サブカル大蔵経247古谷経衡『インターネットは永遠にリアル社会を超えられない』(ディスカヴァー携書)
著者の姿勢や言説に共感していたが、本書は、統計やアンケートの数字のデータによる同じ主張の繰り返しで、少しがっかり。ただ、あらためて当然のことを言ってくれることはありがたい。目が覚めた。YouTubeは借り物だらけの幻想コンテンツだ、もともと活字中心だったネットが動画になってしまったことを嘆く本書は、時代が経つにつれ、過渡期となるのか、重要性を増す本になるのか。
日本人はその圧倒的大多数が物言わぬ沈黙の民であるということだ。p.23
ま、そうですかね…。こないだ町内会の会議に出たら、結構意見出す人いてびっくりしました。その一人がウチの檀家さんでした。普段はおとなしい方なのに…。
日本のインターネット空間は「少数の、熱心なユーザによる声や反応によって閉められがちであり、なおかつ、一部のアクティブで熱心なユーザから発せられる声が反応によって全体の反応からすればかさ上げされている」と言うことだ。p.56
ネット発信者は、ルサンチマンを抱えてますよね。そうでないと、あそこまで書かない。武器のない私が手にした武器。それがインターネットの端末。
「若い人たちは新聞やテレビよりも、インターネットでニュースを得ている」と言うインターネットの情報取捨に関する世界観は、正確に言えば、「若い人たちは新聞やテレビから配信されてくる情報をインターネット上のニュースサイトで閲覧しているに過ぎない」と言う表現が適当になる。p.126
考えたら、そうですよね。取材は難しいですが、もっと全員が発信者になったら、変わるのかな?それでもわざわざ発信する人は少数ですよね。その割合は新聞投稿や交換日記の時代から比べて増えたのかな?
インターネットで世界が拡大する、などと言う言説はウソである。限られた人間の受容力の中で、インターネットの空間はむしろ、同じようなしまう島宇宙の住人同士を結束させ、そしてその島宇宙の世界が「世界のすべて」と思い込ませることによって、逆説的に世界を狭くしている。p.246
たしかに、もうそろそろインターネットとの付き合い方が広がる夢でなく、もっと個人的に、なくてはならない現実的なものになるのかな。遠隔治療とか、自動運転とか。
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