仙台市の財政について調べみた件 ~東北で維新は通用するのか~
こんにちは、海原雄山です。
今回は、宮城県仙台市の財政について調べてみました。
7月30日に仙台市議選が投開票となりますが、そこに維新から4人の公認候補が立候補予定です。
統一地方選では、東北地方では秋田市議選に2名、山形県寒河江市議選に1名の維新公認候補が出馬したものの、当選は秋田市議選で1名にとどまり、関西や関東での躍進と比較して苦戦を強いられています。
東北最大の都市仙台で、果たして議席獲得となるか、要注目です。
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仙台市ってどんなところ?
まず、そもそも仙台市がどんなところかについて簡単にご説明させていただきます。
宮城県の県庁所在地で全国で11番目に政令指定都市となりました。人口は107万人(住民基本台帳ベース、2022年1月1日現在)
古くは、伊達政宗が関ヶ原の合戦後に仙台城を建設したことから都市化が始まります。
以後明治元年の戊辰戦争で、仙台藩は、奥羽列藩同盟の盟主となり幕府側として戦いましたが、惨敗。中でも会津戦争は凄惨を極め、東北地方は大きな傷を負います。
その影響が後世にまで影響を与え、東北地方の人々は維新政府の中心であった明治維新政府に対する遺恨が今も残っているとかいないとか。
2013年度のデータですが、宮城県民の48.3%が居住し、県内総生産の55.5%、県民所得の58.3%を占めており、まさに宮城県の中心となる都市です。
大きな企業の地方中枢支店が所在する支店経済都市と言われる仙台市は、人事異動に合わせるように年度末に約2万人が流出し、年度始めにほぼ同数が流入するという特色があります。
東北地方の中心的都市と言える仙台市ですが、隣接市の発展もあり、転出増も増えていると言われています。
仙台市の財政について
では、本題に入りましょう。
今回は、ようやく公開された2021年度までの直近5年間の決算カード等をもとに分析していきますので、特に断りが無ければ、2021年度の数字であると捉えてください。
また、類似団体とは、各市町村等を人口および産業構造等により全国の市町村をいくつかのグループに分類したもので、仙台市は「政令指定都市」という類型に属しています。
各種指標の状況
①財政力指数
財政力指数は「0.90」で、類似団体の平均「0.84」を上回っています。
財政力指数とは、地方公共団体の財政力を示す指数で、基準財政収入額を基準財政需要額で割り算して得た数値の過去3年間の平均値ですが、ここで基準財政収入額(同需要額)は、だいたいどれくらい自治体運営にあたって財源を確保できそうか(どれくらいかかりそうか)を示す指標だととらえてください。
その数値が高いほど収入にゆとりがあり、1を下回っていれば、地方交付税交付金がその分支給されると大まかに捉えてください。
仙台市は、他の類似団体に比べても、歳出の割に税収が比較的豊かといえます。
仙台市は、「令和3年度においては、法人市民税の減等により基準財政収入額が減少し、臨時経済対策費や臨時財政対策債償還基金費の創設等に伴い基準財政需要額が増加したことによって、単年度の財政力指数は前年度から低下、3か年平均は概ね横ばいとなった。今後は、新型コロナウイルス感染症や物価高騰の影響を注視しながらも、地域経済の活性化による税源涵養の取組みをなどを進めていく。」としています。
②経常収支比率
経常収支比率は「96.6%」で、類似団体の平均「92.7%」より数字として良くないと考えられます。
経常収支比率とは、経常的な経費に経常的な収入がどの程度充当されているかを見るものです。比率が高いほど自由な施策が打てなくなり財政構造の硬直化が進んでいることを表すものです。
つまり仙台市は、他の政令市と比べ財政の自由度が比較的低いと言えるでしょう。
なお、直近で経常収支比率が下がっていることについては、「平成30年度は、地方税をはじめとした一般財源の増により改善したが、令和元年度は扶助費の増加などにより悪化した。令和2年度は地方消費税交付金の増加などにより改善し、令和3年度は引き続き、扶助費の増加などはあるものの、地方交付税の増加などにより1.9ポイント改善して96.6%となった。今後は人口減少や本格的な少子高齢化を見据え、地域経済活性化策による税源涵養、公共施設の老朽化対策に要する事業費の平準化やコスト縮減など、歳入歳出両面で取り組みを講じていく。」としており、自主的な歳入の増加で改善できたわけではなさそうです。
