サブカル大蔵経669『証言「機動戦士ガンダム」文藝春秋が見た宇宙世紀100年』(文藝春秋)
文藝春秋とガンダムのコラボは、なんか下品でした。しかしそれこそが〈戦争〉なのかもしれません。アニメ誌で特集される魅力的なキャラクターも、人の思いがあふれた闘いも出てこない宇宙世紀。〈組織〉と〈政治〉に関する事のみが記事の対象になる故、戦士は出てこない。故にガトーもヤザンも出てこない。清々しい。
〈証言〉という冠は宝島社のプロレスシリーズの専売特許だと思ってました…。
主人公たちやモビルスーツの名前はほとんど出てこない一年戦争の記事群。
サイド7は地球連邦の勢力圏に属すとはいえ、疎開地のように扱われてきたコロニーだ。住民に老人や子供が多いのも特徴で、そのような場所でMSが開発されていたとはにわかに信じがたい。p.20
大人のいない翁童の地、サイド7。故に〈人間〉が描かれた。(©︎鎌田東二翁童論)
しかしジャーナリストのK・S氏は資金の流れを追ううち、亡霊と片付けるには怪しすぎる組織的な動きを確信したと言う。p.49
カイはNT研究所を調べてたのか。
〈連邦上層部大鑑巨砲への未練を指摘する〉
もうヤマトの時代から変わったのだ。
〈匿名告発/子どもたちが操る"木馬"〉「ホワイトベースのなかは子どもだらけ」p.60
たしかにこれが一番衝撃的だ。
「アムロ・レイって人、覚えています? 撃墜数2位のエースだったはずが、今ではアングラ誌でしか名前を見ない。連邦がニュータイプは危険だからって幽閉していると言う噂もありますね」(アングラ誌記者)p.68
文春ではなくブブカに載るアムロ。
0083とZの時代。エゥーゴの〈正義〉は描かれない。
〈エギーユ・デラーズ率いるジオン残党 恐怖のコロニー・テロに見え隠れする2人の女の影〉p.70
シーマは実名。ニナはイニシャル表記。ニナ=悪女は文春公認だった。良かった。
〈ホンコン・シティを焦がしたのは情愛の炎?〉p.74
カミーユとフォウのせいで街も市民の生活もめちゃくちゃになったとのこと。サラは見つからなかったのか。
〈AE社会長メラニー・ヒュー・カーバインが牛耳るエゥーゴ私企業の軍閥化を警告する〉p.86
この人とウォン・リーが出てきた時、こんな奴らが味方なのかと衝撃的でした。
グリプス動乱最新考察。壮大なる内ゲバが残した群軍の空洞化p.92
ティターンズ内部の権力争い。そうか、あれは内ゲバか…。
Z Z時代。主役はグレミー。逆シャアに至ってアムロがついに公式に出てくる。
〈元ホワイトベース隊のエースアムロ・レイ大尉[女遍歴]の背後にうごめく思惑〉
「アムロのメカフェチは有名ですからね。いい女とメカがあれば、あっさり軍を辞めてもおかしくありませんよ」(軍事ライター)
ー「週刊文春」です。
「君か。つまらない記事を書いたのは。僕は群を辞めるつもりはないよ」
ーでもチェーンさんと新型モビルスーツを開発してるんでしょう。
「知らない。こっちはロンド・ベル隊の任務で精一杯だ」p.115
チェーンがアナハイムにアムロを引き抜こうと画策しているとの記事。これ、フラウも読んでたのかなあ。
〈アナハイムエレクトロニクス社は金のために戦火を広げる"死の商人"だ〉p.124
本書の主人公はAE社でした。
〈シリーズ都市探訪・激動の街ダカールを行く〉p.132
ぶらりダカール