日本版『シデレウス』ネタバレあり感想+時系列解説+小ネタ

2022.06.25夜/06.26昼/06.26夜公演観劇

ネタバレあり感想と時系列解説、小ネタを書いていきます
韓国版と変わっている演出もあるので…初演を5回、再演(中継)を2回観たのですが日本版は再演準拠でした!
※この作品は史実とはかけ離れたフィクションなのでご留意ください※

歌詞を日本語に翻訳したやつ

01. Prologue 〜 08. 시데레우스 눈치우스
http://h1yor1.blog.fc2.com/blog-entry-26.html

09. 더 가까이 〜 16. 시데레우스 눈치우스 Rep.

☆時系列☆
ケプラーが『宇宙の神秘』を出版
1599年、自身の著作についての意見を聞くためさまざまな人たちに手紙を送る
→唯一肯定的な返事をくれたガリレオに対し手紙を送り続ける
→ガリレオは辟易しながらもケプラーの手紙から得た仮説を検証し、考えを改める
→ガリレオ、ケプラーに共同研究の話を持ちかける
→マリア8歳ごろ(1600年)研究開始。パンフには史実では1600年生のマリアを1952年生と改変して書いたと記載あり
(なおブルーノが火刑に処されたのは1600年)
→ケプラーの眼鏡を参考におもちゃの望遠鏡を改良し望遠鏡を作成、天体の観測を始める
(ガリレオが成功しケプラーが失敗した理由は語られていないが、ケプラーは「天体は完璧な円を描いて回っている」ことを根拠として作成もしくは観測したためかもしれない)
(↑のちの台詞でケプラーがガリレオに「あなたの望遠鏡を送ってほしい」と話すシーンがあるが、ガリレオが「最初は見えづらいとかあるかも…」と言い淀むのはガリレオがケプラーの論の誤りを言い出せなかったからと思われる)
→ガリレオとケプラー、『星界の報告(シデレウス・ヌンチウス)』を共著することを決める
→出版する資金が不足していることの打開策として、ケプラーはメディチ家に支援を求めることを提案する
→ガリレオ、ケプラーにメディチ家を説得するデモンストレーションをやってみるよう依頼
(韓国版ではアドリブシーンでした)
(ケプラーが大学をクビになった理由について。ケプラーの授業があまりに横道に逸れたり退屈だったりするため講義を受けたがる生徒がいなくなり「定員に満たなくなったため」とする説もあるようですが、ソースが発見できなかったため真偽不明)
→インスピレーションを得たガリレオ、メディチ家へ
(本編随一のギャグシーン! 4ポンポンこと《木星の周囲を回る四つの星鉢巻き》が日本版では出てこなかったのでギャグ色は薄くなりましたが…)
(4ポンポンを被るときにネクタイを巻き込んでしまって、6/25夜アフトのタイを眼鏡にひっかけたケプラーみたいになってしまうガリレオが多数発生する)
→無事メディチ家からの援助を受けられることになったガリレオ。さまざまな貴族や学者たちに『星界の報告』についての手紙を送る
