見出し画像

サブカル大蔵経291刈部山本『埼玉「裏町メシ屋」街道旅』(光文社知恵の森文庫)

本当に埼玉でいいんですか!?p.3

板橋しっとりチャーハンを世に出し、ドライブインや定食屋、ラーメン店を考古する探偵、刈部山本さんの地域食文化紀行。川口、西川口、蕨、大宮、川越、行田、熊谷、深谷、秩父。小さくて広い埼玉を丹念に歩いてひたすら食べていく。

「翔んで埼玉」や「陸王」で埼玉に脚光が当たる以前から埼玉本も少しずつ出てきていましたが、おそらく〈観光〉という概念からは最も遠かった埼玉。その埼玉が脚光を浴びるということは、観光の概念も変わる可能性もあるということなのではないでしょうか。東京近郊の地としての文化のあり方の考察としての本でもあります。

私自身は、埼玉県は、八高線に乗った時、少し通ったくらいで、ほぼ未踏地です。母方の親戚や檀家さんの息子さんがいるご縁で少し地名や話を聞いたくらいです。私にとってまだ見ぬ強豪、楽しみな秘境です。いつか行きたいです。

画像1

(川口オート)ソーセージフライ170円を。これまた魚肉ソーセージをただ揚げただけ。このフザけたくらいのシンプルさがたまらない。揚げはかなり薄く、これがもうサクサク。素揚げに近い感覚はよくこのバランスに行き着いたなぁと感心するばかり。p.83

 この描写、なんか嬉しいです。

蕨駅の周辺、京浜東北線沿線屈指のB級グルメタウン。蕨宿は中山道の板橋仲宿に次ぐ第2の宿場町。るーぱん。p.96

 蕨はガラ悪いイメージでしたが…、板橋の次の宿場だったとは…!だからこそ往来も多い街場としての雰囲気と活気が昔からあるのかな。るーぱんも行きたいです。

郊外はラーメンショップで出来ているp.112

 本書の名言

まだまだラーメンショップ、何があるかわからない。ナメんなよ!というメッセージを頂いた気がした。p.133

 店舗ごとに味もメニューもさまざまだという「ラーメンショップ」。チェーン店こその気概。

行田、古沢商店のフライ。1925年、足袋工場で働く女性工員のおやつの時間に出し始めた。(昨年閉店)p.246

 変わらなそうな街でも、そして今まで続いていたお店でも、早く行かないとなくなっていくんですね…。

昔からずっと土地の人によって育まれた文化があった。p.316

 ある意味江戸より古い地域ですもんね。原武史先生の著書で知った出雲と氷川神社の関係地も巡ってみたいです。

この記事が参加している募集

本を買って読みます。