一陽来復の娘 18
こちらの続きとなります↑
※こちらのお話は少し長めのお話しになっています。ご注意下さい。(2224文字)
彼は、優しく微笑むと、
「あなたの思いは、わかっていたよ。
彼の為に、私の言葉を紡ぎながら、
心の深い所で、あなたは、自分の役割を手放そうとしていたね。
彼が、どれだけ、救われた、ありがとう、
などと言っても、あなたは…」
確かに、「その方」には、その時に、尊い方からのお言葉が必要でした。
それだけのものを背負った方でした。
でも、いずれ、ご自身で気づく事も出来うる方でもありました。
「…あなたの思いは最もであるし、
私も、" 正しく "見れなくなっている人々から、
誤解され、迫害された事などもある。とても昔のことだけれどね。
けれど…
最期の、最後の時まで、伝える事を止めはしなかった。
それは…
本当の姿を、思い出して欲しい、という願い…
あなたは、本当に、素晴らしい存在なんだ、と、
思い出して欲しい…
私には、それが「見えて」いるよ、大丈夫だよ、と、伝えたいという気持ち…
そのような、素晴らしい自分を、大切に扱って欲しい、
必要以上に、苦しめたりせずに、
自分を正しく見、相応しく扱って、生きて行って欲しい、という願い…
そのような、
この世に生きる、全てのひとびと…兄弟姉妹を、
深く、愛しく思う心が、私をそうさせていた。」
「昔の私」が知っている姿そのままに…いえ、それ以上に、雄弁に、そして、率直に、この御方は、ご自身の気持ちを口にされました。
「…人は、それぞれの道のりを歩み、
自分なりの学びを得、一生を終える。
それは、素晴らしいものであるし、
自力で多くの時間や労力を費やして気づきを得、
様々な気づきを得る事が出来るだろう、とも思う。
だが、それが分かっていても…
この世界の、人の、本当の姿を知っていながらにして…
今、苦しみ、悩む、兄弟姉妹を目の前にして、
そのままに捨て置く事は、私には、出来なかった…
自らの本当の姿を忘れ…
己で作ったまやかしを見、そして、
己を、大切な人同士、痛めつけ合う様を、
座して見続ける事が…
私には、どうしても、出来なかった。
そこに、深い「仕組み」があり…
また、それが、どのような「働き」なのだ、
「想い」なのだ、と、理解していても…
いや、理解していたからこそ…
今、嘆く友の涙を拭い、
共に歩もう、と、
もう、嘆く必要はないよ、と、
こっちだよ、と、手を差し伸べたい…と、
この、どうしようもない「想い」…
これすらも、大いなる仕組みの一部なのか…
と思うこともあったが、
そのようにしたい、と思う己の、自分の心に従った。」
昔は知り得なかった、この御方の深い心情ですが、今なら、「今の私」なら、どこか、わかる気がしました。
「…人は、現れこそ違え、
心が動き、全てを愛おしい、と、
全てを自らの家族兄弟、と捉える心が生じたならば、その境涯に、立ったならば、
自ずと、皆、この道を歩むようになる。
必要とする友の、道標としての自分を。
この道を進めば、時に、様々な誤解や迫害が、
あなたを襲う事もあるかもしれない。
人の姿で、人と関わり、
人の中に生きるとは、そのようなものだ。
だが、全てを愛おしいと思う、
真なる心の、炎のゆらめきを、
その、あたたかさを…
あなたが「感じて」いる限り、
「そのもの」である限り、
あなたは、この道を、この後も歩むだろう、
と私は思う。
私のように。
そして、他の数多の兄弟姉妹達のように。」
彼は、キラキラ光りながら、私の目を見て、
「前へ、進みなさい。」
と言いました。
「全ての兄弟姉妹と手をとりあって生きる為に、
あなたの心のままに。」
と。
(…前に、お寺のご本尊様から、似たような事を言われた事、あったっけか…)
この方は、もう少し違う" 霊統 "の方のように感じていたので、私は、
(皆、似たような事を言うんだなぁ…)
と、ぼんやりと不思議に思いながら、お話しを聞いていました。
彼は、そんな私に優しい眼差しを向けながら、
「…巳がわかり得た物を、同じ志の友に渡す事…
今まで数多の同じ志の友、兄弟姉妹達より、
あなたも、受け取っていたものではなかったか。
天地の中に…書籍の中に…
頬をなでる風の中に…
そして、人の優しい眼差しの中に…
手のぬくもりの中に、
あるそれを。
必要とする友に、己が受け取った物を渡す。
それの、何憚る事があろうか。
あなたがいままでそうしてきたように。
そして、先人が、皆が、そうしていてくれていたように。」
(先人が、皆が…)
私は、今日の出来事を思い浮かべていました。
一体、どれだけ多くの方々から、どれだけの物を頂きながら、私達はここに存在しているのか、
そして、どれだけの想いを、受け取っているのか…
そんな事を思っていると、
「…全ては、整ったのだ。
もう、あなたをしばるものはない。
進みなさい。
新たな、そして、
本来の自分として生きる為に。」
と、言われました。
それだけ話すと、彼は、
優しく、優しく、微笑んで、
✨キラキラ✨と綺麗に微笑みながら、
すうっ、と…
「あるべき所」へ帰って行きました。
私は、彼が姿を消した後も、
しばらく何もない空間を、
ぼんやりと眺めていましたが、
やがて、彼と入れ替わるようにして、
ごとごとと音を立て勢いよくホームに入って来た電車の発車ベルにせかされるようにして、
慌てて、電車に乗り込みました。
↓続きますm(_ _)m💦
※もしお待ちの方がいらっしゃいましたら、この度もお待たせ致しまして申し訳ございませんでしたm(_ _)m💦後2話程で終了予定ですm(_ _)m