突き詰める、人生も商品づくりも | 無添加ポタージュ生みの親にインタビュー
SNSで偶然見かけた人を、応援したいと感じた。自ら作った商品に全力で挑んでおり、自信たっぷりに語る姿。私にはないものを持つ、憧れの存在だ。そんな憧れの人がどんな想いで商品を作ったのか。ありがたいことに直接会ってお話する機会をいただいた。私も微力ながら力になりたくて、記事にしてnoteに公開する。
あるアイドルが、「カップラーメンは味が濃すぎて食べきれない」と言っていた。おうちごはんは卵焼きとオリーブオイルをかけたレタス。塩分はむくみになるから極力取らない。薄味な食生活を送る彼女にとって、ラーメンは味が濃すぎる。
味覚は普段口にするものによって変わり、好き嫌いも人それぞれ。
だから、「食」の世界で売上を立てるのは難しい。
そんな食ビジネスにおいて存在感を増している男性がいる。西谷友孝さんだ。栄養価の高い植物「モリンガ」を使ったポタージュ作りに挑戦している。
彼はクラウドファンディングに挑戦した。目標額に対し、なんと181%の資金を集めた。多くの人から応援を受ける西谷さんはどのような人なのか。西谷さんのモリンガポタージュはどんな味なのか。尋ね、味わい、インタビューしてみた。
薬の苦さが消え、コース料理のスープのようななめらかさに
「これがモリンガの粉末です。ちょっと舐めてみます?」そう話す西谷さんからスプーンを受け取り口に運んだ。
その途端、むせた。薬のような苦さだ。モリンガは食物繊維や鉄分をはじめとして、なんと90種類の栄養素が混ざりあっているとのこと。まさに良薬口に苦し。
次に西谷さんが取り出したのは、地元の津軽りんごジュースと、スーパーでは見かけない珍しいパッケージの豆乳だ。
「混ぜてみてください。入れる量を少しずつ増やしてみると、味がだんだん変わるのが分かるんですよ」
リンゴジュースを2滴入れてみた。本当だ。苦みが薄まり、すっきりと喉を通った。次は豆乳。ふわりと甘く感じた。
続けて、完成したポタージュをご馳走になった。濃厚でおいしい。苦い粉末とはまるで別物だ。塩味があるが、強すぎず舌に優しい。コース料理の最初に出てくるような、繊細な舌触りだった。朝食を抜いた私の胃が優しく満たされていく。飲み干すと満足感があった。ごはんやパンがなくても十分だ。
「モリンガは複数回ミルにかけました。これくらいの粒度がちょうどいいんですよ、これ以上細かいと溶けずに残ってしまうので。りんごジュースは、青森の実家から届いてたまたま使ったら大当たりで。豆乳はこの種類じゃないとこの味になりません」
何度も何度も試行錯誤して、やっとたどり着いたのがこの味なのだという。「大変で、どうしようかと病んでましたよ(笑)」。それでもおいしさを追求し続けられた西谷さんは、どんな人なのだろうか。
持久走のように粘りつづけられる
西谷さんは以前、法人向け会計システムの営業をしていた。毎日のように顧客先に足を運んだ。サラリーマンらしい慌ただしい日々と並行して、なんと終業後に専門学校に通っていたという。
「経理の知識が結構必要なんですよ。(相手先の)担当者は経理なんで。共通言語がないと話しできないので」。終業後に電車に飛び乗り、走って校舎まで向かった。授業料はすべて自腹だ。残業で欠席した週は、土日返上で補講を受けた。
別の時期には、固定資産台帳のシステム管理者として、とある大企業の施設に常駐していた。施設にいながらスキマ時間を有効活用しようと、西谷さんは資格取得を目指した。せっかくなら「仕事に直結する資格を」と、プログラミング言語を習得。「資格ゲッターなんですよ」。
仕事と並行して勉強を重ね、資格を取得する。簡単なことではない。途中で諦める人が少なくないはずだ。しかし、西谷さんはやり切る体力と根気強さを持ち合わせている。そんな西谷さんだからこそ、モリンガポタージュ作りにおいて調合と試食を数えきれないほど繰り返し、苦さをおいしさに転じさせる切り口を見い出せたのだろう。
行動指針は「やる」こと
サラリーマン歴が長かった西谷さんだが、なんと新卒時は牧場で働いていたという。
青森県出身で、高校生のころ都会に憧れていた。就職活動の目標は「上京」だった。柔道で鍛えた体力が決め手となり、埼玉県警に内定することができた。
ところが、高校卒業後に向かったのは埼玉ではなかった。たまたま手に取った本でサラブレッドの高貴さに魅かれ、「一回行ってみたほうがいいかも」と感じたという。直感に従い、県警の内定を辞退して北海道の牧場に就職したのだ。
