遅刻とあの子とコンビニと
私はいつも遅刻ギリギリだ。
早起きが苦手というのも確かだけれど、根本がだらしないのだ。
例えば、以前朝7時出勤だった時はそれに合わせて起きていたのに、9時出勤の今は7時でさえ起きられないでいる。
加えて所謂「5分前行動」が大の苦手。
待っている時間がもったいないのと、それが仕事であれば1分でもサービス残業をしたくない。
よって、私は出勤2分前に打刻がデフォ。
そんな私は毎朝出勤途中にコンビニに寄ってコーヒーを買っている。
遅刻しそうなくせに悠長な…。
ここのコンビニは嬉しい事にマイボトル割があり、エコと保温からいつもタンブラーを持参している。
この割引を利用する客が少ないのか、初めの頃はよく値段を打ち間違えられその都度小声で「すみません、タンブラー割でもいいですか?」と聞いていた。
最近は数人いる店員さんみんなが私を覚えてくれたようで、お会計が済んでからマシーンを稼働していたのが、今となっては私がカード決済している間に淹れてくれるまでに。
今朝は珍しく10分くらい早く家を出た。
そしていつも通りコンビニに寄り、野菜ジュースとタンブラーをレジへ。
店員さんは、何度かレジ打ちしてくれた事のある年配の女性だった。
マイボトル割をなかなか覚えられない人で、コーヒーを入れるのも時間がかかる人。
だけど今日は余裕があるし、もし割引をまた忘れられても大丈夫ーーー
とタカを括っていたのがいけなかった。
カード決済の間にコーヒーを淹れてくれるというスピードを身に着けていて素晴らしいと思ったのも束の間、店員さんが青ざめた。
「あ、あの、ホットミルクじゃないですよね…?」
え?
「コーヒーは今ちゃんとブラックを入れてるんですけど、レジをホットミルクで打ってしまって…」
な、なぜ…。
取り消し処理をしたいようなのだがもたついている。
ああ、余裕をもって家を出たのに…と若干苛立ちと焦りで店内の時計を探した瞬間、男の人と目が合った。
この人もレジ待ちかなと思ったらおもむろにカウンターに入っていった。
どうやら退勤後か出勤前の店員さんだったようだ。
それからはスムーズに取り消しと再度会計をし、いつの間にか出来上がっていたコーヒーを受け取って店を出た。
折角今日は10分前に出勤出来ると思ったのに今日も2分前だ。
あの店員さんはいつになったら問題なくレジが打てるようになるのだろう。
いや、ミスは誰にでもある事だし店員さんも年配の方だからレジ打ちに時間がかかるのはしょうがない。
いやいや、店員さんだってまさかこんな遅刻ギリギリで買い物に来る客が存在するなんて想像だにするはずがない。
もしこれが信号だったら?
家から会社までの信号が全部赤だったら、それでも遅刻しないで出勤出来た?
今朝はたまたま店員さんのミスによるロスだったけども、信号だったり天気だったり、いくらでもアクシデントはある。
いつもGoogleマップの経路検索の如く最短距離から自動換算された所要時間しか見ていないからこうなるのだ。
普通の人なら理解不能だろうけど、これが遅刻脳。
いや流石に改めよう…。
遅刻は店員さんのせいじゃなくて、自分のせいです。