サブカル大蔵経410 さいとう・たかを/原作 戸川猪佐武『歴史劇画 大宰相 第七巻 福田赳夫の復讐/第八巻 大平正芳の決断』(講談社文庫)
総理大臣辞める辞めないで漫画二巻分。ひたすら、総理側と、総理を降ろそうとする勢力との攻防を描く。本作品では皆、総理を降りてから急に元気になる。
電話とタバコと密会。足を運ぶ。それが政治。大平いうところの低レベルで馬鹿馬鹿しいけど、何故か今の政治環境より健全な感じがします。今の時代だからこそ読んでほしい傑作。解説の福田康夫、玉木雄一郎も適任で読ませる。そして考えさせる。
見出しは国対委員長・金丸信の睨み!
〈七巻〉
宮沢喜一なども、8月はほとんど軽井沢に逃れていて、大平派の再編成には無関心、ノータッチと言う態度であった。p.52
トロピカルジュースに、片手で読書!
【園田】俺の努力を…福田は認めてはくれんのか!p.102
河野派から福田へ移り、官房長官として支えた園田直が官房長官をクビになる。後任が安倍晋太郎。全く存在感はない。
【金丸】どうも、総裁派閥の器量がないねえ…【二階堂】大平派は戦い方を知らない。p.476
宏池会は当時からこの評価なんてすね。金丸と二階堂という取り合わせも貴重。
【大平】アー、総理大臣として…政治を預かっている身なので…ウー…軽々しく進退、責任については、いえません…p.362
大平さんといえば、「アー・ウー」節。私が最初に見た政治家モノマネはこれかも。
〈八巻〉
【中曽根】…引きどきを
【三木】知らん連中だ…p.249
このセリフ、それまでの展開を考えるとヒドいよ!という感じですが、中曽根と三木の双方がツインシュートのようにシンクロした場面は本書のクライマックスかと。さいとう・たかを先生の構成力に脱帽!
この菊人形衣装は大平の死期を予告?
【伊東正義】政治は哲学ではありませんからねえ…p.384
伊東正義という傑物。大平の盟友。農水省官僚時代に河野一郎農相に楯突いて見込まれるも、河野派ではなく大平派に入る。
大平の語調は"アー・ウー調"になっていた。p.473
あの40日間がこの口調を生んだのか?
【桜内】みなさん、良識をもって行動してください!!p.501
最後は中曽根派から自民党幹事長に抜擢されたチェリー桜内のこの捨て台詞!!これが自民党史のクライマックスか?加藤の乱より読めない緊迫感がありました。こんなことが昔の政治にはあったんですね…。
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