同じ政令指定都市である堺市に比較し、経常収支比率の改善が小幅であるため、果たして歳出削減に向けた取り組みが十分なのかは、検証が必要かもしれません。
③将来負担比率
将来負担比率は「59.1%」で、類似団体の平均「72.8%」より、数字として比較的良いです。
将来負担比率とは、地方公共団体の一般会計等の借入金(地方債)や将来支払っていく可能性のある負担等の現時点での残高を指標化し、将来財政を圧迫する可能性の度合いを示す指標で、標準財政規模(地方公共団体の標準的な状態での通常の収入と捉えてください)に対する「特別会計、第三セクターまで含めた地方公共団体の負債総額から積立金などを差し引いたもの」の割合を示したものです。
つまり、借金から貯金を引いたものが収入に対してどれくらいの割合かを示したものと捉えてください。(早期健全化基準:政令市では 400%)
仙台市は、「令和3年度においては、基金などの充当可能な特定財源が増加したことや公営企業債償還に占める一般会計負担額の減少などにより、将来負担比率は前年度から12.1ポイント減少し、引き続き類似団体平均を下回った。今後も市債(通常債)残高の縮減など行財政改革を進め、財政の健全化に努める。」としており、順調に将来負担比率の低下に向けた取り組みが進んでいることが伺えます。
④公債費負担比率
公債費負担比率は、一般財源に占める公債費(地方債の元利償還等に要する経費)の比率で、この数字が高ければ財政構造の硬直化が進んでいることを表します。
仙台市は、「16.50%」で、類似団体平均の「16.0%」より同水準より少し高いくらいの水準です。
仙台市は、公債による一般財源の硬直具合が少しだけ高いと言えます。
⑤実質収支比率
実質収支の標準財政規模に対する割合。簡単に言うと、収入に対して当年度の収入と支出との実質的な差額が、どれくらいの割合かを示すものです。
仙台市は、「2.3%」で、類似団体平均の「2.3%」と同水準です。
歳入の状況
では、歳入の状況を見てみましょう。
2020年度以降は、コロナ対策の国庫支出金を多く受け取ったため、大幅に増えていますが、そういう一時的な要因を除くために、経常一般財源等で見ていくと下記のとおりです。
経常一般財源等は、歳入のうち毎年度経常的に歳入されるもののことです。
こう見ると、右肩上がりで歳入が伸びています。
もう少し詳しく歳入をみていきましょう。
市町村の歳入の多くは、地方税です。
2019年度まで上昇傾向でしたが、以後は徐々に減少傾向を示しています。
先ほどの歳入全体の大幅な伸びは一貫して右肩上がりでしたが、2021年度はさらに大きな伸びを示していたため、地方税とは違う要因で伸びていると考えられます。
地方交付税は、2020年度まで190憶前後で推移していますが、2021年度に一気に120憶増加しています。
地方消費税交付金は2019年度以後大きく伸びているようです。直近では前年度から約23憶円程の伸びとなっています。
地方特例交付金も直近で前年度から20憶以上増えています。
地方消費税交付金もですが、地方交付税や地方特例交付金と言った交付金が歳入増に寄与しているようで、地方税収が伸びているわけではないことはおさえておいてください。
①市町村民税
ここから地方税を細かく見ていきますが、「臨時」に付与されたり「特定」の目的にも使う財源等も含むことをご了承ください。(それでも傾向は掴めるかと思います。)
地方税の多くは市町村民税と固定資産税で、だいたいの市町村において、これら2つで地方税収の約85%を占めています。
市町村民税は2017年度から翌年度にかけて約250憶円程大きく上昇しました。
以後はちょっとずつ減収傾向となっています。
市町村民税を個人分と法人分で分けてみてみましょう。
まず、個人分です。
基本的に右肩上がりですが、所得割が2017年度から2018年度にかけて大きく伸びています。
以後所得割は890憶円前後で安定しています。
一方、法人分についてですが、
法人均等割は、コロナ前の水準に戻りましたが(と言っても金額にしてほとんど違いはありませんが)、法人税割は急落した2020年度以降回復しておらず、2021年度も微減となっています。
