過去の出来事をプラスに(精神疾患編)③
「お前、社会人をなんだと思ってるんだ!!!」
朝から怒号が響き渡る。
無理もない・・・。
これで今週は寝坊での遅刻が3回目。
今まで、寝坊なんてほとんどしたことがなかったのに。
あっても年に1回で、しかもその1回があると、
「事故にあったのか、病気で倒れたのか・・・。」
と、周りを不安にさせることがほとんどで、
寝坊と伝えると逆に「ほっ・・・。」と、安心させるくらいだったのに。
なぜ、こんなことが起きているのか。
理由はただ一つ。
「睡眠導入剤と抗うつ剤の影響」
とにかくクスリを色々変えたが、体に合わないのである。
最終的には半分や4分の1に手で割ることで1回分の量を減らして
飲んでみてはいたが・・・それでも効きすぎてしまう。
これが仕事の時だけでなく、休日もそう。
その結果、たくさんの人に迷惑をかけて、心配をかけてしまっていた。
薬物依存症から抜け出すキッカケ
とにかくどうすればいいのか自分でも分からなかった。
クスリを飲まないと今度は寝れないし、
飲むと朝起きれなくなるし、
どっちを優先してもうまくいかない。
まぁ、結局、怒ってくるのは直属の上司ではなく、
複数の開発チームのテスト部隊が集結する部屋のドンの上司が怒るだけで、
直属の上司は自分の精神疾患は理解してくれているから、
朝の怒号だけとにかく耐えれば、、、うん。
ただ、どうしても蔑ろに出来ないことがあった。
ケース① 友達との約束
その日は年に一度の鈴鹿8耐がある日。
前日、職場のレース好きの同期の友達と一緒に行く計画を立てて、
朝迎えに来てくれることになった。
道が混むから朝の7時に来るとのことだったが・・・
起きた時、携帯には着信が10件以上・・・。
時間は9時だった・・・。
「・・・やってしまった。」
びくびくしながら、電話をかけた。
「お〜、大丈夫か?クスリで起きれんかったか〜。」
「外で待ってるで、ゆっくりおいで〜。」
なんと、その友達は2時間、自分のことを心配して
待ってくれていたのだった。
びっくりした。
もうすでに置いていっていると思った。
と、いうか、すごい怒られると思った。
あまりに衝撃的すぎて、正直言葉をなくした、そんな日になった。
ケース② 先輩との出来事
他部署の先輩から、サーキットに自分のバイクを持っていって、
一緒に走ろう!と誘われた。
その先輩は鈴鹿4耐に出場経験のある先輩。
自分も趣味で同期の仲間と車体を共有してミニバイクレースに出ていたが、
とても人様に見せれるような走りではなかったため、
最初は乗り気ではなかったが、自分のバイクではまだサーキットを走ったことがなかったので、
ご一緒することとして、前日に先輩のハイエースに車体を積んで帰宅。
案の定・・・
私はまたやらかしてしまった。
時計は今度はもう10時を回っており、さすがに先輩は先に向かっていた。
恐る恐る電話をかけたところ・・・・
「大丈夫〜?無理しなくていいから、もし来たかったらおいで(^^)」
と、言った感じ。
自分はさすがにドタキャンはまずいと思い、支度をして自分の車で出ていった。
そして、サーキットでは何事もなかったように接してくれて、
それぞれの車で帰路に向かったのだが・・・
途中で先輩から止められた。
自分の運転が完全にふらついていたのだ。
「無理せず休んでいこう。」
焦る自分に「そうしたら20分だけ休もうか。」
と、言ってくれて仮眠をしていると・・・
気づいたら40分以上経っていた。
「OK!じゃぁ行こうか!」
また先輩は気にせず先導してくれていた。
夕日はすでに沈んでいた。
ケース③ 親との会話
長期連休、実家の埼玉に帰省することとした。
すでに精神疾患を患っていることは伝えてある。
夜、母親と1階の居間で談笑をしていた。
最近あった出来事、埼玉の家族の近況などなど・・・。
意外とこういう時間は結構好きだったりする。
自分の部屋は昔から2階にあり、今でもありがたいことに最低限の寝泊まりはできるようにしてくれている。
クスリを飲んで、小一時間ほど談笑していた時にふと、それはやってきた。
「(なんか・・・頭がぐわんぐわんする・・・)」
実は今まではクスリを飲んでからはすぐに寝ていたので、
実際にクスリを飲むとどうなるのか?の体験は薄かったのだ。
「・・・やばい。なんか変だわ。」
もはや立つことも出来ない。
急な変化に驚く母親。
そこからは四つん這いとなり、まるでゾンビのように這いつくばりながら階段を上がっていく状態。
四つ足でズリズリ上がっていく自分を後ろから母親が滑り落ちないように構えている状態で、なんとか自分の部屋のベッドに辿り着いた。
ベッドに入った瞬間、母親が布団を勢いよくかけてそのまま睡眠に入っていった。
翌朝、昨晩のことが衝撃的すぎて、少し動揺している気持ちを抱えながら
居間に向かうと母親がいた。
「昨日はびっくりしたね〜。笑」
「あんなになるんだね、すごいね、クスリって。笑」
母親は笑い話にして吹っ飛ばしていた。
それが自分にとってはありがたかった。
深刻に捉えられていたら責任感を感じてしまうから。
「(この話はいつかネタになるな笑)」
当時、そういうふうに切り替えれたことで事実、今や"良いネタ"として
使わせてもらっている。笑
こうして、当時の自分はたくさんの人におんぶに抱っこ状態になりながら過ごしていた。
これらのエピソードを経たある日、
ついに自分はあることを決心する・・・。
続く。