モフリーの始め方③〜メニュー開発編Vol.1〜
今回はメニュー開発について書こうと思う。料理経験のほとんどない僕がメニュー開発にあたり、何に気を付けたかを振り返ってみたい。
情報量が多くて長くなった為、今回は分けてお送りする事になってしまった。
2015年6月くらいから2016年8月一杯まで、僕は某飲食チェーン店に在籍した。
その約一年間はとにかくチェーン店のオペレーションを吸収する事に全力を注いだ。あれをやろうこれをやろう、という事もなるべく考えずに。
余計な事を考えなかった為、辞めた時も相変わらずコンセプトしか決まっていなかった。
この時点で僕はまだ取引先を知らないどころか、取引先開拓の仕方も分からなかった。事業計画も考えていなかったし、どこに店を出すかという検討もしていなかった。出店にどれくらいの費用が掛かるか、融資はどこに行ってどうすれば受けられるのか等、何の知識もなかった。
何も分からなかったけど、何とかなるだろうとは思っていた。
別に界王拳を使えるようになりたいとか、ノエル・ギャラガーとバンドを組みたいと言っている訳でもない。これらに比べたら「猫と一緒にお店をやりたい」なんて、出来る未来しか見えないじゃないか。
そうは言っても、何をやろうか。
結論から言うと、お店作りの最初の最初、第一歩目に取り掛かったのは何かというと、僕の場合は食事メニューを決める事だった。
自分でカフェをやってみたいと考えている人は、恐らくなんとなくでも「こんな雰囲気のお店がいいな」というイメージを持っていると思う。
カフェと一口に言っても、下町の雰囲気が漂う純喫茶のようなお店もあればクラシックがバリバリに掛かっているオーセンティックな喫茶店もある。和をコンセプトにしたのもあれば、スペインのバルのようなお店もある。
全自動のコーヒーメーカーで淹れてるお店もあるだろうし、ネルドリップで一杯ずつ淹れる店もある。珈琲豆の種類が豊富な店、紅茶に特化している店…。
どれが良いとか悪いとか、そんなものはない。パックの安いアイスコーヒーを出してもいいし、コピ・ルアクやゲイシャを出したって構わない。
僕の場合はコンセプトしか決まっていなかったけど、ネコとピアノと本があるカフェと聞くと、思い描いたのは落ち着いた空間だった。
志向する落ち着いた空間、その空間に来てもらいたいターゲット層となると自ずと年代はやや高めになる。具体的には30~50代辺りかな、と考えていた。
お店の雰囲気というのは、そこを利用する人も「込み」で決まると思う。お客を選別するというとなんだかものすごく語弊があるけれど、これは飲食店に限らず多くの店で志向している事実だ。
30~50代。この辺りの客層を満足させてリピーターになって欲しいとなると、たとえコンセプトに興味をもって来店したとしても、安っぽいものや選べるメニューが少ないと満足させられないのではないか。
コンセプトを取っ払ってもそこそこ勝負できる飲食店でなければ、「思い描く空間に来てもらいたい層の人たち」のニーズに応えられないのではないか、と考えたのだ。
コンセプトを主体としたカフェはとても多い。ブックカフェ、ミュージックカフェ、ギャラリーカフェ、猫カフェ等の動物カフェ・・・あくまで個人的なイメージだけど、コンセプトに振り切ったカフェはそこまで料理に力を入れていない店が多いと思う。少なくとも僕は料理以外のコンセプトを全面に打ち出したカフェに行く場合、提供される料理に関してはあまり関心がないし、正直に言うと期待もしていない。
そこでコンセプト以外の、期待をしていなかった部分に+αを与える。プラスに作用する意外性というのは、与えるインパクトが非常に大きい。
しかしチェーン店での料理経験しかない僕にとって、オペレーションは勉強になったけれど味の部分に関してはあまり自信はなかった。
自信はないけれど、ここは研究を頑張らなくてはならない。
さて、そこでもう一つ考えなければならないのは、
「盛り付けも含めていつまでに完成させるか」
という期限を設定する事だ。これは開業準備全般に言えるけど、期限を設定しないといつまで経っても完成しない。
開業は一年後くらいかなぁ…と、なんとなく漠然と考えていた僕はとりあえず8月ないし9月にオープンと定め、それに伴い「これは◯◯月までに終わらせる」という設定をして課題を潰していった。
そこでメニュー関連は期限を6ヵ月と設定した。
9月から派遣社員になり、何からやろうかとあれやこれや考えて目標を定めた後に10月から着手、3月までに終わらせる、としたのだ。
そんな訳で、とりあえずカフェ立ち上げの第一歩のメニュー決めに取り掛かったのだけど、順番は大まかに言うとこんな流れだった。
①自分が置いてあったら嬉しいメニューを書き出す
②手間と材料をかけないで作れるか検証する
③雰囲気や価格のバランスを検証する
まず最初に出来る出来ないは置いといて、お客として入った喫茶店でメニュー表を開いて「乗っていたら嬉しいと思うメニュー」を書き出してみる。
この時点でおそらく「こんなお店ならいいな」というイメージに引っ張られたものが浮かんでくると思う。振り返ってみれば僕もそうだった気がしないでもない。
とにかく初めに沢山メニューを挙げて、上記の順番でどんどん消していき、約半年間で今のメニューに辿り着いた。
①自分が置いてあったら嬉しいメニューを書き出す
具体的にどんな食事メニューを出すか。これによって、そのお店の『カラー』はだいぶ決まってしまうと思う。たとえばだけど、
「よし、焼き鳥出すか」
この一言で、お店の雰囲気や方向性はだいぶ決まってしまうと思う。全部とは言わないけれど。
「珈琲と紅茶かな」
まだまだ方向性に余白はありそうだけど、まず最初にこれらが出てきたのなら、なんとなくではあっても道は出来てしまう。
人によってはオムレツかも知れないし、あるいはカルボナーラかも知れない。もしくは沢山の種類のトーストやホットサンドだって構わないし、スイーツに特化してもいい。
もちろん「これを出すのだ!」という具体的なものがあってもいい。いずれにせよ、『漠然と想像している空間』を『現実的な色彩を帯びる空間』にさせる第一歩は提供する食事メニューと言っても過言ではないと思う。
ピザでもナポリタンでもメロンソーダでもプリンでも、とにかくどんどん書き出す。この作業はきっと楽しい。入ったお店のメニューが少なかったらなんか寂しくないですか?なるべく沢山書き出そう。
ちなみに僕の場合、喫茶店であったら嬉しいな、とまず最初に浮かんだのはカレーだった。
喫茶店メニューと聞いたら僕の中では圧倒的に「カレー」。これはもう完全に幼い頃に見た、スナックゴンとスナックサファリの影響だ。
カレーといえばキレンジャーとバルパンサー、というイメージが強烈に刷り込まれている。なんならカレーに関してはイエロー割でもやりたいくらいだ。
余談ながら、その次のイメージは石原軍団です。
という訳で今回のお話、要約すると『お店のイメージを具体化させる第一歩は、どんな食事メニューを提供するか』でした。
次回のお話
『②手間と材料をかけないで作れるか検証する』
を予定しております。