だいたいの市町村では、個人に課す市町村民税に対して法人分の金額が小さいですが、仙台市も同様です(地方税全体に対する割合は、個人:約41.8%に対し、法人:約9.6%)ので、市町村民税全体の増減は個人の市町村民税の増減に大きく影響されると言えます。
2021年度の仙台市の市町村民税については、個人分はやや微減、法人もにコロナ前の水準まで戻っておらず、全体として頭打ち感が否めません。これは、以前分析した堺市においても同様でしたので、もしかしたら全国的な傾向なのかもしれません。
②固定資産税
地方税のもう一つ大きな柱は、固定資産税になります。
固定資産税収は、2017年度から50憶円程上昇していますが、順調に右肩上がりとなっていたものの2021年度に減少に転じています。
固定資産税は、土地・家屋等に対して課税され、ざっくり言うとその評価額を基準として税額が決まるので、近年の金融緩和による土地等の資産価格の上昇が、固定資産税収に追い風となった自治体もあるようです。
地方税収としては、市町村民税も固定資産税も伸び悩み、減少傾向に転じつつあるため、税収増に向けた何らかの対応が待たれます。
歳出の状況
ここからは歳出の状況です。性質別で見ていきます。
一時的な要因を除くべく、経常的な費用に充当される一般財源の金額を示す「経常経費充当一般財源等」の金額で確認していきましょう。
まず、義務的経費です。
これは、人件費、扶助費 (生活保護費、児童福祉費老人福祉費など) 、公債費など、その支出が法律上義務づけられたものや国の指示によって事実上強制されるもので、任意に節減できない極めて硬直性の強い経費とされています。
仙台市の義務的経費は、金額は一貫して上昇傾向で特に2021年度に大きく上昇しています。
義務的経費の経常収支に占める比率は65.7%です。直近で経常収支比率が下がったのは、恐らく分母たる経常一般財源等が増えた影響でしょう。
政令市の平均が約63%ですから、やや高い水準と言えるでしょう。
では、それらの内訳である人件費、扶助費、公債費をそれぞれみていきましょう。
①扶助費
扶助費は基本的に右肩上がり基調のようです。
扶助費の経常収支比率(扶助費が経常的な収入に対しどれくらいを占めるか)は類似団体平均と同水準かやや低いですが(類似団体平均:15.6%、仙台市:12.4 %)、人口一人当たりの金額も少し低い水準です(類似団体平均: 46,378円、仙台市:34,897円)。
経常収支比率は2019年度を境に低下傾向ですが、そもそも政令市平均に比べ人口一人当たり金額、経常収支比率とも低い水準です。
仙台市は、「扶助費に係る経常収支比率について、令和3年度は類似団体平均を3.2ポイント下回る12.4%となった。これは、他都市に比べて保護率や高齢化率が低い傾向にあることなどが要因と考えられる。」と分析しています。この少子高齢化社会にあって、珍しく生活保護や高齢化率が比較的低く、扶助費にかかる経費が安く済んでいる傾向は、今まで見てきた自治体の中では珍しいものです。
また、「しかし、近年は保育施設等の運営など子育て支援に要する経費が高止まりしていることなどから、横ばい傾向にある。本格的な少子高齢社会の到来によりさらなる上昇も見込まれるが、持続可能な財政運営に努める。」と分析しており、子育て政策と高齢化の進展で今後増加する可能性がある扶助費をいかにして賄うかは課題であると言えるでしょう。
②公債費
公債費は、2020年度まで減少傾向でしたが、2021年度に急増しています。
仙台市の一人当たり公債費は55,341円(経常収支比率19.6%)、 類似団体平均は52,412円(17.6%)となり、仙台市は類似団体と比較して公債費による負担はやや重いものと言えます。
なぜ2021年度に公債費が急増しているかということについて、「公債費に係る経常収支比率について、令和3年度は昨年度より1.3ポイント悪化し、類似団体と比べて2.0ポイント高い19.6%となった。これは猶予特例債に係る元利償還金の増加など令和3年度に限った特例的な要因によるものである。今後とも、公共投資の厳選・重点化を行い、臨時財政対策債等を除いた市債残高を適切に管理し、公債費負担の抑制に努めていく。」と総括しており、一過性のもののようです。
③人件費
人件費は2018年度以降上昇基調です。
仙台市は、類似団体に比べて人件費の経常収支比率がやや高いようです。(類似団体平均:29.8%、仙台市:33.7 %)
また、人口一人当たりの金額も類似団体平均より高いようです。(類似団体平均:88,819円 仙台市:94,867円)
