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255:世界の切断面に投射されたモデルを切断面とともに「視界」として体験する

昼寝から起きて,天井を見上げていたときに,世界の切断面は視界の果てと重なり合っているということが閃いた.世界の切断面としては,空や天井といった何からの平面が想定されている.それ以上は世界が見れないという平面まで,私は自分の視界を投射する.世界を切断する平面に私が自分の視界を投射してはじめて,私が見ている「視界」が現れる.私の視界はその場にいる私が世界から受け取る情報すべてからできている.すべての情報というのは,眼からの視覚的情報だけでなく,触覚や聴覚などすべての感覚から得られているものが,脳を含んだ身体で処理されたものである.世界のある地点にいる私が世界から受け取った情報ととともに世界のモデルを形成し,それを世界の切断面に投射して,私は「視界」を見る.世界の切断面として空や天井や壁といった遮蔽物があり,その遮蔽物に私が世界のモデルを投射する.切断面に投射されたモデルを切断面とともに「視界」として体験している.

まずは切断された世界からの膨大な情報が身体に流れ込み,脳を含めた身体で処理して,そこから意識に生じた世界のモデルを世界の切断面に向けて投射する.そして,モデルが重ねられた世界の切断面を「視界」として体験する.私が意識できるのはカッコづけの「視界」であって,それ以前の世界の切断面と意識に生じる「切断された世界のモデル」には,私はアクセスできない.世界は私とは関係なく切断されているが,切断は私の位置によって決定される.私が世界を移動していくと,世界が切断されていき,切断された世界のモデルが私のなかでつくられ,モデルが切断面に投射され,私は自らの「視界」を体験していく.

「視界」形成のプロセスにスマートフォンが入り込んで,もう一つの「視界」をつくる.私の「視界」にスマートフォンの「視界」が現れる.スマートフォンのカメラは世界を切断すると同時に「視界」を私に提示する.その「視界」は,スマートフォンが切断された世界からの情報を処理して,ディスプレイに表示したものである.このプロセスを持っているからこそ,スマートフォンもまた「視界」をつくっていると言える.しかし,スマートフォンにモデルの投射のプロセスがあるかはわからない.スマートフォンが構築したモデルは切断された世界に投射されるのではなく,私の「視界」に向けて投射されると言えるかもしれない.私のというか,ヒトの「視界」と似るように切断された世界からの光の情報を処理されたモデルは,私の「視界」に投射される.私の「視界」にスマートフォンがつくるもう一つの「視界」が現れる.私は二つの「視界」を体験する.私はスマートフォンの「視界」と自分の「視界」を同時に見て,比較して,いいかなと思ったら,ボタンを押す.私は自分の「視界」を記録しているようで,実際には,自分の「視界」と近似したスマートフォンの「視界」を記録している.

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