の仕方が悪いのかと考えて二度三度試してみるも、徒労だった。ただのメモ用紙である可能性が高い。それでも妙に気になってしまうのは、まがまがしいものを感じるとかそういうわけではなく、単純に心配性だからだ。  古本にはひどく色々なものがはさまっている。書店なら買う前に気づくが、ネットだとそうもいか

          夢の恵み

          夢の設計図

          布団には夢の設計図が収められており、必要に応じて図面を人間の脳に転写することで睡眠を誘発し、それによって夢を見ます。 夢の中を流れる河川と街並みは、夢生活者にとっては特別な空間です。河川へ下りる階段は、現実世界を反映しており凝ったものになる場合もありますが、いずれにしてもこれを通して、夢の流動音と慌ただしさが、この場所を現実だと錯覚させます。 河川を覗き込めば、水底の静かで落ち着いたリズムに持ち込まれることになります。実際の現実は水底の小石に表現されており、処理できない記

          夢の設計図

          文章はおまけです

          今日も労働でした。椅子にもたれながら、重量に負けてだらりとしていたから手足が2,3ミリ伸びた気がします。ストレスグラフも伸びたし、考えようとしても曖昧で形にならず、水びたしにされた活字みたいでした。 ぼくは書くことが好きです。睡眠時間を削ってでも書こうとするくらいに。 明日も仕事じゃなくて繁忙期じゃなかったら、もっとゆっくりじっくり書きます。ただ、その好きの程度で言えば、お酒好きの人が毎日晩酌するようなものじゃないかな。 この文章をいま読んでいる人は、フォロワーさんかも

          文章はおまけです

          カルピスだって濁ってる

          充電が10%しかないスマホを握りしめて歯を磨きながら片手間でこの文章を書いている。 コンパスで描いた円のような明確なやる気の無さで、割り切れない思いが胸の中にもやもやと。 考えることが好きだと思っていたけど、本当は何も考えたくなかったのかもしれない。円をぐるぐるなぞってまた元の位置。 自分の世界がフィクションだと気づいて抜け出そうとするジムキャリーの映画があるけれど、ぼくはここが現実だとわかっていて、現実から抜け出せないか考えているのだと思う。 ただ、ネットは自分の中

          カルピスだって濁ってる

          自己サメ

           このまえ何かの手違いなのか冷凍庫に豆腐が入ってまして、ふくれあがってカチンコチンになった豆腐を見ながら、泥棒の仕業か!と思ったのですけど、現金が盗まれた形跡もないし、仮に泥棒だとしても意図がわからないので、これたぶん私の仕業です。  なんか緑色っていうか腐った色っていうか、豆腐ゾンビみたいな感じになっていました。しかもわりと高い豆腐(ゆっても100円)だったので、なおさらやってしまった感が強い。レベルでいうところの37ですか。弱点があんまりない代わりに、経験値がわりと多め

          自己サメ

          ごめん牛乳のこと考えていた

          何も考えていないから頭の中が空っぽだから、犬のことを猫だと見間違えるし、自分がいまどこにいるか正直よくわからない。 みんな何をしようとしているのだろう。何を求めているのだろう。何に価値があるのかもわからない。ただ一日が平穏に過ぎていくこと。それだけを求める。 いまテンションがそんなに高くない。というか死んでいる。ここから文章を書き連ねていくことで、テンションをバク上げすることができたら、もしバク上げすることができたら、今日はゆっくり眠れる気がする。 だから僕の中にあるD

          ごめん牛乳のこと考えていた

          元気と肌がありあまっているから

          電車のシートでぎゅうぎゅうで眼をつむるスマートフォンの呼び出し音で表示される知り合いの名前と流動する空気のなか怪我した親指で動かす短文とアナウンスが告げる到着の駅と光っているみたいなホームのフェンス越しに見える車のヘッドライトが19:13の階段に吸い込まれていくスーツ姿に紛れこむ剥げたSuicaの文字に改札の向こう側にある押したことのないスタンプ台(駅の名前と風景が合成されていて、看板には40個くらいのスタンプの一覧がのっている。パット見だと違いがわからない。ぜんぶ押したこと

          元気と肌がありあまっているから

          noteVR

          noteのバッジが30個溜まったので、ついにぼくのnoteにもVR機能が解放されました。わーい。気になっていた報酬の一つではあったのですが、毎日を生きるのが楽しすぎて完全に忘れてましたね。呼吸と鼓動楽しすぎ。やめようとすると苦しくなるので完全に生に対して依存傾向ありますね。 さっそくVR機能を試してレビューを書きたいです。ただ、先月VR空間にPSVRを置き忘れてしまうという凡ミスをしまして、手持ちのVRが無いんですよ。 そうなるとVR装置を作るか、買うか、現実世界をVRに

          pan

           ぼくはパンを生で食べる。食パンでさえたまに焼かないときがある。これも怠惰ゆえだけど、そのままのほうがパンの味ってよくわかるんじゃないかなと思っている。  だからたまにオーブントースターで焼いたりすると、慣れないものだからつまみを回しすぎて焦がしてしまう。バターロールパンもそのうちの犠牲者の一人だった。表面が黒く覆われていて、手を伸ばすとものすごく熱い。バターのいい匂いもするけど少々焦げくさい。お腹が空いているしもったいないしで食べたけど、ちょっと損した気分だった。  と