ロッテ・荻野貴司(38歳)、今季初の三塁打

千葉ロッテマリーンズの外野手・荻野貴司は今季プロ15年目、38歳の大ベテランだが、準レギュラー級の活躍を見せている。


荻野貴司、途中出場で三塁打を含む3安打猛打賞

9月8日、ZOZOマリンスタジアムで行われた対東北楽天ゴールデンイーグルス戦で、荻野はベンチスタート。

パ・リーグ3位のロッテは4位の楽天との対戦となったこのカード、1勝2敗で迎え、クライマックスシリーズ進出に向け負けられない中、先発に佐々木朗希を立てて臨んだ。

しかし、佐々木は序盤から制球に苦しみ、初回、先制点を許してしまう。
ロッテは3回裏に9番・藤原恭大のタイムリー三塁打、1番・小川龍成のタイムリー安打で2点を奪って勝ち越したが、佐々木は勝利投手の権利が懸かった5回表、再び勝越しを許し、5回3失点と本調子とはいえない内容となった。

ロッテは2対3で迎えた5回裏の攻撃、楽天の先発・内星龍を攻め、一死満塁のチャンスをつくると、3番のネフタリ・ソトがレフトへ勝ち越しとなるタイムリー安打を放ち、5対3と再びリード。
さらに1死一、二塁のチャンス、4番・角中勝也を迎えたところで、楽天ベンチから2番手の左腕・弓削隼人がコールされると、荻野貴司が角中の代打で登場。
荻野は弓削の4球目を叩くと、センター前に運び、一死満塁のチャンスに広げると、次打者の5番、グレゴリー・ポランコのタイムリー安打を呼び込み、ロッテが6-3とリードを広げた。

さらに、ロッテが6対4と2点リードで迎えた7回裏、先頭打者として打席に立った荻野は、楽天の4番手の宋家豪の3球目を叩く、打球が右中間を深々と破る間に、快足を飛ばして迷わず二塁を蹴って三塁へ、そして頭から滑り込んだ。
荻野の今季初となる三塁打で、ロッテが再びチャンスをつくると、続く6番・途中出場の愛斗が初球を叩いてレフト前に運ぶタイムリー安打で、三塁から荻野が生還、7対4と3点のリードに広げた。

続く8回、ロッテは2死二塁の場面で、3番・ソトの今季16号2ランホームランで9対5とリードを広げると、続く荻野も、レフト前ヒットを放ち、この日、3本目となる安打を記録、今季4度目の猛打賞をマークした。

試合はロッテが9対5で逃げ切り、勝利投手は佐々木朗希(今季8勝4敗)。
ロッテは4位・楽天とのゲーム差を「2.5」に広げ、この日、敗れた2位・日本ハムとのゲーム差を「4.5」に縮めた。

この日、ロッテのヒーローインタビューは藤原恭大ソトが選ばれたが、もう一人のヒーローは紛れもなく、荻野であった。

荻野の三塁打の到達スピードは11秒4、今季途中出場時の打率.320

荻野は今季、規定打席には到達していないが、70試合の出場で、打率.251、1本塁打、14打点をマークしている(9月10日現在)。
2021年に36歳で自身初となる、パ・リーグの盗塁王のタイトルを獲得したものの、今季はまだ盗塁はゼロ。
だが、この日、荻野が放った三塁打では、打ってから三塁に到達するまで11秒4と、リーグでもトップクラスのスピードを見せている。

しかも、先発出場した30試合のうち、リードオフマンを務めた試合が22試合あり、また、代打で出場した時は打率.154と奮わないものの、途中出場した40試合では打率.320、1本塁打、5打点と、首脳陣の期待に応えている。

荻野、NPB通算4000打数超えで通算打率.282は歴代102位

荻野貴司は来季を39歳で迎えるが、チームからはまだまだ必要とされる存在だ。

荻野は関西学院大学、トヨタ自動車を経て、2009年ドラフト会議でロッテから1位指名されて入団したものの、若い頃はケガに苦しんだ。
ルーキーイヤーの2010年、ロッテでは25年ぶりとなる新人外野手として開幕戦先発出場を果たし、3月20日、西武ドームでの対埼玉西武ライオンズ戦で「2番・センター」でプロ初安打を記録すると、3月26日、千葉マリンスタジアムでの本拠地開幕戦となった対北海道日本ハムファイターズ戦では1回裏に、日本ハム先発の八木からプロ入り初本塁打となる逆転2ランを放った。

荻野はその後も、不動の「2番・センター」として開幕から46試合で打率.326、25盗塁を記録し、新人王当確ともいえる活躍を見せた。
だが、5月21日、千葉マリンスタジアムでの対東京ヤクルトスワローズ戦で二盗を試みてスライディングした際に右膝を負傷、右膝外側半月板損傷で全治2か月の大けがを負い、半月板の部分切除手術を受け、残りのシーズンを棒に振った。
この年、ロッテはレギュラーシーズン3位で終えたものの、クライマックスシリーズで勝ちあがり、2005年以来となる「下剋上」を成し遂げた。
日本シリーズのメンバーに荻野の名前はなかったが、前半戦の荻野の活躍がなければ、下剋上による日本一もなかったことだろう。

荻野はその後も、度重なる故障・手術を繰り返したため、レギュラーシーズンでなかなか規定打席に到達しなかった。
2019年にプロ10年目でオールスターゲームにも初めて選出され、ようやく自身初となる規定打席に到達、打率.315でリーグ3位、キャリアハイとなる10本塁打、46打点、28盗塁をマーク。
2021年には35歳で自身2度目のオールスターゲームに選出、自身初の全試合出場を果たし、リーグ6位となる打率.296、10本塁打、新人から11年連続二桁盗塁となる24盗塁でこれまた自身初の盗塁王のタイトル、キャリアハイの169安打で自身初の最多安打のタイトルも同時に獲得している。

荻野は今季、NPBの通算打率のランキング入りの資格となる通算4000打数をクリアし、通算打率は.2818(4009打数1130安打)で目下、歴代102位となっている(なお、101位は同僚の角中勝也で、打率.2823)。

荻野貴司の限界はまだまだ先にある。

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