仙台市は、「人件費に係る経常収支比率は類似団体平均より高い傾向が続いている。これは、使用料や退職手当債など人件費に充当している特定財源が他都市に比べて少なく、一般財源で賄われる歳出額の割合が高いことが原因と考えられる。令和3年度は、人件費に係る歳出額が増加したもの、地方交付税の増加などにより、前年度比1.7ポイントの改善となった。今後も適正な給与水準のあり方の検討や職員数の削減に努める。」と総括しており、分母の増加が直近における経常収支比率の改善の要因のようです。
少々ここで気になるのが、「使用料(や退職手当債)など人件費に充当している特定財源が他都市に比べて少なく」という記述です。
使用料とは、公の施設の利用や行政財産の使用に対して徴収される料金(地方自 治法第225条)であり、主なものとしては、公民館、体育施設、駐輪場施設などに係る使用料です。
仙台市における使用料は、2021年度で72憶ですが、歳入全体の決算額に占める割合は1.1%に過ぎません。政令市平均でも歳入全体の決算額に占める割合は1.6%です。果たして使用料の少なさが、財源の少なさの要因と言えるかどうか疑問です。
ちなみに人口一人当たりの決算額は仙台市6,808円、政令市平均 9,612円です。人口一人当たりの経常一般財源等として使用料を見てみると、仙台市で1,569円、政令市平均で1,971円ですから、特定財源充当分の差額は多くても人口一人当たり2,402円。
仮にその分をそのまま一般財源の費用増としても政令市平均との人口一人当たり人件費の差額分すべてを説明できませんし(あるいは退職手当債?)、それは結果の話であって、使用料が少ないならそれに対応する仕事量≒人件費も少なくなるはずです。
つまるところ、固定費を賄いきれないと言うことなのかもしれませんが、人件費に充当される使用料の少なさを人件費に係る経常収支比率が類似団体平均より高い傾向の原因とする仙台市側の説明には疑問があります。
なんだか、奥歯にものが挟まったような説明、煙に巻いたような回答です。
④その他の歳出
さて、義務的経費以外のもので注目すべきは、「物件費」、「補助費等」と「繰出金」です。
物件費とは、人件費、維持補修費、扶助費、補助費等以外の地方公共団体が支出する消費的性質の経費の総称で、旅費、交際費、需用費、役務費等が含まれています。
物件費については、経常収支比率としては、13.5 %と類似団体平均の11.6%より少し高い比率となっており、人口一人当たりの金額にしても、37,940円と類似団体平均の 34,584円より少し高い金額になっています。
仙台市は、「物件費に係る経常収支比率は類似団体平均より高い傾向が続いている。これは、ごみ収集業務や学校給食調理業務で民営化が進んでいることなどが原因と考えられる。令和3年度は物件費に係る歳出額が増加したものの、地方交付税の増加などにより前年度比0.6ポイントの改善となり、類似団体平均との差は1.9ポイントに縮小している。」と総括しています。
補助費等とは、各種団体に対する助成金や一部事務組合への負担金のことです。
仙台市の補助費等は、順調に右肩下がり傾向です。
経常収支比率としては、5.7%と類似団体平均の7.4%より低い水準で緩やかに低下傾向です。
人口一人当たりの金額にすると、16,175 円と類似団体平均の21,890円よりも5,000円低い金額になっております。
仙台市は、「補助費等に係る経常収支比率は類似団体平均よりも低い傾向が続いている。これは、他都市に比べて高齢化率が低い傾向にあることなどが要因と考えられる。令和3年度は補助費等に係る歳出額の減少などにより、前年度比0.4ポイント改善して5.7%となった。」としており、高齢化率の低さが経費の低さにつながっていることがわかります。
繰出金とは、会計間相互に支出される経費をいい、ここでは一般会計から介護保険事業会計や後期高齢者医療保険事業会計と言った特別会計や公営企業への言わば仕送りのことを指します。
仙台市の繰出金は、右肩上がり基調です。
繰出金の経常収支比率としては、仙台市8.2%と類似団体平均の 8.8%よりやや低いです。
人口一人当たりの金額にしても、23,003円と類似団体平均の 26,110円より3,000円以上も低いです。
仙台市だけに限らず全国の自治体において繰出金が右肩狩りとなっていますが、仙台市は高齢化率が比較的低いためか、類似団体平均に比べやや負担は少ないようです。
