サブカル大蔵経293東海林さだお『ひとり酒の時間イイネ!』(だいわ文庫)
東海林さだおさんの『丸かじり』シリーズをすべて愛読しているのですが、似てるけど違う体裁の本書はしっくり来なかったです。なぜか。
『丸かじり』では、基本、対象になる食べ物が主役に選ばれ、東海林さんはそれを観察、代弁する立場。その構図が唯一無二で面白い。
しかしルポ系でご自身が主役となると、どうしてもこちら側の方が、東海林さんに大物感を設定して、ドーダ感を感じてしまうのかもしれません。
一人客は、休むことを許されない。常に行動していなければならない。p.14
スズキナオさんも別な本で同じこと書いていたこの一人飲み問題(スズキさんは本書と同じだいわ文庫の東海林さだお『ゴハンですよ』の解説を担当されています)。昔、上野の「大統領」で初めて呑んだ時、文庫本を折り曲げて目の近くまで寄せて読んでいた男の人を思い出します。寄せつけない感じでしたが、あのかたち。
自分のペースで食事ができるときは嬉しい。自分のペースで食事ができないときは悲しい。p.184
『孤独のグルメ』でも同じことが説かれています。やはり、みな思うところは一緒なのかもしれません。
ジョッキだって非日常だ。p.222
たしかに、ジョッキは家にないですね。私、最近ずっとビールを飲まなかったのですが、本書を読んでから、あらためて、ビールがあった、やはりビールがいいな、と飲むようになりました。やはり東海林さだおさんは導かれる善知識のお方です。
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