西武・高橋光成、62年ぶり「開幕11連敗」(NPB史上4人目)
埼玉西武ライオンズの高橋光成が「負のトンネル」から抜け出せない。
高橋光成は9月3日、対オリックス・バファローズ戦に今季14度目の先発登板をしたが、7回途中、6回2/3を投げ、3失点でマウンドを降りた。
試合はオリックスが3対2で西武を下し、西武は今季80敗目、高橋光成は今季勝ち星なしの11連敗となった。
高橋光成、NPBで「シーズン開幕から11連敗」は史上4人目、ワースト記録まであと「2」
NPBのレギュラーシーズンで、開幕から11連敗を喫した投手は、1950年の成田啓二(国鉄スワローズ・新人、11連敗)、1956年の権藤正利(大洋ホエールズ、13連敗)、1960年の大津守(近鉄バファロー、11連敗)以来、4人目となり、パ・リーグでは大津と並び、ワーストタイ記録。
NPBのワースト記録を持つ権藤の13連敗に、あと「2」と迫った。
「シーズン11連敗」は史上14人、16度目
高橋光成の11連敗はNPBでは2017年の石川雅規(東京ヤクルトスワローズ)の11連敗以来、7年ぶり14人目で、のべ16度目。
西武の投手では前身のチームを含めて、2022年の隅田知一郎(新人)、パ・リーグでも2016年の東明大貴(オリックス・バファローズ)の10連敗を抜いた(2016年の東明、2022年の隅田は救援での敗戦を1試合づつ含む。なお、隅田はシーズンをまたぎ、2022年から2023年にかけて12連敗)。
「すべて先発でシーズン11連敗」は2017年の石川雅規以来、「開幕から」はNPB史上初
高橋光成は今季開幕から14試合オール先発で11連敗だが、2017年の石川雅規はシーズン途中からオール先発で15試合連続で勝ち星がなく11連敗であった。
なお、すべて先発登板での開幕11連敗は高橋光成がNPB史上初である。
シーズン最長連敗記録は「15」、シーズンをまたぐ最長連敗記録は「28」
シーズン開幕からに限らない、投手のシーズン連敗記録は、1966年の梶本隆夫(阪急ブレーブス)の15連敗となっている。
梶本はこの年、開幕から2連勝した後、パタリと勝てなくなり、15連敗でシーズンを終えた。
この年、阪急のチーム勝ち頭は、パ・リーグ最多勝のタイトルを獲得した米田哲也で25勝(17敗)を挙げているが、防御率3.19はリーグ19位で、一方、梶本は防御率3.68でリーグ20位で、2勝15敗という成績であった。
さらに、シーズンをまたいだ投手の連敗記録は、1955年から1957年にかけて権藤正利(大洋ホエールズ)がつくった28連敗である。
権藤正利は1955年のシーズン途中から8連敗でシーズンを終えると(3勝21敗、防御率3.73)、1956年はシーズン開幕から13連敗、0勝13敗、防御率4.03でシーズンを終え、1957年もシーズン開幕から7連敗したところで、7月7日、対読売ジャイアンツ戦で自ら先制タイムリーヒットを放ち、完封勝利を挙げ、自身の連敗を「28」で止めた(この年は12勝17敗、防御率2.74)。
なお、権藤が所属する大洋は1950年の球団創設以来、10年連続でBクラスに沈み、特に1954年から1959年まで6年連続最下位であった。
だが、三原脩監督が指揮を執った初年度の1960年、権藤が12勝5敗、防御率1.42という成績を挙げるなどの活躍で、大洋は球団創設11年目で初のAクラス、初のリーグ優勝、そして初の日本一に輝いている。
「開幕からシーズン11連敗以上」を喫した投手でシーズン未勝利を回避したのは一人だけ
NPBで過去、シーズン開幕から11連敗を喫した投手3人のうち、1950年の成田啓二はプロデビューから11連敗の後、6月21日、石川県兼六園球場で行われた対大洋ホエールズ戦で9回を一人で投げ切り、1失点完投でプロ初勝利を挙げた。
しかし、1953年の権藤正利は開幕から13連敗でシーズンを終え、1960年の大津守も11連敗のまま、勝ち星を挙げられず終えた。
西武は2017年のヤクルトの「96敗」を回避できるか
高橋光成が所属する西武は今季残り23試合。
現在、38勝80敗2引分け、勝率.322で、1961年の近鉄バファローの103敗(勝率.261)に次ぎ、NPB史上2度目のシーズン100敗は免れそうだが、2017年の東京ヤクルトスワローズの96敗(勝率.319)に迫り、追い越す可能性がある。
今季、西武と高橋光成は1勝でも多くファンに勝利を届けたい。
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