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『86-エイティシックス-』感想
『86-エイティシックス-』読みました。(何ヶ月か前に)
そういえばこれまでこの作品についてはアニメ各話のミクロな感想しかTwitterに書いたことがなかったので、マクロな感想も書いておきます。詳しく話すと10時間くらいかかる(友達との感想会でそれくらいしゃべった)のでさらっと。
ミリタリーバトルアクション、近未来SF、生きるか死ぬかの戦争もの、ボーイミーツガール、遠距離恋愛で両片思い、仲間たちとのチームの絆……と私の好きな要素欲張りバラエティセットみたいな作品で、なんかもう読むたび興奮で発狂しそうになります。(一言目から感想がやばい)
結構描写や設定に無理がある面もあってリアリティという意味ではそこまで説得力がある話ではないと思うんですけど、いい意味で「リアリティなんて知ったことじゃないわ!」と吹っ切れた作品になっていて、だからこそ成立するフィクションの面白さに溢れていると思います。
なのに時々、急に生々しい「人間」のリアリティが顔を出してくるような側面もあって、そのたびちょっとゾッとしたり。サンマグノリア共和国は愚かだと思うんですけど、窮地に陥ると本当にこれくらい愚かで盲目的になってしまう可能性は否定できない気がします。「人間はこんなにバカじゃない」と言えたらいいのですけど。
かなり抑圧的で過酷な環境下に置かれていたエイティシックスの子どもたちは独自の価値観を形成していて、その面白さはありましたが、すごく頑なかと思えば恋しただけで変わってしまうような柔らかいところもあって。そこがドラマティックに感じました。
価値観を塗り替えるくらいの出会いが恋なのかも。
戦場の無情さや、20世紀の大戦っぽい兵器の開発競争に負けたほうが敗北するみたいな殺伐とした部分もありながら、一方で10代の少年少女のラブコメでもあります。
戦場という舞台に可愛い少年少女のキャラクターを乗せてドラマを描くみたいな作品は数あれど、そのなかでもかなりラブコメ色強めの作品と感じます。同じ作品なのか戸惑うくらい完全にラブコメに振り切ったパートもあるのでそのへんは少し珍しいかもしれません。
ミリタリーアクションらしい硬派な世界のなかに、急にこっちが恥ずかしくなるような初々しい少女漫画の恋愛ものが顔を出してくる感じで、バランス感覚がすごいです。
そのためか、巻ごとに結構印象が違ってくる作品です。1巻が特に重めなので少しずつ軽くなっていく印象はあるものの、それでこちらが平和ボケしていると急に叩き落とすような話が入ってくることもあります。
10巻は過去編オムニバスでしたが、ここから全体のクライマックスに入っていくのかな?
今後もずっと楽しみです。