サブカル大蔵経593今尾恵介『鉄道ひとり旅入門』(ちくまプリマー新書)
手触りのいい本でした。
地図の著作の多い今尾さんの紀行文。
紀行文で読みたいことは何なのだろう。
著者が旅した過去の風景か。
旅する私たちにとっての今必要な情報か。
作者の思い出話を聞きたくない人もいれば、情報という言葉に、品がないと感じる人もいる。
今尾さんの筆致からは旅情が感じられる。
釧路までの車窓風景は、大袈裟に言うと私を決定的に鉄道旅行に向かわせた原点だったかもしれない。p.204
今尾さんを専門家に導いた根室本線エラい!たしかにあの区間は異質すぎるかも。
日本の鉄道路線の多くは明治から昭和の戦前にかけて建設されている。p.8
百年前のその場所を私たちも乗車することができる。
まさに落合の地名にふさわしい静かな山間だが、なるほど鉄道もここで落ち合っている。芸備線・木次線ともに急行列車が何本も走っていた当時は立ち食いそばの店さえ駅のホームにあった記憶があるが、今や乗り換え客もほとんど見かけない、閑散たる無人駅になった。p.88
備中落合駅の盛衰。それは、日本そのものの姿でもある。
鶴見線、駅名は人名に基づくものが多い。p.122
財閥の集合体。
https://maonline.jp/articles/jr_tsurumi_line202011
乗った翌年の夏にまた奥行臼を訪れた。要するにここが気に入ったのである。p.150
地元の人ですら誰も歩かない道東の道を歩く愉悦。道をひとりじめできる醍醐味。
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