これぞ商売。1からさくらんぼを売ってみよう!
MNHの小澤です。
つつじヶ丘の事務所の移転後に、社員を何人か採っていたMNH。
当時のぼくらには「彼らに何か新しい仕事をつくらないといけない」という焦りがあった。
さらに6月の閑散期(*)を前に、何か売れるものはないかと探していた。
そんな時に始めたのが、さくらんぼの販売だ。
庄内町でいろいろな事業もしていたぼくらは、山形でちょうど旬を迎えるそれに目をつけた。
現地のスタッフのツテで農家さんもすぐに見つかった。
そして京王電鉄にかけあい、早速駅で販売を開始した。
新宿、笹塚、府中、橋本、明大前、調布、つつじヶ丘… 結構売り歩いたものだ。
ちなみにさくらんぼの賞味期限は2日と短い。
にも関わらず、何百万と売れたのだった。
さて、この企画の一番のもくろみは「社員に販売体験をさせる」ということだった。
商売とは、実際に自分で売ってみて得られる知識や経験がとても重要だ。
販売経験のない社員に、それを「ひと通り」体験させたいと思った。
まず値付け。
仕入れがどれくらいで、どの程度で売ったらよいかを自分で考えてみる。
近隣のスーパーで相場感をつかむのも重要だ。
駅によって客層も違う。
売れそうな時間を予測し、客の足の速度に至るまでチェックする。
時間帯を見極めたら、搬入・搬出や引き上げの時間など、タイムスケジュールも意識しないといけない。
実際に販売をはじめたら、客の反応が大きなヒントとなる。
場所によって箱でしか売れないところもあれば、小カップがうけるところもある。
お客さん同士が何を話しているのか。なぜ買うのか、買わないのか。
どういう声がけが必要なのか。
あらゆる反応を見ながら形態を見直すことを繰り返すのだ。
このような体験は商品企画の重要な気づきになる。
そもそもお客さんがどんな反応をして、どうやって買っていくのかを想像できていないと、商品企画なんてできっこない。
反対に、想像していたことが現場ではまったく違うこともある。
販売するとそういう真実にも気づかされる。
つまり、これら全部が織り交ざって商売となっていくのだ。
……とまぁ、言いだしたらキリがないが、要は商売はいろいろと奥が深いのだ。
加工品ではない野菜は、細かい商品企画がいらないので、ちょうどよい社員教育になったと思っている。
(*)お土産物を多く販売するMNHでは、ゴールデンウィークや夏に売上が上がり、狭間である6月の梅雨の時期にはいつも売上が落ち込んでいた。