[003]タナロット
その日、みさきは祖父の海斗と一緒に地元の市場で買い物をしていた。市場ではいつものルートでいつもの店に寄り、いつもの食料を買いこむ。
バリに移住して2年がたつ。5歳になったみさきは、文字が読めるようになっていた。そうすると、店員さんの名札にある共通点に気がつく。
「ワヤン」という名前が書かれた名札を次々と見つけるたび、みさきは驚いた。
「ねえ、おじいちゃん、ここにいるワヤンさん、みんな同じ名前なの?」と彼女は尋ねた。祖父は笑いながら「バリではワヤンって名前がとても多いんだよ」と