唯一の後悔
今となっては基本的に脱力系なマインドをもって生きているのだが、私もかつては吹奏楽部でトランペットを吹き、時間も忘れて音楽にのめりこむ毎日を送っていた。
今から話すのは私の中で唯一の後悔といってもいいのではないかと思う。
高二、部活引退前最後の文化祭(コンクールだったかな、、、)のこと。
私は金管セクションリーダーをしていた。(簡単にこの役職を説明すると、運営ではなく技術面で金管パートを率いていくというものだ。)
そのころ、何がきっかけだったのかはいまいち、というか全く覚えていないが、顧問の先生と部全体がもめていた。
それに、自分の後輩たちの演奏面での成長がみられない。というかそもそも、練習してるのかというくらいの進展具合。
また、それと同時進行で自分たちの学年の中でも派閥とまではいかないが、温度差の違いや気持ちのすれ違いによる行き違いが起こっていた。
私は性格的にみんなの橋渡し役を引き受けることが多く、その行き違いを修復するのも、私の仕事だった。というか、そう思っていた
他にも、同期の運営部隊に対して思うことがあったり、、、、、
この各所のいざこざというか、悩みの中、正直音楽があんまり楽しくなくなっていていた。義務感だけが部活にいく理由だった。
そして、別件で生徒会のお手伝いもしていたので、だんだん吹奏楽部よりもそっちに入り浸るようになった。
ある日、あまりにも最高学年の雰囲気が良くないという意見がミーティングにあがった。
まぁ、納得だった。自分も悪い雰囲気を作っている自覚もあった。
私は後輩の演奏面や練習態度を指導して、先生vs生徒の闘いの中立に立ち、いらいらしてしまっている同期をなだめ、思いのすれ違いをうまく修正しようと努力していた。
私だけが頑張ってる、他のみんなはそんな思いはまるで知らない、私しかちゃんとしてない。。。
そう思っていたから、部活からつい逃げてしまった。
ミーティングの中で、それぞれがそれぞれの思いをきちんと言う場面があった。
それを聞いた直後は、というか引退するまで、、みんなすごい苦労してるみたいだけど、でも私の方が大変じゃんと思ってた。
自分が黙って頑張ればいいんだと投げやりでテキトーな気持ちになって、正直、同期に対して期待しないようにしていた。あきらめていた。
でも、今。卒業して何年か経った今。
同期たちと純粋に友達として話すようになってから。
思うのは、あの時、みんな全力だったということ。
各々が全身全霊で部活を思っていたこと。
あの時の自分には、全然考えてないように見えた人でもその人はその人なりの全力で考えてた。
私は自分の考えや価値観を相手に押し付け、勝手に相手の価値を自分の中で固定化し、評価を確定してしまっていた。
相手を知ろうともしていなかったなぁと思う。視野が狭すぎた。
部活に入った頃は、ただただ純粋に音楽を楽しんだ友達一人ひとりを、ただの役職でしか見れなくなっていた。
トロンボーンのAちゃん、ではなく、部長
同じパートのBちゃん、ではなく、副部長
何で部長なのに、、なんで副部長なのに、、、、そういう不満ばっかりだった。
Aちゃんの芯があってまろやかな音が好き、Bちゃんの粗削りだけどまっすぐで正直な音が好き。
そんなことを言い合って音楽をしてたのに、文字通り、音を楽しんでいたのに、、、、
だから、今、おんなじような状況にいる方は、いったん思い出してみてほしい。
役職がつく前のこと。
唯一の後悔。
気づかなかったこと。
みんなの努力。
忘れてたこと。
大切なともだち。
このことを学ばせてくれた、唯一の後悔に感謝を込めて、、
終