宿泊施設の食事、安さを求めた裏側(企業編)
温泉旅館でリゾバを始めて約2ヶ月経ちます。朝夕のお食事を出す業務がメインなのですが、旅館(企業)側とお客さん(消費者)側、どちらにも食事に関して驚くことがありました。
今回は企業側を見て気付いたことです。
わたしの派遣先では基本朝食はビュッフェ、つまりバイキングです。好きなものが好きなだけ食べられる…というのがバイキングの楽しいところですが、これがなんとほとんどが業務用の出来合いのもの。温めて出すだけ、もしくは揚げるだけ。パンももちろん業務用で、中国で作られているものも。サラダなどに使う野菜類まで冷凍の中国産のものがあります。スクランブルエッグは卵以外にも様々な原材料、添加物。パンに塗るのはバターではなくマーガリン。常温保存可能な牛乳、ゼラチンなどを混ぜて作ったヨーグルト。
こうやって文字にすると、気に留めていなかったことが浮き彫りになり驚くかもしれませんが、わたしたちがコスパーつまり安さばかり求めた結果、こうなってしまった部分もあると思います。(これらの食品は、スーパーやコンビニなどでも店頭に並んでいますし)
もちろん、出来立てや地産地消などのお食事を謳っている宿泊施設などでは、こういった食事の提供はないでしょう。わたしが見たひとつの旅館の話です。
では夕食は…というと、朝食ほどではありませんが、前菜などは業務用のものもあります。
派遣先ではある海鮮が有名なのですが、なんとお客さんに出すのは、地元のものではなく冷凍のカナダ産。これを知った時は、もう何も信じられない…と思いました。
これは他の宿泊施設でも大概同じだと思いますが、夕食の多くは前もって仕込んでおき、冷蔵庫もしくは温蔵庫に保管されています。なので出来たてのものはかなり少なく(天ぷらなど揚げ物は別)、これは完全予約制の理由のひとつではないかと思っています。これに関しては、目の前で作っていたり(パフォーマンスも兼ねてそういった食事を提供する旅館がありました)、出来立てのお食事を謳っているところでなければ、高級旅館でも大差はないのではないでしょうか。
また、衛生管理の点から見れば普通のことかもしれませんが、夕食の準備時にお鍋のだしや醤油などを各席へ配膳します。これらは一旦容器へ汲み取るのですが、余ったら元の容器へ戻さず廃棄させられます。
これは先程までお話した点とは違う意味で驚いた部分です。
ビジネスでの宿泊を除き、宿泊を兼ねた旅行というのは大抵が余暇や新しい経験などのためのもの。旅をする目的のひとつに、「地のもの(ローカルフード)を味わう」という楽しみを持って旅をされている方も少なくないはず。
ですが、わたしが目にしたような食べものを出す宿泊施設は、ここだけではないでしょう。せっかくお休みの日にはるばる地方までやってきて、実は食べていたものが中国産だったり、スーパーに並ぶ食品と同じようなものだったら、がっかりしませんか?宿泊施設側が地産や国産など謳っていなければ詐称にはなりませんが、せっかくの旅先。おいしい思い出が台無しになってしまうのは悲しいですよね。
ですが、これは必ずしも企業側だけの責任ではありません。先にもお伝えしたように、お互いが安価であることを求めるあまり、悪い意味で食がグローバル化してしまっており、また添加物などの大量に入った食事が提供されてしまっているのです。
宿泊施設側の変化も期待したいところですが、やはり今すぐにというのは難しいところ。こういった食品をなるべく避けたい、という方は、
①宿泊施設は素泊まりにして、地域の個人店で食事をする
②国産、地産などを謳った食事を提供する宿泊に泊まる
③大型の宿泊施設でなく、部屋数の少ない小さな宿泊施設に泊まる
このあたりが消費者側として今すぐに取れる、地方の食べものを楽しめる旅としておすすめです。
次回、お客さん、消費者側を見て感じたことをお伝えします。
本や映画、美術館などの文化教育、またはサスティナブルな物作りをしているところで使わせていただきます。