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『必勝祈願の像』

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東京・日本橋にある老舗百貨店・三越の玄関前には、三越のシンボルである青銅のライオン像が設置されています。
分かりやすいので待ち合わせスポットとしてもよく利用されているのですが、この「三越のライオン像」――実は“必勝祈願の像”として「誰にも見られずに背にまたがると念願がかなう」といわれているのです。

『そんなの、ただの都市伝説でしょう』

と思われる方も多いと思いますが、噂の出所は、当の三越! ライオン像のプレートに、そう記されています。

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そもそも、三越のライオン像が誕生したのは1914年(大正3年)。きっかけは、当時の支配人でライオン好きな日比翁助が、百貨店開設の準備のため欧米を視察した際、英国で「ロンドンのトラファルガー広場にあるネルソン記念塔の下の4頭の獅子像をモデルに」と注文してしまったからです。
サイズは違えど、確かにネルソン記念塔のライオンに似ています。この像は彫刻家・メリフィールドが型取りをし、鋳造家・バルトンが制作したもので、完成するまで3年もかかったそうです。

ただ、この像を設置することには周りは反対していたようです。でも日比は、それを押し切って「勇気と気品、度量の象徴」として本館正面に置いたのだとか。結果的に、このライオン像は三越のシンボル的存在となり、今に至っています。

では一体、どこから“必勝祈願の像”という設定が追加されたのでしょう?
実はこの像、関東大震災で三越の本館は焼失したにもかかわらず焼け残り、第二次世界大戦では三越から海軍省に供出されたものの、海軍省はこれを東郷神社に献納。戦後になって東郷神社の境内で三越の社員が像を発見して、1946年(昭和21年)に三越に返還される――という、まさに超強運の持ち主だったのです!

 また、モデルとなったライオン像のあるネルソン記念塔は、トラファルガー海戦において不利な情勢で勝利をおさめたイギリス海軍提督・ネルソンの業績を記念するために建造されたもので、そういった諸々の要素が一つになって生まれたのでは……と想像します(誰か、真相を知っている方がいれば、教えてください!)。

ちなみに現在、ライオン像は防犯カメラで監視されており、乗ったり跨いだりはできないそうです。(挑戦するのもやめましょう)
まあ、防犯カメラがあるなら『誰にも見られず』という条件をクリアするのは、なかなか厳しいと思いますが。

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