なぜだかいまを生きている
もうすぐ三十歳になる。この冬を超えて次の春がめぐって来るころには、人間デビュー三十周年だ。
書いていて自分でびっくりしてしまった。三十歳って。まさかわたしがそんな年齢になる日がくるなんてまったく想像していなかった。予測不可能なことが起きるのが人生か。
ありがたいことにわたしは健康体そのもので生きてきて、両親は健在で、祖父母は歳を重ねても楽しんで生きていた人たちだ。そういう環境で育っているのに、なぜだかわたしは、自分は二十七歳くらいまでしか生きないだろう、と思い込んで生きて