民間の力を借りることで物件費こそ高いものの、高齢化率の低さが幸いしてか、補助費等や繰出し金が比較的低く抑えられているのが仙台市の歳出の特徴と言えるかもしれません。
収支の状況他
では、収支の状況を見ていきましょう。
歳入と歳出の差額から、翌年度繰り越すべきお金を差し引いたものが実質収支です。
実質収支は一貫して黒字です。
実質収支には、前年度から持ち越されているものもあるため、ストック性があるため、純粋なフローを見るとなると単年度収支(=今年度と前年度の実質収支の差額)を見たほうが、より収支というイメージに近い数字を見ることができます。
単年度収支は、2018年度を除き黒字です。
単年度収支の金額は、基金への積立金や市債の繰り上げ償還等は差し引かれていますし、基金の積み立てを取り崩した金額は逆に上乗せされています。
そのため、これらを逆にすれば、さらに実態に近いフローの状況を確認できます。
積立金や繰り上げ償還等は足し上げ、基金の取り崩しは差し引くと、実質単年度収支という数字になります。
数億円程ですが、毎年のように積立を行っております。
繰上償還金はコロナ渦以後は行われていません
積立金の取り崩し額は以下のとおりです。
近年、積立金取崩しも抑制されています。
ここで、基金の状況を見ておきましょう。
貯金にあたる財政調整基金はほぼ一貫して増えています。
減債基金もほぼ右肩上がりで増えています。
特定目的基金については逆に減少基調です。
来るべき将来の事業に対する資金的手当てを実施しているものと考えられます。
なお、仙台市の特定目的基金の主なものは以下のとおりです。
・高速鉄道建設基金
・市庁舎整備基金
・公共施設保全整備基金
・震災復興基金
・中小企業活性化基金
基金残高について、人口一人当たりに直すと126,497円と類似団体平均の46,758円と比較してかなり潤沢です。
積極的に積立金を積み立てており、その結果が数字になって表れているように思われます。
話を戻して、これらを踏まえて、実質単年度は以下のとおりになります。
こうしてみると、近年では基金の取り崩しも抑えられており、黒字化の傾向のようです。
ちなみに、地方債残高ですが、上下動はあるものの、長期的には減少傾向にあるようです。
なお、仙台市は2011年東日本大震災で大きな被害を受け、震災対応の市債が最大で360憶円近くありましたが、2021年度現在では266憶まで減少しているとのことです。
地方債残高を人口一人当たりに直すと718,579 円と類似団体平均の655,445円より6万円程高い水準となっており、貯金も多いが借金も多いという状況であるようです。
まとめ
仙台市の財政をまとめると以下のとおりと考えられます。
・財政力指数は政令市平均より高いが、経常収支比率もやや高い。
・将来負担比率は良好
・歳入においては、地方税収は市町村民税も固定資産税も伸び悩み傾向
・直近では地方交付税等の伸びが大きい
・歳出においては、義務的経費の経常収支比率はやや高いものの、高齢化率が比較的低く、生活保護も少ないため、扶助費は安め
・物件費は比較的高いものの、補助費や繰出金は高齢化率の低さ故か、比較的少ない
・実質収支は一貫して黒字
・実質単年度収支は近年黒字が多い
・人口一人当たりの基金積立額は多いが、地方債残高も人口一人当たりの金額は高い
高齢化率の低さにより、扶助費等が比較的抑えられているものの、仙台市とてゆくゆくは高齢化の波が訪れ、大きな財政上の負担となることは避けられないでしょう。
また周辺自治体への人口流出の可能性についても、やや警戒しなければいけません。ドーナツ化現象が進めば都市の魅力が損なわれ、税収減にもなりっかねません。
そうなる前にどのような対策が打てるか、いかにして歳入を増やすか、まだまだ財政上の無駄はないか、これらに対して維新の候補者が魅力的な提案ができれば、恐らく良いはいけるのではないでしょうか。
特に人件費については
統一地方選前半戦では、関西以外では、県議選と政令市議選では大きく明暗が分かれたように見えます。
県議選が苦戦した一方、政令市議選は比較的好調であったことを考えると、仙台市議選には期待できる部分もあり、これは東北地方で存在感を高めるチャンスとも言えます。
是非、良い流れに乗ってほしいと願っております。
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