あの暑い日も走り続けた。
現在、28歳。IT企業でマーケティングをするOL。
学生時代と比べると、10キロ近く太って「なにやってるんだろう」なんて思う日々。
そんな私も15年前は炎天下の中、真っ黒になり走り続けるハンドボール女子だった。
中学の3年間で何度辞めようと思っただろう。
実際に監督に「部活辞めます。」って言ったのも3回ほどあった気がする。
なんだかんだ続けられた理由も監督なんだけどね。
あれは中学2年の夏だった。
夏休みの部活に行くときは決まって『今日の練習メニュー』を当てるという無駄な会話で盛り上がる。
ある日は最強にきついメニューを考えたら、練習が楽に感じるのではないかとダッシュ系のメニューと持久力系のメニューの後にフットワークというメニューを考えたり(考えてるだけで疲れた)、練習がオフになる方法を考えたりしていた。
「先生がカービィに吸い込まれればいいのに!」
当時、日曜日の朝、ちょうど部活前にご飯を食べてる時間にカービィのアニメをしていて、カービィ最強じゃん!みたいな話の中からでた一言。
でも、この一言は一瞬で絶望に変わる。
「でも、先生がカービィに吸い込まれたら、最強になっちゃうよ」
カービィはピンクでかわいいが、吸い込むと吸い込んだものの特徴をゲットできて、より強くなる。
普通でも怖い先生をカービィが吸い込んだら・・・・(絶望)
「めっちゃ走らせそうだね・・・」
という話でこの話は終わった気がする。
そんなくだらない話で盛り上がっていたわたしたちのチームは、先生をカービィに吸い込ませようとするくらいきつい練習を乗り越え、中学3年生になった。
選手同士ぶつかったり、好きな人がかぶって冷戦になったり、いろんなことがあったけど、最終的には県大会のみならず、地方大会も優勝し、なかなかの結果を出したんじゃないかと思う。
--
あの時のがんばりを振り返ると、今わたしは果たして頑張れているのだろうかと不安になることがある。
若かったとはいえども、あの時、あんなに頑張れた私の情熱や根性はどこにいってしまったのだろう。
新型コロナウイルスで学生の大会がどんどん中止になっている。
今一番輝ける、頑張れる年代の子供たちの目標にしていた大会がなくなるのは、頭では「しょうがない」と思いつつも、複雑な気持ちになる。
あの頃のわたしたちのように、今の学生のみんなにも10年後、20年後に「なにかに熱中した」という思い出話が残ることを願っている。