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PDCAサイクルの有効性

実はこの記事、4ヶ月近く前に書き出して、下書きのまま眠っていたものです。その時は読書記録として書こうと思ったようなのですが、続きを書いていくうちに脱線して「PDCAサイクル」の話になってしまいました。よければお付き合いください。

子どもの逆境に負けない力「レジリエンス」を育てる本
足立啓美/鈴木水季 著
株式会社 法研
令和4年2月23日 第1刷発行

この本は職場の人が「興味ありそうな内容だったから」ということで貸してくれました。この本によると「レジリエンス」とは、「折れない心」ではなく、「立ち直れるしなやかな心」のことだそうです。


仕事を通して子どもと接するなかで、次のようなことに気がつきました。
「指摘・注意」の受け止め方がわからない
例えば、私に「図書室で大きな声を出さないように」と言われた時、子どものなかに「注意された」という意識だけが残ってしまい、ふてくされたり、大声を出して騒いでいたという事実があるのにも関わらず「騒いでいません」と否定したり(ごまかしたり)、「僕のせいじゃない。○○くんが先にしゃべりました」などと責任転嫁をしたりする子どもがいます。※もちろん全員ではありません。むしろ私が仕事で接している子どもは非常に素直で、注意されると素直に「ごめんなさい」ができる子が多いです。

「指摘・注意」をされるとひどく傷つく
「指摘・注意」をアドバイスとして受け止めることができず、「自分を否定された」と感じてしまうようです。注意する側の認識としては「大声で騒ぐという行動」に対して指摘をしているのですが、子どもによっては「大声を出すあなたは人間としてダメだ」と自分の人間性に対して注意されていると認識してしまうことがあるようです。

精神的に脆い
叱られたり、友達とトラブルになったりした時、自分で自分の気持ちを立て直すということが苦手なように思います。大人でも精神的なダメージを受けた時(例えば上司に叱られるなど)、立ち直るのに時間がかかることがありますが、気持ちの揺れ動きが大きい思春期の子どもなどは、よりその傾向が強いように感じています。


子どもに限らず、人間が豊かに生きるために必要なのは「失敗しないこと」ではなく、「そこから立ち直る力」だと感じています。つまり本のなかに書かれている「しなやかな心」です。
以前、何かの時に、「少子化が進み、一人ひとりの子どもに目を向ける時間が長くなった結果、先回りして子どもが『失敗しないように』準備してしまう親が増えた」という話を聞きました。親が、自分自身の失敗経験から「子どもにおなじ思いをさせたくない」と先に障害となるものを取り除いたり、子どもが試行錯誤しながら物事に取り組む時間を「もったいない」と感じてしまい、効率よく良くできる方法や成功する確率を上げるための手段を教えてしまうのだそうです。
これが全て悪だとは言い切れませんが、個人的には「失敗して、そこかから学ぶ経験」というのも、豊かに生きるためには必要なのではないかと思っています。(もちろん失敗することで取り返しのつかないほど重大な事態に陥るとか、命を落としかねないというケースは除いてですが。)

普段、仕事として子どもと関わる私のような人間や親が大事にするのは、「失敗しないようにサポートすること」ではなく、「失敗からどう立ち直るか?」だと思います。そこで大事なのが次の「PDCAサイクル」です。

P(Plan:計画)    成功率を上げるための計画を立てる
D(Do:実行)    自分の計画に沿って実行する
C(Check:評価)実行した成果と課題を洗い出す
A(Action:行動)次に向けて計画を練り直す

行き当たりばったりではなく、「計画」を立てる。計画を立てたら「実行」する。実際にやってみて何ができて、何ができなかったのか、できなかった原因は何かを「評価」する。そして洗い出した成果と課題を次の行動に繋げるということです。

「簡単なことじゃないか」と思いましたか?私もそう思っていました。意識しなくても当たり前にできていることだとさえ思っていました。しかし、実際にこの「PDCAサイクル」を意識して行動しようとしたら、意外と難しいことに気がついたのです。

まず、計画を立てることが難しい。曖昧な計画では、あとで正しく「評価」できませんので、ある程度の緻密さが必要です。「まあここは適当な感じで」という計画では、そもそも成功率が上がりませんし、評価も適当になってしまい、サイクルが成立しません。私がこの「PDCAサイクル」のなかで最も重要だと思っているのが「評価」です。「成果」と「課題」を洗い出した時に、できるだけ「根拠」を確認することが重要だと考えています。
例えば、これまでは気が向いた時にしか勉強せず、提出する課題も試験前日にやっとの思いで仕上げていた子が、「試験前2週間は1日2時間勉強する」という計画を立てたとします。実際に2週間、毎日2時間ずつ勉強して、5教科の合計点が30点上がった、ただ英語が10点下がった。これを「評価」ます。
まず「成果」です。
・2週間毎日2時間勉強できた
⇨今までは時間を決めていなかったが、「2時間」と決めたことで目安ができた。
・合計点が30点上がった
⇨課題として取り組まなければいけないワークを早く終わらせ、苦手な問題を解き直す時間があった。先生に「課題ではないけど、理解が深まるから取り組んだ方がいい」と言われたプリントに手を付ける時間まで作れた。

つぎに「課題」です。
・英語の点が10点下がった
⇨英語の勉強の時に単語練習に時間を割きすぎて、教科書を見直すことができなかった。

これは架空の設定ですが、ただ「うまくいったこともあれば、ダメなところもあった」と振り返るより、一つひとつ細分化して「評価」し、その結果が出た原因を見つけることが大切です。次の「アクション」の段階では、原因をつぶすための方法を検討して改善に繋げていけばいいのですから。

最近、私が受け持っている子たちには、この「PDCAサイクル」に沿って活動するよう指導しています。はじめはこちらから投げかけをしないとうまくサイクルが回らなかったのですが、慣れてきたのか、近頃はサポートなしでもサイクルを回せるようになってきました。1度身につければ、さまざまな場面で活かせるスキルです。付かず離れずな立ち位置から彼らの活動を見守っていきたいと思っています。

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