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サブカル大蔵経965『THE世界名作劇場展』
「世界名作劇場展」の図録を古書「駿河屋」で取り寄せました。行きたかった…。編集はちばかおりさん。労作です。
まず、表紙から妄想すると、選ばれたのは、ネロ、パト、アヒルのチーム・フランダース。アロアが不在ということは、ここ天国か?パトは樹に登れないはずだし…。その上にマルコとアメデオ、さらに上にフローネとメルクル。これ、マルコからフローネのパンツ見えるよ。その上に新参ながらもロミオ。右にセーラ、ペリーヌ、アンの最強トリオ。でも、この三人めちゃくちゃ仲悪そう!もうバロン逃げ腰だ。そして中央にラスカルを従えたスターリング。日本アニメーションのマスコットとして会社を支えたラスカルの堂々とした位置に納得。このメンバーなら誰と誰がくっつくのかな?
女 ペリーヌ、アン、フローネ、セーラ
男 ネロ、マルコ、スターリング、ロミオ
やはりこれ、フィーリングカップル四ー四ですよ。
普通に行けば、アメリカ系のアンとスターリング。旅同士のペリーヌとマルコ。ネロを唯一癒せそうなフローネ。そしてセーラとロミオの美形カップルで決まりか。
本書は日本アニメーションの偉人たちを紹介してくれるのですが、番組のテロップに名前の出てくる方ばかりで、襟を正す思いで読みました。
まず、本橋浩一さん。日本アニメーションの設立者でした。「ズイヨーを経て」と書いてありました。「ハイジ」が世界名作劇場に入らないこと、ハイジだけがトライのCMに出ていることを推理しました。
そして、佐藤昭司・中島順三さん。佐藤さんは企画中心に担当。中島さんは音楽に造詣が深く「赤毛のアン」に三善晃を招聘。
さらに各作品解説。メディアやファン目線ではなく、中の人からの言葉が興味深い。
【フランダースの犬】森やすじの温かい絵が悲しい物語を優しく包み込む。p.13
「悲しい物語」と公式も認める。演出は黒田昌郎。「アニメーションは動きで表現したい」p.14
【母をたずねて三千里】高畑演出、深沢脚本が生み出した人間ドラマの傑作。p.19
深沢一夫は人形劇も手掛けていたと。ペッピーノ一座の描写はどうりでリアル。
高畑勲は「テレビアニメーションを芸術の域に高めた」。p.20
日アニとジブリ。どちらの高畑勲。
【あらいぐまラスカル】「実写映画出身の宮崎脚本が、ラスカルとの別れを通じ、スターリングの少年時代との決別を見事に描ききった」p.23
たぶんスターリングはモテたと思う。
【ペリーヌ物語】亡き母の言葉を胸に強く優しく生きる少女ペリーヌ。物語シリーズ最長の53話構成となった。p.27
宮崎晃・斎藤博・関修一のトリオが手掛けたのは、ペリーヌ、トム・ソーヤ、ルーシー。裏名作かと思っていましたが、実はこちらが表だったのかも。と思いました。
【赤毛のアン】おしゃべりで空想好きな少女アンの成長の物語。珠玉のスタッフが生んだ、世界名作劇場の一つの頂点と言える作品。p.29
まさにそのとおりだが、実は、アンに魔法をかけられた人たちの物語なのかも。
【トムソーヤの冒険】「インジャン・ジョーをどう描くかかなり難航したという。」p.35
ハックとジョーの不穏さこそ作品の核。
【不思議な島のフローネ】「キャラクターデザインを担当した関修一はフローネで人間らしい可愛さを表現しようとした。スポンサーには可愛くないということで不評だったが「この絵は動けば可愛い」ということでようやくOKが出たという。」p.39
動く、走るが世界名作劇場の基本だったのかも。
【南の虹のルーシー】オーストラリアへ移民したポップル一家の苦悩を描く。p.40
