『友人の本棚~1分で読める感想文~』vol.4「英雄の書」
「ヒーロー」と「英雄(えいゆう)」の違いって、何だろう?
こういう時、僕は決まってwikipedia先生に聞いてしまうのだけれど、先生からも
「ヒーローとは、英雄のことと、神話や物語などの主人公のこと」
と言われてしまって、余計に混乱した。
だからこの本が読み終わる頃に、その答えが出ているといいな。
そんな期待を持って、読みました。
僕は冒頭1ページ1行目の一節から、心を鷲掴みにされました。
イタリア人は、試合や試験に挑む人へ、こう声をかけるのだそうだ。
In bocca al lupo!!
イン ボッカ アル ルポ
狼の口の中へ、という意味である。
たとえば、サッカーで一点先取していながら、一点を取り返されたとき。イタリア人たちは「やっとゲームが始まった」と高揚し、「狼の口の中へ」飛び込んでいくのである。
彼らにとって、ゲームとは「点を取って、取られて、取り返す」ことであって、「単に点を取る」ことじゃないからだ。
「やっとゲームが始まった」と思うのは「点を取り返されたとき」
これは、言葉を言い換えると
「失敗したとき」とか、
「挫折を味わったとき」とか、
「絶望に打ちひしがれたとき」とか、
「こんなはずじゃない」と、ある意味で「現実を突きつけられたとき」こそ、「ゲームが始まったとき」なのかなと。
逆に言えば、そうした感情になっていないうちは
「まだゲームは始まってすらいない」
とも言えるのかもしれない。
僕は今回、「友人の本棚」というテーマでnoteを始めました。リアルに「友人」から「オススメの本」を貸してもらって、それを読んで、こうして「感想文」を書いていく、というチャレンジです。チャレンジと言っても、別に誰と戦っている訳でもありません。……と書きたかったのですが、この本を読んで変わりました。
僕はnoteを始めてこれが4本目の記事となりますが、早くも打ちひしがれてます。だって、一生懸命書いても「スキ」が「一つ」とかだったりするんですもん。でも、そりゃそうですよね。このnoteの「#読書感想文」のタグだけでも17000本近くの記事があるわけで、そこから読んでもらうとなると、そりゃ至難の業です。
だから冒頭に「別に読んでもらいたくて書いている訳じゃありません」とか「自分の趣味で書いているだけですから」とか、「聞いてもいないのに自分で勝手に傷つかないための予防線を張る」という、まるで英雄とは真逆のスタイルでリングに上がろうとしていました。
でも、本書にならえば、
「ここにきて、ようやくゲームが始まった」
んだなと。
逆に言えば
「これまでは、ゲームすら始まってなかった」
んだなと。
ようやく気づかされたわけです。
だから、このタイミングでこの本を手に取ったのは、運命的というか、それを見越して友人がおススメしてくれたのだとしたら、その友人こそが僕にとっての英雄……ではなく、ヒーローかなって。
うん、書いてて思いました。「英雄」と「ヒーロー」の違い。
「英雄」は「結果」で、「ヒーロー」は「思想」だ。
「守るべきもの」「守りたいもの」が出来たときに、人は「ヒーロー」になれる。だから、だれでも「ヒーロー」にはなれる。でも「英雄」になるには「結果」を出さなければならない。
ぼくは「英雄」になりたい。それを強く感じました。この本を貸してくれた友人のためにも。そしてこれまで僕を応援してくれた人のためにも。
「狼の口の中へ」ようやく飛び込んだ自分と、ここまで読んでくれたあなたに向けて。
In bocca al lupo!!
イン ボッカ アル ルポ !!