月曜モカ子の私的モチーフvol.239「”SATC新章”と”宵巴里”」
えっと、著作権の関係でSATCの写真がここに画像として載せられないと思うのでトップは昨日のレディオアイコンになりました(笑)
今週は【OFF AIR】その前の週の内容を動画で振り返るアフタートークですがここでもSATC新章の話しています。
昨日は実は、嬉しいことというか「宵巴里」を完全脱稿した。脱稿脱稿って何回も言ってきたと思うんだけど、年末の脱稿の際に、最終のモデル確認とかあってそこから微調整を繰り返していたら作品がちょっとおかしくなってしまい、それをもう一度時間を空けて直したのが今年の1月、それを時間をあけて壷井さんが確認してくれて2月(二人とも作品に近いところにいすぎるので時にこうして距離をとる)、そして返ってきた壷井さんのフィードバックをもとに、最終の直しをして、あとがきを書き(後書きをつけることになりました)、それを終えた時の感慨深さ。
これで大きな直しがなかったらとうとうゲラになるんです!
刊行は店の3周年となる6月1日を目指すことになりました。
わたしが前回単行本を出したのは2021年5月なのでなんと十年ぶり!
(その後ライトノベルを2016年頭まではやってたけどね)
まさか本格的な小説を十年も出さないと思ってなかったけどね。
デビューの直前から壷井さんを知ってるので、
あの頃29歳&24歳だったわたし達も、もう今は立派な大人です。
本ができるときわたしは43歳だね。
そんなことを思いながら「宵巴里」を頭から最後まで読み抜いたあと、
最後そこだけ見ていなかったSATC新章の、最終回を観た。
もう、なんでこんな風に作れるんだっていうくらい、
素晴らしかった。
なんかこう、幸せなことだよなあって。追いかけ続けた作品が、
しばらくの沈黙の後、新しいシリーズを作ってくれて、
それが、信じられないくらい素晴らしいって。
そのまま流れでドキュメンタリーも見たんだけど、
キャリーの役のサラジェシカパーカーが、ビッグと住んでいる家の小道具に「美しすぎてお店みたい」
「キャリーのあの膨大なガラクタはどこ!? ってみんな思うから」
って言って、マノロや高級シューズの隙間に古い雑誌やCDや、安っぽいアクセサリーとかをごちゃごちゃ配置するように提案していたところとか、とても共感持てたなあ。
物作りってやっぱりディティールで、そこを注力すると全体にリアリズムが生まれる。
実はわたしも昨日の改稿では煮卵を食べるシーンを、さらに細かく描いてた。タッパーから出して皿を探して入れて食べるその流れを、会話の合間に丁寧に入れていくことでなんかその時の感じが物語上にすごく五感を伴って再現されるんだよね。
29歳で作家になって、当時は派手で華やかなものが再来してた時代だったから、やっぱり第1話35歳から始まるキャリーの暮らしや生き様っていうのはアーバン系私小説作家(元田舎者)としては、目指していきたいところだったりして、キャリーをイメージしてあの恵比寿橋の明治通り沿いの家にも住んでいたし、こう、SATCとともに駆けてきた作家生活初期、みたいなものが確かにあるので、この新章においてもキャリーが錆びずに、キャリーであり続けているということは、わたしの中でこの作品をさらに強く「バイブル化」した。
作品そのものに対するフラットな評価って賛否両論あるだろうと思うけど、ずっと追いかけ続けたファンとしては、ファンのことを本当によくわかって作ってくれたなあって、思うよ。作っている人が、作品を心から愛して心から作品とともに生きてきた証だね。
そして非常に嬉しかったのは、
「SATCがやっぱりこの方向でこんなに素晴らしいのであれば「宵巴里」って間違ってないのかも」
って思えたことかな。
この感覚はなんていうか、
どこからか見えない何かがわたしの心の中のろうそくに「確信」という火を、そっ、と、灯してくれた感じで、これは神様のギフトだと思った。
感覚って変えられないから。
だからこそわたしは「わたしと音楽、恋と世界」を強く感じるあまりに、
「宵巴里」を疑い続け、悩み続け、苦しい改稿を重ねてきたのだ。
こんな風にPOPにしてわたしの文学って死なない?とか。笑
くだらない「自分の哲学」との戦いの連続。
読みにくい作品書いても意味ないのにね。
でも昨日ふと「宵巴里ってつまりはSATC新章なんじゃないか」
って思った。
なんていうのかな、わたしはSATCが大好きだけどもうSATC的な時代じゃないと思うからSATC的なものを書いても仕方ないと思っていたのよ。
で、だからこそSATCの新章が錆びないか、他人事ながら気になっていたんだけど、実際はすごくそれらを超えてきたのよね。だからSATCとSATC新章って根幹はブレてないんだけど、ある意味時代をちゃんと見つめてて。
そういう意味で宵巴里は旧作のSATCに仕上がったらダメなんだけど、
新章的に仕上がってたら、成功なんだよね。
で、そうできてるんじゃない、あなた!
って、自分に対して思った。笑。
これ、わたしがそう思えることが何より大事で、
だから不恰好だったりありのままだったり生活感ありすぎたりして、
きっといいんだよ!って、あたらめて感じた、かなあ。
それらの感覚の答え合わせはいよいよ6月から、始まる。
わたしの2021年、10年ぶりに生み出した作品ははSATC新章だったのか、
あるいは・・・・笑
そうして”Just Like That..."(こんなふうに)
わたしはわたしの新しい著書を祝って、白ワインを飲んだ。
<モチーフvol.239「"SATC新章"と”宵巴里”」2022.3.14>
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SATCについても序盤に話しています。
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☆モチーフとは動機、理由、主題という意味のフランス語の単語です。
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長く絶版になっていたわたしのデビュー作「蝶番」と2012年の渾身作「誰かJuneを知らないか」がこの度、幻冬舎から電子出版されました!わたしの文章面白いなと思ってくれた方はぜひそちらを読んでいただけたら嬉しいの極みでございます!