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サブカル大蔵経906今野真二『戦国の日本語』(河出文庫)
単行本持っているのを忘れて再び文庫版を購入してしまいました。それくらい惹きつけられるテーマと内容であり、文章の展開も水の流れのように澱みない印象です。
発音が「マツタケ」とは限らない。「マツダケ」の可能性もある。p.60
〈戦国の日本語〉という斬新な補助線。
外国語より奇妙で面白くて豊かな、われわれの先輩の日本語。それを外国人が伝えてくれた因縁の不思議に驚きました。
そしてあらためて、室町から戦国にかけての中世という時代の面白さに導かれます。
真宗でいうと、蓮如上人がいた時代の背景を感じながら読みました。どうやって当時は布教していたのか。
紀貫之と本居宣長の「通訳」をすることができるはずだ。p.26
平安と江戸の間。中世人は双方読めるだろうと、大物をタイムリープさせる著者。
そうした強い「意志」によって、過去に書かれた文学作品が現在まで伝えられたといってもよい。p.43
本の凄さより、その本を残したり、伝えようとした人たちの凄さ。
その医療をもって、武家や外国人宣教師とコミュニケートしていくということは、室町時代においては、「異色」のことではなく、むしろそれが室町時代だとみるべきかもしれない。p.90
身分も地域も言葉も越境する曲直瀬道三。大河ドラマ「麒麟がくる」では、堺正章がモデルのような医師を演じてました。すべてを繋ぎ、通じさせる。
その「なぜ?」の答えが「ハ行転呼音現象」だ。p.141
ハ行をワ行で読む方程式。ダイアモンドもダイヤモンドになるのもこの辺りが源。
宣教師の職分には信徒の告解を聴く聴罪師(=コンフェッサン)と、説教をする説教師とがあり、前者においては、方言や卑語なども含む広範囲の日本語を理解できる必要があり、後者においては、上流社会や知識階級の者が使用するような品位のある標準語を駆使する必要があったとされている。p.152
最近傾聴ということをよく耳にしますが、当時の宣教師に聞く専門の方がいるとは。まさにカウンセラーの元祖でしょうか。そして話すための語彙の勉強。『日葡辞書』に納められているスラングと和歌と枕詞の必要性。宣教師の置かれた環境が創り上げた辞書の迫力。
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