見出し画像

この寿司は高尾山でも絶対に売れるはず!

MNHの小澤です。

「これはうまい!高尾山で絶対売れる!!」

普段から売れそうなものにアンテナを張っている自分だが、この時の直感はすさまじかった。

その時のぼくは、庄内町の町長との打ち合わせの前に、役場の前のベンチでスーパーでたまたま見つけた「めはり寿司」をかっ食らっていた(*)。

それまで食べたことがなかった、その美味しい寿司について調べてみると、なんと奈良の郷土料理だという。江戸時代より大坂から北海道まで物資を運んでいた「北前船」により、庄内にも西の文化が入ってきていたのだ。

あまりの美味しさに、MNHの主力商品であるかりんとうを販売している「高尾山」がすぐに目に浮かんだ訳だ。高菜で包んだ味わい深いこの握り飯が、あの山の風情にぴったりだと。

東京に戻り、知り合いの京王電鉄のバイヤーさんに「あの寿司を売りたいけど東京でつくってくれる場所がない」と相談を持ちかけた。すると意外にも「知ってるよ」の返答。

それは「柿の葉寿司」で有名な中谷本舗さんのことだった。奈良の企業だが、東京駅への駅弁供給のために国立市に工場を持っていたのだ。


早速、中谷本舗さんを紹介をしてもらい、「めはり寿司」の製造依頼を持ちかけた。
柿の葉寿司の注文に慣れていた先方は少し驚きつつも、最終的にはOKをしてくれた。

高尾山仕様にしたそのめはり寿司を、ぼくらは「なっぱ寿司」と名付けた。
高菜の香りに包まれた酢飯にかぶりつくと、甘い味噌味の鰹節とじゃこが顔を出す。澄んだ高尾山の空気にこれ以上マッチするものはあろうか?


高尾の天狗のなっぱ寿司


かくして、庄内で食べた感動をそのままに、自慢の一品に仕上がった。

作ったのはいいが、ネックは配送だった。
お弁当の賞味期限は2日。どうしてもその日に配達をする必要があった。

この時のぼくは絶対に売れると思ってたし、何が何でも売りたかった。
気付いた時には「分かりました、私が配達します!」と宣言していた(笑)。

以降、ぼくは毎朝自宅から、国立の工場を中継して、高尾山まで車で配達した。高尾山口駅の売店にたどり着くと、応援販売(店頭で自ら売ること)にも精を出した。


2014年秋の売り場

…そして予想通り、めちゃくちゃ売れた。
11月の繁忙期には、1ヶ月でざっと8000個ほど出ただろうか。とにかく売れて、1日で800個を完売した時もある。

中谷本舗さんに「もう勘弁してくれ。それ以上は無理だよ」と言われたほどだ。

(*)MNHでは2012年3月に「東北に若者の雇用をつくる株式会社」を立ち上げ、地元産のものづくりを進めていたことから、この当時、頻繁に庄内町へ出張に行っていた。


いいなと思ったら応援しよう!