円安と円高、結局どっちがいい?
ダイヤモンドで有名な某宝飾店の人から、7月の売り上げがめちゃくちゃ伸びたという話を聞いた。
「円安の影響で8月に値上げをします」と顧客に電話して回ったところ、駆け込み需要が相次いだそうだ。この数年で僕らは円安に相当敏感になってしまった。小麦粉も牛肉も電気代も、家を建てるときの木材の費用だって、輸入に頼っているものはこの数年の円安のせいで爆上がりしている。
「いったいどこのどいつなんだ、円安がいいと言っていたのは!」
僕だけじゃなくて、世の大勢の人が思っているだろう。できることなら、あの円高の時代に戻って欲しい。
こんなことをいうと専門家風情からお決まりの答えが返ってくる。
「外国に商品を売りやすくなるから円安がいいんだよ」
いろんな立場があるかもしれない。だけど、日本に住む僕ら“個人”にとっては円高がいいに決まっているのだ。
これは、僕ら個人は最終的に何が欲しいのかを考えれば明らかだ。カネが欲しいのか、モノが欲しいのか。次の2択ならどちらを選ぶだろうか。
1好きなだけお金をもらえるが、物やサービスに交換できない。
2好きなだけ物やサービスをもらえるが、お金に交換できない。
札束の風呂に入りたいという奇特な人もいるかもしれないが、普通の人なら2を選ぶのではないだろうか。お金に価値を感じるのは、最終的に物やサービスに交換できるからだ。
個人にとっては生きていくために食料や住居などのモノが必要になる。ところが企業の視点になると話が変わる。会社が最終的に必要とするのはモノではなく、カネなのだ。稼いだお金から株主に配当を支払ったり、従業員に給料を支払ったりしなければいけない。
つまり、個人はモノを最大化することを考え、企業はカネを最大化しようとする。企業連合がつくる経済団体などは、政権に対して円安にしてほしいというお願いする。その結果、政府は量的緩和政策など、自然と円安の味方になる政策をとってきた。
ちなみに、インスタ https://www.instagram.com/tauchimnb/ で、上のような質問をしたところ、3000人以上が回答してくれた。
円高 1349票(41%)
円安 269票(8%)
むしろ知りたい 1650票(50%)
興味ない 59票(2%)
今年に入ってから150−160円の円安水準で推移していて、日本の製品が売れているかというとそうではない。7月30日に今年の上半期の貿易統計が発表されたが、なんと3兆2000億円の大赤字。日本製品は昔ほどの輝きはないのだ。1980年代は自動車や家電が日本の膨大な貿易黒字を牽引していたが、家電については輸入に頼るまでになってしまった。
モノを最大化したい個人にとっては円高が良くて、カネを最大化した企業にとっては円安が良い。どっちのがいいのかというと、円高であることは言うまでもない。国は企業のために存在しているのではなく、個人のために存在しているからだ。
この円安で外国人観光客が押し寄せ日本の観光産業はお金を儲けているが、僕ら個人は海外旅行へのハードルが高くなってしまった。
円高だったあの時代に戻ってほしい。僕は円高の味方であり続けたい。
*こちらは、週刊誌AERAに連載している「経済のミカタ」第3回の内容を一部変えて、投稿していいます*
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(いつもは今週の活動報告なのですが、今回は事情があっておすすめの本について書いてます)
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半径1mのお金と経済の話
お金や経済の話はとっつきにくく難しいですよね。ここでは、身近な話から広げて、お金や経済、社会の仕組みなどについて書いていこうと思います。 …
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