2021年 装丁振り返り
今年出した個人の同人誌の印刷仕様と、印刷会社の覚え書きをまとめました。全6冊です。
※この記事は同人・二次創作の要素を含みます。
リンネの花時計
愛してやまないSTARBOOKSさんで刷りました。この仕様、実はフルカラー4Cが初期設定で付いてくるのですが、あえて特色銀だけしか使わないデザインです。
強めに空押ししてもらい紙の凹凸を表現したかったので、印刷会社さんの窓口を担当してくださった方のおすすめでマットPPを途中で追加しました。箔押しと空押しが相まって絶妙な存在感の一冊です。
STARBOOKSさんは、私がトンチンカンな仕様で発注してもいつも丁寧に相談に乗ってくださる神のような存在です。担当さんも丁寧で、特殊な見積もりや相談にも丁寧に対応してくださいます。いつもありがとうございます。
目が覚める。朝、きみ、そして珈琲。
カフェがテーマの本だったので、表紙と本文どちらもクラフト系の紙を使い、白刷りからの4Cでしっかり色が出るようなデザインにしたいな〜と思っていました。茶色い方が紙の色です。
本文は元から茶色っぽい色のクラフトペーパーです。本文色刷りにするか迷ったのですが、予算の都合でこちらにしました。
表紙はもう少し沈んだ発色になるかな〜と思っていたのですが、元の紙が黄色っぽいからか、比較的綺麗な刷り上がりでした。私の絵も黄色っぽい方なので、それであまり気にならなかったのかもしれません。
白インクの白って、紙白とも違うなんとも言えない白さで好きなんですよね〜ファーストヴィンテージともマッチしてて可愛い。
この本については別の記事で詳細に話しています。
SAY MY NAME
多分人生初のグロスPPだったと思います(基本PP貼らないことが多いです)。まず特色で蛍光色が使いたいというのと、ファンタス(表2-3側が色付きの紙)が使いたい、というのがありこの仕様になりました。
刷り上がりの発色は若干くすんだかも…?特に肌色はちょっと暗かったかも、と感じました。イラレでは蛍光イエローが再現できないため、インクの発色の差で若干くすんで見えるだけかもです。
ファンタスはこんな感じ。蛍光イエローもファンタスもめっちゃ可愛いんですが、明らかに違う色になりすぎてしまったので。ファンタス_ひまわりと合わせるならCMYKのYの方が統一感はあるかもです。
センス・オブ・ワンダー
廃盤になってしまい使うチャンスが今後なくなりそうなポーラライト箔に、ミランダ黒を組み合わせた仕様が絶対やりたかった。これもカラーイラストを使いたかったので、黒い表紙用紙にホワイト印刷を先刷りして下に引き、その上からフルカラー4Cを刷っています。
推しコンビが太陽と月が名前に入っているキャラで、ミランダ黒を星空に見立てたデザインを、このコンビの同人誌で絶対にやりたいと考えていました。
という3つのポイント全部を、盛り盛り装丁をしつついいとこどりできたのがよかったな〜と思っています。
ミランダ黒の地生かしは絶対に一度はやりたくて、実物じゃないとわかりにくいんですが、この…ガラスフレークが光るところが本当に可愛くって。。。。見てください。。。。
この本にいただいた感想で「紙のキラキラがまだ名前のない星たちのよう」といってくださったものがあり、なんとも詩的で心に残っています。この本については装丁への感想もいくつかいただき、個人的にもこだわりのある一冊だったため本当に嬉しかったです。
ミランダ黒+白刷り+4Cは、白刷りしたとしても若干ミランダの黒に引っ張られて色がくすむだろうな〜と覚悟はしていたのですが、まあ自分の絵なら許容範囲内かなという感じです。若干いつもより彩度高めで入稿しましたが、くすみはするな〜という感じ。
イラストが若干くすんだことによってポーラライト箔がかなり目立つようになったのでこれはこれでありかなと思っています。
ちなみに再販した時にマットPPを追加して箔押しをなくしたのですが(予算の都合)、若干気泡が入ったような質感になってしまうため、ミランダとマットPPはあんまり好きじゃないかもな〜と思いました。(好みです)
おやすみ、流れ星たち
カンビさんがやっていた半額キャンペーンでお願いしました。イベント初出しは12月ですが、9月末に先に刷って準備しておきました。ごくごくプレーンなフルカラーイラスト本なのですが、とにかく印刷が綺麗…。さすがみんなの憧れ・カンビちゃん!
掛け合わせだと難しい黄緑も超きれい。
色校正するところほとんどないな!て感じですごいです。いつか漫画の同人誌もお願いしてみたいです。この時ポイント50%還元をやっていたのでかなりのptがもらえてこれもまたありがたい…!
14時に君と曲がり角で待ち合わせ
仕様盛りめで比較的お安くオフセットが刷れるということで、初めてブロスさんにお願いしました。蛍光オレンジと角丸加工が併用できて早割がある印刷会社さんを比較したらブロスさんが一番お安く作れるようでした。
元々小説本でよく見かける印刷会社さんという印象で、印刷はとても綺麗です。ほぼ10年ぶりにオフセット印刷を利用しました。
エンボスアラレの傾けて光に当てるとキラキラするところが大好き…。ステンドグラスみたいで可愛いです。ブロスさんの黒箔は定着の問題でPPがNGらしいので、PPなしが可愛い紙に変更しました。黒箔からもうっすらキラキラが見えます。
ブロスさんでは軽くて厚いモンテシオンが使えるので、本文用紙で使用しました。本当に印刷がものすごくきれいです。オンデマのぱっきりした黒もいいんですが、この柔らか〜い黒が…いい…オフセット最高…
初めてお願いしましたが、お値段のわりに締切が遅めな感じがしました。最大30%割引の特割EXはやってる週とやってない週がある(おそらくイベント規模の差?)ので、私は特割EXの週に前倒して入稿しました。
おわりに
2021年はひさしぶりに漫画本を個人で発行した年でした。4年ぶり(!)。自分の本だとより一層遊びたい放題なので、楽しみながら制作できたと思います。イベント合わせで2冊ずつ発行、2ヶ月に1冊ペースで新刊というのは…4年のブランクがあったにも関わらずがんばった(自画自賛)
余談ですが、今回のまとめに載っている本はフルカラーイラスト本以外は全て早割を活用しています。特にSTARBOOKSさんは早ければ早いほどお安くなるプランがあるので、納期の2ヶ月前に入稿しているものとかもあります。仕様を盛っても早割で相殺していつもの頒布価格にできたりするので、自分との締切バトルをしてみるのも楽しかったりします。
装丁に凝るって本当にただの自己満足なんですけど、わざわざ本を作るよさってここなんだよな〜と個人的には思っています。webでは伝わらない表現まるごとお届けできるのが好きなんですよね。あと自分の本が欲しい。
来年もほどほどに同人誌出したいです。