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お風呂場の蜘蛛

お前は何を食べて生きているのか?

と心配になる存在、お風呂場の蜘蛛。

5ミリ程度の小さなやつが1ヶ月くらいちょろちょろとしていた。
高いところに巣くえばいいものを、シャンプー台の下とか、風呂掃除用の洗剤の頭とか、救いようのないところにいる。
積極的に排除はせず時が経ち、気づけば愛着が湧いていた。

ある日シャンプー台の下を除くと、可愛い蜘蛛の亡骸が力なく脚を投げだしている。
ああ、この時が来たかと思った。
愛に気づいた頃にその相手はいなくなるし、どんなに質素に慎ましく生きていても報われないことの方が多いんだよね、と。


ランボーの最終作(5作目にして完結編)である『ランボー ラスト・ブラッド(2020年公開)』を見た時に同じことを思った気がした。(ここからはネタバレ)


どんなに真面目に生きていても突然の悪意に触れることもある。
ランボーは田舎の牧場で慎ましく暮らすも、
娘同然に可愛がっていた女の子をメキシコの麻薬組織に連れ去られてしまう。
ふらふら遊びに出てしまった女の子が1番悪いんだけど、最終的にはその子は亡くなってしまいランボーは復讐を決意という…まぁ、案の定、いつもの流れです…。
あぁ、諸行無常。基本的に救いは無い。
安全な日本で、健康に生きているだけでも丸儲けですよね、と感じる。

あとは、年老いたシルベスタ・スタローンの疲れた雰囲気が味わい深くて良かった。レイトショーでみるラストランボーはいつにも増して悲哀があったのを覚えている。
風呂の蜘蛛を亡くしてもそんな気持ちになるのかー。驚いた。

そういえば、なんと言う種なのか同定してなかったし、お風呂はいつも薄暗くして入るから背中の模様すらちゃんと見てあげられないままだ。

風呂場の蜘蛛のこと、知っているようで全然知らなかった。
そう思うのは、いつも亡くしてからなんだろうなぁ。

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