
この目に映し、心にしまう。
昔、心から信頼し慕っていた
とある女性の先生に、
「写真で残すのではなくて、見て聞いたものを
記憶として留めておきなさい。」と教わった。
当時は「写真の方が鮮明に思い出せる」と
その教えに納得できなかったのだが、
カメラが趣味になり、
写真がより身近な存在になった今なら分かる。
月や星がスマホでは上手く写らないように、
カメラ越しでは
目で見た風景をそのまま収められないように、
たとえ時が経つに連れて、美化されたり、
あやふやになってしまったとしても、
“記憶”に勝る思い出の記録方法は
ないのである。
あの日の情景に感情を乗せて
風化することを恐れずに、
記憶として自分の中だけに大切にしまうこと。
それを人に伝える際には
“言葉”だけで表現すること。
それはきっとこの世の要素を記録する、
もっとも美しい方法なのではないでしょうか。