うれしい近況
6月の、とある日の日記。
東京には何度も行ったことがあるけれど、初めての駅に降りた。都心から町田市まで、電車を使うこともできたけど、途中で一駅だけ新幹線に乗った。たった一駅で新幹線を使うなんて、という気もしたけど、だからこそ贅沢な気持ちで嬉しかった。
「町田市民文学館 ことばらんど」に向かった。今日足を運ぶことにしたのは、わたし自身の短歌がそこに飾られることが決まったからだ。大好きな岡野大嗣さんが選んでくれたこともあり、小学生のときに読書感想文で賞を取ったみたいな、そういう自慢げな気持ちになった。
SNSですでに展示の雰囲気は知っていたけど、なにかを直接見て感じるということにはやっぱり価値があると思う。会場のある2階へ、慎重に階段をのぼった。
なかでも、岡野大嗣さんのコーナーが良くて。でも、その前にやっぱり自分の短歌が飾られているのを見たくてすこし急いだ。SNSで募集され選ばれた短歌は思ったより多くて。予想していなかったけど、もしかして見つけられないんじゃないかと急に心配になった。
ゆらゆらとわたしが見たかった歌が目に映った。
目の奥の温度が、じんわりと上がった。
展示を見て回った後は、館内に併設されている喫茶店でホットサンドを食べた。喫茶店のすぐそばには本棚があり図書館になっている、なんだか不思議な空間。岡野大嗣さんの朗読を再生できるテープレコーダーがよかった。耳元に当てて展示を見ていると、わたしだけの世界にいる気持ちになれた。
この日の朝食はロイヤルホストのモーニングだった。ロイヤルホストはチェーン店ながら、日常的に行くことはなく、ましてやモーニングを注文したこともなかった。旅先のロイヤルホストは、なぜか特別な気がした。
隣のテーブルの二人の会話が耳に入る。会話はずっと聞こえているのに、それがなんのことだかよくわからない。会話のテーマも、二人の関係性も。歌詞のわからない洋楽をBGMにしているみたいな妙な心地良さがあった。
57577展のフライヤーを貰って帰った。すこし厚めの好きな肌触りの紙だった。脇に挟むように紙を立てて丁寧に持つ。まるで賞状を受け取ったときみたいに。
目まぐるしくて、息苦しくて、
それでいて平凡な毎日。
そんな毎日のなかで、
主人公みたいに口角上がる日がある。
今日も、立派にやってるよ。
またいつか今日みたいに日記を書こう。