中日・高橋宏斗、「防御率0点台」「被本塁打ゼロ」に挑戦
中日ドラゴンズの若きエース・高橋宏斗が、大記録に挑戦している。
一つは、「シーズン防御率0点台」であり、もう一つは「シーズン被本塁打ゼロ」である。
高橋宏斗はその後、8月13日にシーズン15試合目の登板を果たしたが、10勝1敗、防御率0.68という驚異的な成績を残している。
2リーグ分立後、シーズン最高防御率は村山実の「0.98」
NPBが1950年に2リーグに分立して以降、投手個人のシーズン最高防御率は、1970年、阪神タイガースの村山実の0.98である。
村山実はこの年、33歳で投手と兼任監督という重責を背負いながら、25試合に登板、うち19試合で先発し、14勝3敗、防御率0.98という驚異的な数字を残した。7月7日には、甲子園球場での対大洋ホエールズ戦で完封勝利を挙げ、NPB史上14人目となる通算200勝に到達している。
監督としても、川上哲治率いる読売ジャイアンツと終盤まで首位争いを繰り広げ、最終的には2ゲーム差の2位に終わった。
村山は10月18日、川崎球場での対ヤクルトスワローズ戦に先発したが、この試合までシーズン147イニングを投げて、自責点は17、防御率1.041。
従って、村山はこの試合で6回1/3以上を投げて自責点0に抑えれば、2リーグ分立後、初となる、規定投球回数に到達して防御率0点台の投手となる見込みであった。
村山はヤクルト打線に対し、5四球を与えながらも力投し、被安打7、4奪三振で、9回を一人で投げぬき、シーズン5度目となる完封勝利で14勝目を挙げ、防御率0.98となり、ついにシーズンで初めて防御率0点台に突入した。
NPBが2リーグ分立後のレギュラーシーズンで規定投球回数に到達して防御率0点台を記録した投手は村山実、ただ一人だけである。
高橋宏斗は現在、106イニングを投げて自責点8(失点13)であり、規定投球回数に到達するまであと37イニングが必要となる。
高橋宏斗が今後も中6日の先発ローテーションを守ると、今日の試合を含めてあと7試合は先発のチャンスがありそうだ。
そうなると、各先発登板で最低でも6-7イニングを投げ切れないと、今季の規定投球回数に到達することはできない。
なおかつ、高橋宏斗が規定投球回数に到達した以降で許される自責点は以下の通りとなる。
今季の高橋宏斗にとって、決して実現不可能な数字ではないが、1度でも「炎上」してしまうと、防御率0点台でシーズンを終えることは難しくなる。
NPB2リーグ分立後、「規定投球回数に到達で被本塁打ゼロ」は史上初
高橋宏斗が挑むもう一つの「史上初」は、規定投球回数に到達して最少被本塁打数である。
NPBの2リーグ分立後のレギュラーシーズンで、規定投球回数に到達して、なおかつ、「被本塁打ゼロ」でシーズンを終えた投手は一人もいない。
これまで投手の被本塁打数のシーズン最小記録は、1956年の稲尾和久(西鉄ライオンズ)、2012年のウルフ(北海道日本ハムファイターズ)、2023年の山本由伸(オリックス・バファローズ)の2本である。
2リーグ分立前には1943年に、南海軍(現在の福岡ソフトバンクホークス)の別所昭(のちの別所毅彦)が319回1/3を投げて被本塁打ゼロを記録している。