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ファミリー

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この世界では、20歳までが寿命だと決められている。 僕は、そうした人たちの命日を見送る施設で働いている。 僕は、家族と毎日対話をする。 ある日、対話の後、レインが「死ぬのがこわい…
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#小説

ファミリー #1

 手渡されたボールを持ったとき、僕はいつもその柔らかさに拍子抜けしてしまう。心の中にある…

大塚雅美
10か月前
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ファミリー #2

「うーん、だって。おいしいものとか、たのしいこととか、まだまだ体験したいし。二十年は短す…

大塚雅美
10か月前
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ファミリー #8

 僕らは、見回りながら入り口に集合する。僕らを確認するとリーダーのポムが、壁のハッチを開…

大塚雅美
10か月前
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ファミリー #10

 そして、ロボットが僕をめがけて加速してきた瞬間に僕は飛び上がった。黒いロボットはすごい…

大塚雅美
10か月前
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ファミリー #11

 森を歩いていたら、いつまで歩いても景色が変わらない暗闇になってしまった。僕らは叫んで泣…

大塚雅美
10か月前
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ファミリー #12

 晩ご飯の準備はみんなでした。僕らは料理も自分たちでする。僕がお米を研いで、炊飯器に入れ…

大塚雅美
10か月前
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ファミリー #13

 イナモが机を拭いて、サマーがその机をどかす。僕とレインは椅子をいったん広げて、机を脇にどかすのを手伝う。それから、僕らは椅子をまた輪に並べて、座り直す。  今日は僕は、サマーの椅子に座った。 「では、対話の心構えを。」  サマーがみんなに声を掛ける。 「素直な言葉を探すこと」  サマーの隣に座っていたレインが言う。 「否定しないで、置いておくこと」  その隣のモクが言う。 「よく聞くこと」  その隣の僕が言う。 「問いもまた置いておかれる」  僕の隣のイナモが言った。 「そ