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ITに関わる(職人的)技術者にもっと光を

ここ数年ずっと続けて感じていること。

自分が社会人になった頃に自分の周りにいてくれた人たちから比較して、圧倒的にITに関わる技術者のレベルが落ちてきている気がする。

こういう言い方をすると「いや、あなたの周りにいないだけで、できる人はいる」という反論をもらいそうだけど、それはその通り。IT業界そのものが成長し続けられているのだから、高い能力を持っている人はたくさんいるはず。ただ、自分が言いたいのは「平均値」をみたときに、その「平均値」のレベルが大きく下がっているのではないか、という危機感。

昔と今の職業選択の動機

自分が社会人になったころはまだ「なんの仕事しているの?」という問いに「コンピュータ関連」というと間違いなく”オタク”扱いされる時代で、業界としても花形ではなく、どちらかというと、変わった仕事している的な印象を持つ人が多かった時代。自分もコンピュータ関連の仕事に携わろうと親に相談したところ「お前を、ゲーム屋にするために育てたんじゃない!」と激切れされたのを今も思い出す・・・。

その頃の人は、ただ単純に「コンピュータが好き」「コンピュータが楽しい」「プログラミングがワクワクする」的な人が多かったので、”ものづくり”が好きで「自分の興味で仕事を選んだ」人がが多かった印象。なので、「職人」的な人達だった。

今の人は、「儲かるから」「流行ってるから」「かっこいいから」という、ものづくりよりも「他人からの評価をもとに仕事を選んでいる」印象。(繰り返しますが、これはあくまでも私の周り(過去、今)で起きていることで、それ以外の環境があることは否定しません。)。なので、「現場管理」的な役割(PMO、PM、PLとでも言えばよい?)を望む人が多い。

某社に在籍していたときは、前者の「職人」的な人達が多かったので、1をいうと10理解してくれて、100の成果を出してくれる組織だった。別な某社に在籍していたときは、1を言うと0.5しか理解してくれなく、0.25の成果しかでない、という感覚だった。往々にして、前者の会社では、「やってやろう!」的なチャレンジャーが多かったが(=やれる方法を考える)、後者の会社では、「そんなこと無理!」的なルーザー的な(=できない理由を考える)人が多かった。

現場監督と職人の関係

現場監督が100人いても、職人がいなければ家が作れないのと同じで、システム開発でも「現場監督」的な人が沢山いても、システムは出来上がらない。現場監督一人にエンジニアが5人から10人ぐらいのチーム編成が必要ではないだろうか。きっと、家やビルの建築でも近い人数構成感になっていると思う。逆に、職人100人いて現場監督がいなければ、職人一人ひとりは買ってに判断し作業をすることで、元々持っている100人分のパフォーマンスを発揮することはできない。

「現場監督」の仕事は「職人」の気持ちを理解していること(=職人の代替ができるレベルの技術を持っていること)が望ましいと思う。職人を同じ目線で指示/依頼するためには、その人に認められる人ではなければならない、と思うからだ。(もちろん、人格で素晴らしい人、別な能力がある、とかでもよいかもしれない)。このあたりの感覚は、石原裕次郎主演の「黒部の太陽」を見れば、わかってもらえるとおもう。

現場監督の仕事は、ずば抜けた能力を持っていることではなく、抱えたメンバーの能力を、100%活かし切ることである。一人で200%の成果を出すスーパー職人よりも、10人で100%出し切れる組織のほうが全体的なパフォーマンスが上がる。そのために現場監督は存在する。

そして、職人のレベルも落ちている。プログラマ(エンジニア)のキャリア採用等で多くの面接の機会をもらってきたが、「今注目しているIT業界のキーワードはなんですか?」という質問の回答に「クラウドです!」といわれ、「ではAWSのアカウント持ってますか?」と逆質問すると黙り込んでしまう人が沢山いた。AWSなんて、無料でアカウント作れるし個人で使っているレベルであれば対して利用料金かからない、のにです。こういう人は問題外にしても、開発環境もオートマティックなものが増え、家でいえば、旧来の日本家屋を作れる大工(宮大工)さんが減って、プラモデル的な2x4のキット大工さんが増えているのも同じ事象かもしれない。0からシステムを作る機会が奪われ、プラモデルを組み立てる的な仕事ばかりになっているのも、職人にとって不幸な状況であるのだとおもう。

一人ひとりの”職人”の能力が落ちて、管理側に回りたい人が増え、という負のサイクルが回っていて、結果的にIT業界全体のパフォーマンスが落ちている気がしてならない。

職人にもっと光を

IT業界の人、を増やすこと以上に「ITに関わる真の技術者=”職人”」をもっともっと増やしていくことが急務じゃないだろうか。
そのためには、「稼げる仕事」にするのが最短だとおもうし必要な打ちてじゃないかとおもう。最近、経営者よりも高い給与を貰える会社が現れ始めているが、まだまだ事例が足りない。

HEYSのレポートをみても

プロジェクトマネージャー:671万円
プリセールス:630万円
ITコンサルタント:585万円
IT戦略/システム企画:576万円
研究開発 : 531万円
データサイエンティスト : 512万円
システム開発/運用 : 467万円
セキュリティエンジニア(脆弱性診断/ネットワークセキュリティ):445万円
パッケージ導入/システム導入 : 439万円
サーバーエンジニア : 438万円

https://www.hays.co.jp/advice/it-salary-10million

のように、システム開発が何故か運用をまとめられているレベルで(全く違う能力を求められるのに、、、)、さらに「プロジェクトマネージャ」という職業の2/3程度しか給与を取れていない。これを逆にするぐらいのことができないと、人が集まらないのではないだろうか。

職人的技術者にはもっと腕を磨いてほしいし、管理する人はもっと、技術者に光を与えてほしいし、経営者はもっと報酬を出してあげてほしい。

このサイクルやメカニズムがどこかで改善されないと、「IT業界」というある意味「作品が目に見えない」業界が歪んでいってしまうのではないかと危機感を持っているので、久しぶりのnote書いてみました。

そして、IT業界の人、と自認している人には、最低限AWSのアカウントぐらい持っていてほしいな、と切に思います。

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