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『友人の本棚~1分で読める感想文~』Vol.26「ちょっと今から仕事やめてくる」

「ブラック企業っていうより、ブラック上司だよね、問題なのは」
企業は人なり、と松下幸之助さんが言っていた。つまり、ブラック企業とはブラックな人という意味だ。仕事って、労働時間よりも「気持ちよく働けているか」が重要で、そう考えると仕事における上司ってめちゃくちゃ重要だよね? と、そんな話を友人にしたら、この本を紹介された。

ブラック企業にこき使われて心身ともに衰弱した隆(たかし)。無意識に線路に飛び込もうとした時に、「ヤマモト」と名乗る男に助けられた。同級生を自称する彼に何度も助けてもらうが、実は彼は同級生ではなく……。
今すぐ仕事やめてくるとまでは思っていなくても、ブラック上司に悩んでいる人には読んで欲しい作品だと思った。

「お前の人生は何のためにあると思う?」
俺はかなり考えて答えた。
「……社会のため?」
「ぜんっぜん、違う」
「じゃあ、自分のため……」
「それも半分あるな」
「半分?」
「そう。お前の人生は、半分はお前のためと、あとの半分は、誰のためにある?」
「……将来の子供とか?」
「今現在の話や」
考える俺に、ヤマモトはゆっくりと言った。
「あとの半分は、お前を大切に思ってくれてる人のためにある」
「なあ、隆。お前は今、自分の気持ちばっかり考えてるけどさ。一回でも、残された者の気持ち考えたことあるか? なんで助けてあげられなかったって、一生後悔しながら生きていく人間の気持ち、考えたことあるか?」

人生の半分は、自分のため。もう半分は、自分を大切に思ってくれてる人のため。もしも100年時代と言われる今、僕が100歳まで生きるとしたら、これまでの40年間は自分のために生きてきた気がする。ということは、残りの人生は、自分のために生きる10年と、自分を大切に思ってくれてる人のために生きる50年、これくらいのバランスで生きなければならないなと思った。いや、まてよ。80過ぎたあたりからは、また自分のために生きなければならなくなる気がする(介護など)。そう考えると、もう僕がバリバリ動けるあいだの残りの人生は、自分を大切に思ってくれてる人のために生きなければならない。むしろ借金しているような状態だ。まずい。しかし今さら後悔しても仕方がない。

ということで、ひとまずこの感想文を、自分を大切に思ってくれてる人に捧げます。

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