運動音痴がジムに行ってみた話 #2 燃えよ体幹編

@前回のあらすじ
体力がなく運動もからきしな私・mmは、叔父の誘いを受け近所のスポーツジムに通い始める。はじめは筋肉痛に苦しみ、鼻に入る水に苦しみ、何で休みの日まで痛い思いをするのかと息巻いていたが、少しずつ、運動による恩恵に気づき始め、毎週少しずつ通っている。初回体験の案内を空で聞いていた私は、ひょんなことから個人プログラムの体験もすることに。果たしてどうなることやら。

私が通っているスポーツジムには、マシンだけでなく個人プログラムが用意されている。「痩せたい」「筋肉増強」目的に合わせたプログラムで、専属トレーナーさんが指導にあたってくれる。もちろん自分でメニューを決め、好きな器具でトレーニングすることも可能だが、やはり餅は餅屋。そこにトレーナーさんが加わると心強い。

下半身周りが太ったから引き締めたい、綺麗なくびれを作りたい、筋肉をメイキングしたい。とにかく異性から死ぬほどモテたい。右往左往、日々自らのカラダ、今後について悩む人々が、プログラムを申し込んでおり、トレーナーさんはそれを解決するべく、日々動いている。

そんな中で私の頼みといえば、「体幹を良くしたい」。ということだ。

私は魚卵と満員電車が苦手である。それと同様揺れる電車がとても苦手だ。
つり革がない時は非常にまずい。いつもついついバランスを崩してしまい、混んでる電車に乗る際は、ネプ●ーグFinalの乗り物に乗る体勢(気概)で臨んでいる。
フィクションにて「電車が揺れた勢いで、座っているおじさんに壁ドンしちゃった、きゅんっ」という演出があるが、私もいつそうなるかわからない。そんなのおうちで一人片足立ちでもしていたら良いと思うかもしれないが、とても困っている。プロなら何か、もっと良い方法を知っているかもしれない。

さて、時間になったので、私はいつものようにウォーミングアップをしてから待ち合わせの場所に向かった。其処にはフェイスシールドとマスク、何よりバッチリ引き締まったトレーナーさんと受付の方が待っていた。

「mmさん、よろしくお願いしますね」爽やかな笑顔の男性だが、今後何が起きるんだろう。実はものすごくスパルタだったりして。大丈夫だろうか。否、何事も経験。経験だ。
こうしてトレーナーさんとの個人プログラムが始まった。

「今回はおためし版なので、回数を少しだけ減らしましょうか。
じゃあ、まずはこのマシン、やってみましょう。」
トレーナーさんと共に、私は再びマシンの元へ向かった。それもさっき触っていたマシンである。「ちょっと、やってみてもらっても良いですか?」

なんだ、プログラムと銘打ったって、結局いつもの通りじゃないか。それともおためしだからこんな感じなのかな。ひとまず通常の通りやってみる。

「では、今度は姿勢をこう直して、もっとゆっくり。やってみましょう。」
!!途端に上がらなくなった。重さを変えていないのに、重りが重い。重さが、かかるべき部分にどっしり乗しかかる。これまで私がやっていたことはなんだったのか。姿勢でこうも変わるのか。

「スピードを上げて何回もやることも出来ますが、姿勢が悪くなりやすいし、体も痛めやすいんです。筋力をつけるためには、こういうゆっくりしたやり方をお勧めしますよ。筋肉痛にもなりにくいです」

な、なるほど・・・。
急いで回数を増やしたからって、良いわけでもないんだ・・・。



・・・

さて場面は移り、個人トレーニングが始まった。

まず最初にやったのは、片手バランス。
よく見るこういうやつである。

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このトレーニング。なんでみんなこの姿勢をキープできるんだろう。私はどうしても上図のようになってしまう。私の体は大きく傾いている。左利きということもあり(?)右手を離した途端、なんでかわからないけど前につんのめる。前後に揺れても手をつきかけてもとにかくキープ。キープ。キープ。キープです!という声を横流ししながら制限時間を耐える。こんなブレブレな選手宣誓は聞いたことがない。


お次は車輪を両手で持ち、尻を上げないように、前後に転がすトレーニング。

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見る分にはただコロコロ転がすだけではないかと思っていたが、これがまた大変なのだ。尻を上げずにやることがポイントで、気を抜くとすぐに倒れそうになる。お腹もプルプルするし、余計な力がどうしても入ってしまう。
私はコテっと何回か横転しかけた。とんだオート三輪である。

「これ一番きついですよ、明日筋肉痛かもしれないですね(笑)」
乾いた笑いを浮かべつつも、やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、うまく行けば褒めてくださるトレーナーさんに、1日中とてもお世話になった。

「本当のプログラムでは、もう少しメニューを増やして、継続的にやっていく流れになりますね」お申し込みされますか?とお決まりの言葉に対し、私は考えます、と返答した。もっと明確な目標が決まったら、この人の力をお借りしよう。私はプルプルする下腹部とともに、その日はそのまま帰宅した。

・・・

私の体幹は、とても歪んでいる。自分で思っているよりもずっとだ。
気づいていないだけで、大きく逸れたり歪んだりしていることが、他にもきっと、あるのだと思う。

物事のやり方には、この矯正作業というのが大切なのだと思う。
勢い任せで一作業を終わらせたり、窮地を乗り越えたとて、それは一時のことに過ぎない。また同じ境遇に陥った時、同じように対処できるかはわからない。そして慣れたものでも、姿勢を調整しなければならない。

そして、大きく歪んでいるものは、一度には直せない。
時間をかけてじっくり直すしかない。

そして、初めから上手にできるものなどいない。
だからこそ、下手でも始めることが大切だし、じっくり続けて、その都度振り返ることが大切なのだった。

あの方は、本当はこういうことを伝えたかったのかもしれないなと思いつつ、私はI'ts My Lifeをかけながら、自宅で片手片足バランスを続けるのであった。

次回「はじめてのともだち編」続く。

おまけ

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
これまでのお話はこちらです。

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