これも宮崎晃・斎藤博・関修一。
【私のアンネット】心をどう描くか。難しいテーマに挑んだシリーズ中盤の意欲作。p.43
「挑んだ」「意欲作」。うん。ルーシー・アンネット・カトリの三つでチームを作りたい。
【牧場の少女カトリ】少女カトリのサクセスストーリー。斉藤演出、宮崎脚本の隠れた名作。p.46
「隠れた名作」!リアルで観ていた時、カトリに翻弄される男たちが不憫でならなかった思い出があります。
【小公女セーラ】過酷な運命にも優しさと気高さを失わない少女セーラ。「女の嫉妬」をテーマに描かれた学園ドラマ。p.49
公式が「女の嫉妬」と書きましたか。ミンチンとラヴィニアを指すのか。逆にベッキーやアーメンガードが際立ちました。
【愛少女ポリアンナ物語】後期の名作劇場を支えた佐藤好春のキャラクターデザイン第一作。p.54
主題歌問題はノータッチか。
【愛の若草物語】近藤喜文による四姉妹のデザインが魅力。p.56
佐藤好春と近藤喜文。
【小公子セディ】櫻井美知代の描く豪華絢爛な美形キャラの世界。p.58
美形キャラ!たしかにお人形のような印象でした。
【ピーターパンの冒険】動画枚数2000枚以上かけたオープニングは必見。p.61
キャラクターデザインのなかむらたかしは、AKIRA、ウラシマンも担当。
【私のあしながおじさん】アニメソングの女王堀江美都子が世界名作劇場で初めて主題歌を担当。p.64
あしながのキャラも関修一さんですが、今までよりだいぶ写実的な原画でした。
【トラップ一家物語】ロケハンを生かしたザルツブルクの街並みも忠実に再現された。p.67
伊藤主計の美術。
【ブッシュベイビー】少女ジャッキーとブッシュベイビーのマーフィーの絆を描く。シリーズ初のアフリカが舞台。p.69
ジャッキーはいつも短パンでした。
【ナンとジョー先生】シリーズ後半を支えた楠葉宏三、佐藤好春、島田満の三氏が若草物語の続編に挑む。
「挑む」んですよね、名作劇場は。私が大学生の頃リアルに観ていました。主役は完全に「ダンとジョー先生」でした。
【七つの海のティコ】ティコとナナミたちの海洋冒険ファンタジー。p.74
父スコットの声の池田秀一が全てを食った思い出です。
【ロミオの青い空】永遠の友情を誓い合ったロミオとアルフレドと仲間たちの熱き団結の物語。p.78
同人誌人気がすごかった。確信犯だったのかなぁと思いながら観てました。ひとつの集大成ですよね。
【名犬ラッシー】26話で終了となり、クライマックスのラッシーの帰還の旅が駆け足になったのが惜しまれる。p.82
公式よくぞ書いてくれました。当時はラッシーの造形のシュールさが話題でした。
【家なき子レミ】地上波最後の世界名作劇場を飾ったのはp.84
ポリアンナ、あしなが、に続いて掉尾を飾った堀江美都子様。
【レ・ミゼラブル 少女コゼット】BSで10年ぶりの復活を果たした世界名作劇場新シリーズの第1弾。
ここからは見てないというか、放映されてたの知らなかったです。
【ポルフィの長い旅】大好きな妹ミーナを探してギリシャからフランスへ。p.88
これ、ペリーヌと同じ行程ですね。
【こんにちは アン】あの赤毛のアンが幼かった頃の物語。p.90
これも未見なので、見てみたいです。
本書はここまででも盛りだくさんでしたが、さらに、森やすじ、遠藤政治、井岡雅宏、椋尾篁らの垂涎のキャラクターや背景の原画がカラーで紹介されていました。
そして圧巻だったのが、宮崎駿の「アン」レイアウト原画。
ダイアナがナウシカに見える…。p.127
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