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企画した商品を試してみたかった
MNHの小澤です。
「とらやの羊かん」のパロディーとして、「ちょっとしたお詫びに『ねこや』の羊かん」を企画をしたぼくらは、早速、谷中界隈(*1)で物件を探していた。
羊かんはOEMでつくろうとしていたので、売る店は小さくてもいいと思っていた。
特に猫愛あふれるこの谷中商店街は、話題性の面からしても、最高の舞台だった。
なので「一坪店舗」のような形でも、ここに出せたらベストだな、と考えていた(*2)。
また、この事業につき進んだのは、もう一つの動機があった。
そもそもMNHはニッチな商品企画を売りにしている。
だからこそ、商品を作りこむ前に「売れるかどうか試してみたい」。
通常、商品を流通にのせるには、まずバイヤーさんに紹介して、OKをもらってはじめて店頭に置いてもらえる。バイヤーにNOと言われれば、開発費はおジャンになりかねない。
しかし試作品をためせれば、売れなくてもまた企画をブラッシュアップすればいい。そういう意味でも「実店舗を持って売れる」ということは、ぼくらにとって非常に魅力的なことだったのだ(*3)。
…とまぁ、いろいろ夢を抱きながら進んできたものの、やはり簡単には物件は見つからなかった。谷根千が猛烈なブームだったこともあり、当分空く予定もなさそうだった。
さらに、羊かんのOEM先探しも難航した。
あるにはあったが、ぼくらの希望するものができる先は、その時はなかったのだ。
———半年ほど試行錯誤したものの、結局、この事業は断念した。
ギブアップしたのは2015年の春ぐらいだろうか。
しかしこの企画に関しては、万が一、谷中商店街にいい物件が見つかれば、やっていたと思う。
そもそもぼくらは、創業6年目の駆け出しの時期。
柱事業がそれほどなかったために、新事業を創らなければならないという焦りもあった。
だから、このような綱渡り的な企画にもつき進まざるを得なかったといえる。
ただし、いつもの話だが「つくっても誰がやるの?」という懸念も半分くらいあった。
運営するには数人の人間が必要だろう。常にオペレーションの不安がつきまとっていた。
つまり、「すっごくおもしろいけど、すっごく大変だよな」。
この時期のぼくの心中には、いつもその両面がくっきりあった。
(*1)谷中は「猫の街」と呼ばれ、実際に野良猫も多い。谷中銀座商店街では木彫りの猫が所々に置かれ、猫グッズを売る店もある。
(*2)この頃のMNHは、工房や小売店を持つことがブームだった。
(*3)この想いは、後のマルシェでの販売や百貨店でのポップアップ販売につながっていく。