特権を持つマジョリティと、抑圧の関係
組織や地域の中でマジョリティ(大多数側)であると、自分たちの居心地がよいように社会の仕組みができていることに気づかず、無意識にマイノリティ(少数派)を居心地悪くさせているという考えがあります。居心地がよいのだから仕方ない…というわけではなく、そのままでいることはマジョリティ側にもデメリットがあると言われています。
具体的には、自分と違う人との交わりにくい、属している人たちの価値観と異なる知識や経験を増やしにくい、周囲に合わせてしまい本心を出しにくい、あるいは、属している人たちの間で自分が少数派になってしまう、というような事柄です。
無意識にマイノリティに距離を置いたり、居心地の悪さを創出してしまうのは、マジョリティに属している自分自身が、違和感が持っているのに解消していないことで苦しくなり、余裕がなくなっているからかもしれません。無意識の抑圧が、次の抑圧を産んでいるかもしれないのです。
マジョリティだから自分が属する場所は居心地が良いのだと思っていたとしても、本来は個人個人が異なる価値観を持った人の集まりです。
マイノリティの存在目を向けて、違う人同士が交じり合っていくことは、マジョリティ側に現在いる人を楽にするということではないでしょうか。ある属性ではマイノリティであっても、別の属性ではマジョリティにもなる自分。アイデンティティは揺れ動きますが、このようにして考え、行動を起こし続けることが成長となり、社会へインパクトを与える一歩になっていくと思います。
インクルージョンに関する学びやアクションは日々続きます。
おススメ図書:『真のダイバーシティをめざして』ダイアン・J・グッドマン著 出口真紀子 監訳
上野千鶴子さんの祝辞より「がんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。あなたたちが今日「がんばったら報われる」と思えるのは、これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです」