![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/35405515/rectangle_large_type_2_298ccdb872688f3ff17326200d5651a3.jpeg?width=1200)
サブカル大蔵経288グレッグ・イーガン/山岸真編・訳『しあわせの理由』(ハヤカワ文庫)
科学の先の世界。人間が新しい苦しみを持つ世界。SFの生老病死。
SFの短編集。「適切な愛」と「しあわせの理由」が印象に残りました。
その言葉に私は初めて激しく動揺して、そして思った。何がいけないの?p.11
タブーは何故存在するのか。やはり理由はあるんだ。
クリスとはクリスの脳のことだ。p.11
インドの説話にも似た台詞があります。
私は横になったまま何時間も、シーツの端で顔の汗を拭い、体の震えを止めようとしていた。p.28
宿すことによる自分の身体の崩壊感。
私は死も踏みにじったし、母性も踏みにじった。ざまあみろだ。p.32
この部分は、ターザン山本の台詞に似ている。「ざまあみろだ」は、誰に向けられた言葉なんだろう。〈かまって欲しい〉の裏返しか。
私はこの出来事のどこにも本気で感動していない。p.36
バカ負けならぬ、奇跡負けか。
僕は急にめまいを感じて、声を上げて笑った。「つまり、僕が同意したら、大学の倫理委員会が僕の好きな音楽や、好物や、新しい天職を選ぶわけですか?僕がどんな人間になるかを、委員会が決める?」それはそんなに悪い話だろうか?p.391
「倫理委員会」が患者にとってどんな位置づけなのかよくわかるセリフ。
いいなと思ったら応援しよう!
![永江雅邦](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/24100050/profile_e610c1f31d4174340e83f0f015cd1251.jpeg?width=600&crop=1:1,smart)