見出し画像

今月の読書記録 -3月編-

こんにちは。mmです。
年度末は何かとそわそわしますね。Audibleに味を占めて短編小説をちょっとずつ齧っています。楽しい。
若干お酒の入った状態で。今月の読書記録を始めます。

推し、燃ゆ

「推しは私の背骨」
突然推しが炎上した主人公の喪失と再生。

狭くて濃厚な学生時代の中で、何か拠り所を見つけて生活を保つ心情がリアルでした。ネットの記事に書かれた推しへの批判を自分から見に行ったり、推しを通じてファン同士の交流が生まれたり、推しを持っている人は皆共感する要素が散りばめられています。側から見たら滑稽でも、当人にとっては生活を支える重要なこと。

憧れと庇護欲と、他色々な心情を掻き立てる「推し」。
「アイドルだって一人の人間」という意見もあるにしろ、人に推される存在は推す側の色々な業を背負っているんじゃないかと思ったりしました。
主人公を構成する「背骨」と「肉」の描き方が見事です。

あひる

あひるが我が家にやってきた頃から、家庭に生じる違和感。

今村夏子さんの作品は「こちらあみ子」以来読めてなかったのですが、久しぶりに。登場人物にデフォルトで説明されている情報が少なく、限られた人物の主観で形作られた人物像は、違和感や謎を残したまま終わります。
物語のため、それが不思議さや不気味さとして映るものの、それは普段自分が他人に下す判断と同じ。如何に信用できないかを感じます。個人的には「おばあちゃんの家」が好きです。

本当に賢い人の丸く収める技術

交渉というとハードルが高く感じましたが、「相手の希望を可能な限り想定し、自分の意見も明確にしておく」は普通のやりとりでも重要な部分だと思いました。
相手を負かすのは後々のやりとりにも影響するから推奨できない、かといって自分の意見がなければ相手に押される。
交渉の場ではあくまで塩梅を探すだけにとどめる重要さが勉強になりました。

悲しみの秘儀

「悲しみを忌み嫌う人には、悲しみから何かを得ようとする人の考えは分からない」

本書は、悲しみの乗り越え方より「悲しみから何を得るのか、得てきたのか」に焦点を当てた本です。
著者は自らの苦しみの中で「自分の内なる声に気付かないうちは、他人の声にも気付かない」とし、同じように「内なる声」を見つけた詩人らの作品に触れながら、孤独と癒しについての内容がまとめられています。

人の悲しみはそれぞれで、「自分より辛い人間は沢山いる」から、同じように悲しみに暮れた味方は沢山いる。
悲しみから得るものは沢山あると勇気をもらった本です。

小さきものへ

妻を早くに亡くした父親が、3人の子供に宛てた手紙。
妻が結核で亡くなった当初の不安な気持ち、仕事に追われ、疲れから子供を怒鳴ってしまった懺悔と、何よりの感謝が綴られており、親の年齢に近づくにつれ読み方が変わってくる作品です。心に沁みました。
「私は私のなすべきことをしたから、あなたもあなたのなすべきことをしなさい」
自分にとって舞台が変わった瞬間に何度も読み返したい本です。

まとめ

今月は小説を多く読んだ日でした。
友達でも家族でもない、本に伝えられる感覚って独特で不思議ですよね。4月も多くの作品に出会えたらいいなと思います。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?