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サブカル大蔵経691黒木ユタカ/小宮山雄飛『新酒場入門』(マイナビ出版)

東京の酒場というのは、今や東京最大の観光スポットに上り詰めた感じがあります。フランス料理や寿司や専門店よりも、大衆酒場という時代が来てしまいました。

小宮山さんのひとり酒文章が好きです。黒木さんの絵もチャーミングで、手強そうな店をほんわかさせてしまいます。

なぎら健壱『東京酒場漂流記』(ちくま文庫)のイラストと比較すると、こちらの方が笑っている顔が多いかなと思いました。

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本書で紹介されているお店は17店。私が行ったことあるのは、大はし、宇ち多"、こひなた、まるます家、BERGの5軒プラス高知の屋台です。

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北千住【大はし】大量にあるボトルキープのキンミヤ。/僕がオススメしたいのは、名物の煮込みに隠れてしまいがちな魚介系のツマミの数々。p.13.14

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一昨年訪れた時、まず目に入るキンミヤのボトル棚は圧巻でした。ヨーロッパのお屋敷の書庫かと思うくらいでした。お店の雰囲気は明るくて〈教室〉の印象です。

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メニューも煮込み以外に魚介類が多かった記憶があります。すぐ近くに足立区の魚市場があるからだと思いました。

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立石【宇ち多"】煮込みの具はモツのみ!200円?焼酎梅割りがオススメ。ほぼ焼酎。/お客さんは安心して最高の環境で呑めるのです。p.21.23

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現代日本最高の楽園。ファンタジーの世界のようで実在する酒のディズニーランド。一昨年、私は二時間並びましたが、その間注文の仕方の予習をしていました。店に入る前にあんな緊張したことなかったですが、店に入った瞬間、すべてを店に委ねる気持ちにさせてくれました。

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私は入り口近くの席に座りました。家に帰ってから、ここのモツ煮をイメージした煮込みを作るようになりました。味付けは味噌のみ。

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このグラスと梅エキスも取り寄せて家で梅割りを作って呑みました。これはもう究極の飲物だと。しかし、三日目から喉が焼けるようで、痰が絡むようになりました。やはり水や炭酸も大事なんだなぁと思い、今はストップしています。梅割りはやはりあの店でこそ呑める酒なのかもしれません。

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串焼き、シロよく焼き美味しかったー^_^

新橋【立ち呑 こひなた】鯨刺し、このタレが最高!/理想の立ち飲み屋さんです。p.45.46

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ここも一昨年、ここで立ち呑みした余韻がまだあります。居場所というか、止まり木というか。新橋ビルの店の中での静かな居心地。目の前で作っていたポテトサラダ美味しそうで注文しました。もちろん鯨刺しとタレも。アルミ皿の上のキャッシュオンデリバリーも心地よかった。大人のお店。

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赤羽【まるます家総本店】みんな朝から幸せそうな顔して呑んでます。p.64

ここは、従業員の女性たちの迫力。赤羽のアマゾネス国に来たかのよう。店内も皆それぞれの場所で働いていて、客もそれぞれの場所で呑んで、食べ物も皆それぞれという感じで、開放感しかなかった。

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新宿【BERG】新宿というところは大変な所です。/そんな流れの中、足を止めて、ベルクに来たお客様は、勇気のある方々です。p.74

 新宿の良心であり、心臓か。日本で一番外国感を感じるお店でした。ビールとパンが美味しいというありそうで他にない店。

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高知【屋台安兵衛】立ち並ぶブルーシート屋根の屋台に「創業昭和45年」と書かれた赤提灯。深夜を過ぎてるのにすごい人だかり。のぼりには「屋台と餃子とビールは高知の文化です」の文字が。雰囲気はまるでアジアの夜市。p.125

 酒呑みにとっては高知イズベスト。昼から皆呑んでる屋台村、ビニールシートの中の屋台、特産のゆずサワーも美味でした。街全体に呑み助がおもてなしされているような居心地でした。




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永江雅邦
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