→メディチ家より、『星界の報告』を出版の際はガリレオのみの名で発表することを命じられる。心配するガリレオにケプラーは大丈夫です、と答える
(共同研究を経て『星界の報告』をふたりで書いたというのが創作なので、うまいこと辻褄合わせたなあと思いました)
→僕には『宇宙の神秘』がありますから、と言うケプラーに、なかなか言い出せなかった『宇宙の神秘』が誤っている可能性について示唆するガリレオ
→一方、『星界の報告』の行く先は順調なように見えたが、ガリレオの影響力を危険視した教皇庁が動き始める
(コペルニクスやケプラーはラテン語で本を書いたが、ガリレオはイタリア語で書いた=誰でも読めるため影響力が強かった、ため教皇庁が動いたと6/26昼アフトで聞きました)
→異端だ、と世論に追い詰められていくガリレオ。ケプラーを巻き込まないために、「もう手紙を送ってくるな」と言い放つ
→居ても立っても居られずドイツからイタリアまでガリレオを訪ねてくるケプラー。ガリレオに死んだら何もできない、一緒に全てを捨てて逃げようと持ちかける
(ここがふたりの初対面です! 韓国版も日本版も、実際は手紙のやりとりだけなのに舞台上で肉体的に接触するからわかりにくい)
(ちなみにこの一緒に逃げようソングは再演で増えた=このシーン自体が再演で長くなった)
→一週間後にベッキオ橋で会おう、と約束するガリレオ。ケプラーを帰し、マリアに「(ケプラーとの)手紙を全て燃やしてほしい」と手紙を書く
→ガリレオの手紙を受け、ガリレオの住まいを訪ねるマリア。そこに、待ち合わせ場所に現れなかったガリレオを探しに来たケプラーが鉢合わせる
(初演では
マリア「私の名はマリア・チェレステ。ガリレオの娘です」
ケプラー「そんな話は聞いたことないんですけど」
マリア「言ってないことも多いでしょうよ」
と最初から喧嘩腰で面白かったです)
→ガリレオは教皇庁に行ったと言うマリアに衝撃を受けるケプラー。マリアはケプラーに対し、あなたを告発する、と告げる。ケプラーはそれを受け入れる
→なぜ死の危険があるのに主張の撤回をしないのか。ケプラーの返答を聞いたマリアは、自らの立場との間で苦しむ
→宗教裁判にかけられたガリレオ
(史実では第一回が1616年、第二回が1633年でこのとき終身刑を言い渡される。作中ではおそらく第一回の宗教裁判と思われる)
→教皇庁はマリアとケプラーについて言及し、論を撤回する機会を与える
→ふたりを守るため、論を撤回するガリレオ
→住まいに戻ったガリレオのもとにマリアがやってくる。かつてはおざなりにやった祈りを丁寧に行うガリレオ。そんなガリレオに、マリアはある人物からの手紙を渡す
→星は楕円を描いて回っている! ケプラー望遠鏡を作成したというケプラーからの手紙にガリレオは笑顔を見せる
(史実では1611年に発明したが本人は作成しなかった)
→完