極寒に耐えながら夜通し馬の世話をした。休みの日でさえすぐ呼び出され、えさやりや掃除をする。馬に振り回される日々だった。あまりの辛さと寒さがゆえに、一年経たずに転職した。
それでも西谷さんは「牧場を選んでよかった」と思っている。「やらない後悔よりも、やって絶賛後悔するっていうのを繰り返しているんです」。それが行動指針なのだ。
「何に」人生をかけるか、悩んで見つけた
やりたいこと、やったほうがいいと思ったことは、絶対にやる。そんな西谷さんだが、どうしてモリンガポタージュを「やる」と決めたのだろうか。
牧場やサラリーマン、資格取得と、西谷さんのこれまでのキャリアは充実していたように見える。しかし、西谷さん自身は満足できなかった。「自分が社会的に何か残したって言えないんですよ。ただ人の仕事の手伝いみたいなもんなんでね」。
まずは社会にインパクトを与えている人からヒントを得ようと、TEDxを視聴した。そこで、ビジネスで社会課題を解決するボーダレスジャパン社長・田口氏の取り組みに感銘を受けた。以来、社会に貢献できる形のビジネスをしようと強く感じるようになった。
西谷さんは、パナソニックなど3社が主催の「次の100年をつくるプログラム」100BANCHに参加した。そのなかで、ワークショップに参加した。無電地域でできるビジネスのアイディア創出がテーマだった。訪れたミャンマーで出会ったのが、モリンガだった。
モリンガはアジアやアフリカの貧困地域に多く生息しており、購入することで彼らの収入創出に繋がる。また、モリンガの木はCO2を吸収しやすい。ひとりの人間が年間に排出するCO2を、たった2本のモリンガが吸収できるという。
ただしモリンガは日本で知名度が低く、需要がない。普通なら、ここで諦めて次の手を探すだろう。だが西谷さんは、モリンガを使って人生をかけた挑戦をすると決めた。なぜなら「誰もやってない。課題感がたくさんあるからこそ、伸びしろがあるだろうなと思って」。
では、モリンガをどのような形で消費者に届けるのか。お茶、ピザ生地、ラーメン…数多い選択肢を前に、西谷さんがこだわったのは「栄養のある食をライフスタイルに定着させる」ことだ。豊富なモリンガの栄養素を最大限体に吸収させたい。嗜好品としてでなく、「食事」として提供することで生活に定着してほしい。その願いのもと、ポタージュを選んだ。
こうして西谷さんは社会にも、環境にも、体にもいいポタージュを完成させた。
スナックのママや筋肉仲間も!?個性豊かな仲間が応援
西谷さんはポタージュを広く届けるために、クラウドファンディングに挑戦した。結果は大成功。目標を大きく上回るかたちで商品化に向けた資金を調達した。その支援者は、多様だ。
まずは食の世界の人たち。栄養士や中華料理店オーナー、スナックのママまで、西谷さんが起業準備で出会った面々がこぞって応援している。オレンジページの代表取締役も支援者のひとりだ。体も心も社会も豊かにする、そんなビジョンに共感したという。
他にも、地元青森の記者や若手の社会起業家が支援している。西谷さんの熱意や、社会課題解決に向けたモリンガの持つ可能性に共感した人たちだ。
さらに、筋肉仲間もいる。柔道経験のある西谷さんは、渋谷のゴールドジムに通っていた。ジムでの出会いがきっかけで親交を深めたゴツい仲間も力強い応援団だ。
西谷さんは会社員の頃から、社内に留まらず新しい環境に出向き、人との関係を築くことを大切にしていた。週末は趣味の釣りに出かけるとき、道中を共にしたのはFacebookコミュニティで知り合った仲間たちだった。
知り合った人たちが西谷さんを応援する気持ちが良く分かる。西谷さんには夢がある。自分よがりでなく、社会のためになるビジョンだ。夢を語るだけでなく、苦労して形にした。そして、その経験を言葉で共有してくれる。また会いたい。もっと知りたい。インタビューを通してそう感じた。
おいしい!食べてみてほしい!モリンガのポタージュ
貧困地域の収入に繋がる。CO2を吸収する。栄養満点。それがモリンガだ。しかし、苦い。この唯一の弱点を西谷さんは解決し、無添加というやさしさを添えて食卓に届ける。口当たりがなめらかなポタージュ。体が喜び、社会貢献に繋がる満足感も得ることができる。ぜひ飲んでみてほしい。
▼ポタージュの詳細はこちらから
▼西谷さんのTwitter
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