金曜日は日記を 20241102-1108
食べたり観たり読んだり、1週間の日記です。
20241102(Sat)
雨が降っている。近くの工場のトタン屋根に、雨粒が強く打ち付けられる音がする。この家にいると雨粒が打ち付けられる音ばかりが鳴り響いて、雨が降る音が聞こえない。そもそも降るときに音って鳴っているのだろうか。まあこんな日はもう、雨音も乱れる情緒も、イヤフォンにノイズキャンセリングしてもらって映画を観るに限ります。てことで、映画『ミッシング』を鑑賞。一人娘が誘拐された母を石原さとみさんが演じていて、その夫婦と周囲の人々の苦しみや葛藤が描かれている物語だった。石原さとみさんの演技が素晴らしすぎてしんどくなった。あれはもう演技って域を超えているように思える。人が正気を保っていられる限界の線が見えてくるような演技だった。その線の向こう側とこっち側を、なんとか残った理性で行ったり来たりしている様子がもうすごかった。希望を信じて目指しているはずなのに、毎日絶望でしかない世界。あの世界に光が差すことはあるのだろうか。
20241103(Sun)
海のすぐそば、空のすぐしたでルーローハン弁当を食べた。ルーローハンの具以外にも、漬物とか、鶏の薄いフライみたいなのとかたくさんの具がのっていてうれしいお弁当だった。お店の人が「ぜんぶくちゃくちゃに混ぜながら食べてくださいね」と教えてくれたので、くちゃくちゃにしながら食べた。ぐちゃぐちゃではなく、くちゃくちゃにするのがおいしく楽しく食べるポイントのような気がする。美しく盛り付けされているものを混ぜながら食べていくのはなかなかの背徳感があって変な昼食だった。混ぜても結局、フライとか漬物を探して引っぱり出して個別に食べてしまうの、なんか人間性出るなあ。
20241104(Mon)
モスバーガーのお月見フォカッチャを食べた。お月見系のものを今年は全然食べていなかったからなんか食べておかなくちゃ!という使命感があったので、11月になってもまだメニューに存在してくれていてありがたかった。そして、はじめて食べたモスのフォカッチャがおいしいことにおどろき! ハンバーガーショップ=ハンバーガーを食べる、という凝り固まった脳みそではたどりつけなかった新境地に、お月見フォカッチャが連れて行ってくれた。
20241105(Tue)
ネトフリでドラマ『最愛』を観返している。このドラマの松下洸平さん、まじでいいよなあ……あと、このドラマを観るといつも、もんじゃを食べたくなる。仕事がハチャメチャにうまくいっていなくても、殺人事件の容疑者だと疑われていても、主人公はいつだってもんじゃを食べる。その姿が好きだ。どんなにグッとくる台詞より、あのもんじゃを食べる姿に、主人公が強く生きようとする女性であることが伝わってくる気がする。『最愛』とは、松下洸平さんともんじゃのことが愛おしくなるドラマだ。(嘘)
20241106(Wed)
仕事でめちゃくちゃな要求をめちゃくちゃな言葉で投げつけてくる人がいてびっくりした。こんな人いるんだ……と、もうみんなで茫然とする。この令和の時代に、だれかと仕事をしている人としてこんな人が存在するなんて。もはや希少な天然記念物。現代のドラマだったら悪役ポジションのキャラクターが言ってそうなことばかり投げつけてくる。こんな人、実在するんだなあ。まあ現実にもこうやって実在するから、ああいうキャラクターが描かれるのか。と、なんだか思考がエンタメの世界へ飛んで行ってしまうほどのおどろきなのであった。非日常の体験をありがとう。
20241107(Thu)
無印良品の古書スペースで『チーズと塩と豆と』という本を見つける。なつかしい。学生時代に持っていて、すごく好きな本だった。友人に貸してあげて、そのまま返ってこなかった本だ。貸しパクの本。なつかしすぎるので買って読んだ。読んでいると、むかし読んでいたときのことを思い出した。本棚の横に水玉模様のクッションを置いて、そこに座って読んでいて、うすいクッションだから二編目くらいからおしりがとても痛かった。なんて、なんだかそんなことまで思い出した。本って読んでた時間のことも含めて覚えていたりもするものだ。
20241108(Fri)
朝から短歌の副読本を読む。察しの悪い人間なもので、なかなか短歌だけだと深くその世界を味わうことができない。だからその短歌の解説とか背景が書かれている副読本にすごく助けられている。その短歌が描く世界のすべては書かれていないのかもしれないけれど、なんとなく方向性を知る足掛かりにはなりそうな気がして何度も読んでいる。好きな短歌の、たった31音からひろがる色彩豊かな世界にうっとりする。言葉足らずなあの人の、秘めた魅力に気付いたときの気分だ。人間にも副読本があればいいのにね。