韓国版ではカテコで3人で寝転がって望遠鏡を覗くのですごくかわいいです

☆その他いろいろ☆
・2017年のリーディング公演時は男性2人舞台だったのですが、2019年初演でマリア役が追加され男女3人舞台となりました。ガリレオとケプラーを客観視するマリアの存在により話をわかりやすくしたと語られています
・初演→再演も変更点が多かったです。살아나のあと、初演で불가능한というタイトルだった曲は기억을 넘어に変わりました。また、ガリレオ宅に訪問した際にケプラーが歌う曲が増えました。난 떠나というタイトルです
・「できるよな、もちろん!(할 수 있지? 그럼!)」がミュオタの間で流行ったという話が好きです。相手を励ますときに使うらしい
・ミュージカル『最終陳述』という、ガリレオを主人公にしたミュージカルもあるのでぜひ見ていただきたいです! ガリレオが死後の旅でコペルニクスやプトレマイオス、ミルトン、シェイクスピアなどと出会う話です。ブルーノも登場します! LDHの前作『天使について』で言及されていた神(=フレディ)も出てきます(同じ脚本家の作品)。神は見る人によって姿が変わるので、『天使について』で語られる神とは少し違った姿ではありますが…!

☆韓国版ハイライト映像☆
1部
https://m.youtube.com/watch?v=pS5m7VmKq3M

2部
https://m.youtube.com/watch?v=dbsC4JbN90M
3部
https://m.youtube.com/watch?v=hQgicCdeseM

☆仮想後日談☆
The Musical という韓国ミュージカルの雑誌に、『仮想後日談』という企画がありまして…それぞれの作品に出演された俳優様に作品のその後を書いてもらう、というものです

シデレウス仮想後日談『共に見る夢』
(ケプラー役の정욱진俳優様が書いたもの
この動画"살아나”の方です↓
https://m.youtube.com/watch?v=fRyUiRtKu74 )

ガリレイ先生! 僕の名前にちなんだ《ケプラー望遠鏡》が投資を受けるようになったという話を伝えるため、急いで手紙を書きます。最近、ドイツでは僕の望遠鏡の性能が非常に認められているんです。「天気のいい日に裏山でドイツのビールを飲み、ケプラー望遠鏡を見れば、スペインの人々が踊るのが見られる」という冗談が出回るほど。 すると、望遠鏡の事業性に注目した貴族が大々的な投資を約束しました。 ああ、いよいよ僕の人生にも光が!(これが官職の力なのか! 宮廷数学者ケプラー!)この望遠鏡が普及すれば、より多くの学者がさらに鮮明に天体を観測できるでしょう。想像してみてください。 数え切れないほど多くの学者が地動説を立証する観測資料を出して、結局教皇庁でも地動説を認めることになるその日を。そのときになればあなたと交わした手紙を集めて本を出版します。『星の伝令と交わした対話』というタイトルで。きっと天文学界のステディーセラーになるでしょう。そして、あなたが作った《木星の周囲を回る四つの星鉢巻き》が、地動説転換記念品として全ヨーロッパに流行ります。 今、また馬鹿みたいな想像だと思ったでしょう? それでも僕は想像します。いつか、望遠鏡を覗いて見るだけではなく、直接宇宙へ飛んでいく人々の姿を。 そのときになれば全て分かるようになるでしょう。あなたが真実を言った、ということが。 僕は今、帆かけ船に乗って宇宙を旅する小説を書いています。 タイトルももう決めました。『夢』です。

https://www.themusical.co.kr/Magazine/Detail?num=4189

☆所感☆
韓国版と全く違うセットにまず驚きました! 天使についてを見たときに自由劇場の舞台の大きさに驚いたのですが、舞台をいっぱいに使って天球儀を作り出すのは予想外でした。これはこれで素敵ですね!
台詞や歌詞は今回もほぼ直訳なので、日本語に訳された際に伝わってない情報があるとかはなかったと思います。

各ペア印象に残った方を書いていきます!
・オリオン
天使についてで初めて見た石井さん。歌が素晴らしいのは言うまでもないんですけど演技もとても好みでした! 指先や裾捌きなど所作がすごく綺麗なんですよね…! キャスケの関係で韓国では弱いガリレオを見たことがなかったので新鮮でした。
・ペルセウス
礒部さんという方が本当に素晴らしかった! 韓国でははなマリアが好きだったのですが、それに通ずるところのある強くて芯のあるマリアでした。マリアのソロが来るたびに楽しみになるほど! ペルセウス組はどの方も120%の感情をぶつけてくるので見ていてとても気持ちがよくて…! 私この作品好きだったんだ、って思い出させてもらえました。
・ペガスス
神永さんケプラーとてもよかった! 怪我しないかなって心配になるくらい全身全霊で演技していて…髪をぐしゃってやるのとか、細かい動作で感情を表してるのがよかったです。音に歌詞が合ってない無理矢理翻訳が結構あったんだけど、違和感なく歌っていただけてありがたかった…

今回も私の好きな作品を素敵に上演してくださって本当に嬉しかったです!
大好きな俳優様が初演と再演に出てらっしゃるので、思い入れのある作品でした。日本版を見に行ったこと、お伝えしようと思います笑
まだ配信を買えていないので、配信を見るのも楽しみです!! 素敵な作品を作り上げてくださった俳優様方、本当にありがとうございました!!

※ミュージカル『最終陳述』の解説記事も書きましたのでもしよろしければどうぞ!↓

https://note.com/mnon_029/n/n2933cf2bf4ab

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