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北緯66度33分以北 その①
北緯66度以北ときいて興奮が止まらない女である。
それには何個かの理由がある。北極にしか生息しないシロクマが大好きすぎるのと、中学のころから聞き続けている大好きなロックバンドのファンクラブの名前のついている島がノルウェーの北極圏に存在しているということ。そして何より小学生の頃から紀行文学が大好きでありそのほとんどが、アジアやヨーロッパ、北米、南米、アフリカ大陸へと連れて行ってくれるが北極圏まで連れて行ってくれる文は少ない。
パッケージ化された北極の旅は、富裕層を相手に全世界中の旅行代理店で紹介されているだろうから特段興味は湧かない(ただ安全にシロクマを見ることができるのは魅力的…)TVなどでも美しく厳しい北極の姿は誰しも見たことがあるだろ。
大学に入学し、バイト代で貯めた金を使い長期の休みを利用して小学生や中学生の頃に読んだ紀行文の中に出てきて気になった国には実際に訪れた。 そこでの生活などを覗くことで幼いころの救いになっていた紀行文学の地を踏みしめるのは楽しくもあり、紀行文には書かれていない過酷な現実も突き付けてくる。
そんな過酷さを端的に表現したお気に入りの本がある。
北欧三国にまたがるラップランドでのロングトレイルを記した文はこれまでの北極への憧れをさらに強くした一冊である。もともとはフィンランドを深く知るために読んでいたが北欧三国にわたるラップランドの魅力とロングトレイルの険しい道のりはこれまで読んだ紀行文の中では共感できることが少なく、これからの人生においても行くことはないだろうなという感覚で読んでいた。しかし、かなり引き込まれた。
文の途中ででてくるスポンジ跳び箱地獄と比喩されいるラップランドでのトレイルをヘルシンキに近い国立公園内でのトレイルで少し体験することができた時、ラップランドに思いを馳せた。
スポンジのように水分を吸収した苔や、草たちが森の中で誰にも踏まれることなく成長している場に足を踏み入れると、スポンジに足を突っ込むような感覚になる。そして広大な森の中でそれらは広がっており、足元にまとわりつき跳び箱のように跳んでいかないと一歩が踏み出せない。この写真の場であるヌークシオ国立公園[Nuuksio National Park]では跳び箱ほどの表現はうまれないが、とてもいい場所である。
そして今週末のMidsummerは北極圏でもあるRovaniemiで過ごすことにした。滞在日数の関係と見なければいけないものがたくさんあるのでトレイルは叶わないかもしれないが、北緯66度33分以北についに足を踏み入れることができる。
現在、白夜でもあるRovaniemiの街でどんな体験ができるのかとても楽しみである。