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逢いたい菜

娘は毎日大きな籠を背負って、長い長い木の橋を渡って、町にお茶を売りに行っていた。
娘のお茶は風味が良く、町で評判だった。

娘は度々橋の上ですれ違う男に恋していた。
しかし、この橋を渡った先は、茶畑が続くばかり。
一体何処に行くんのだろう?

ある日男が娘に
お茶を少し分けて欲しい
と言った。
娘がお茶をあげると、男は代わりに見たことがない菜葉を娘に渡し
これをお母さんに食べさせるといいよ
と言った。

娘の母親が病気でふせっていることを、男はなぜ知っていたのだろうか?

不思議に思いながらも、娘が母親にその菜葉を食べさせると、母親はたちまち元気になった。

しかしその後、男はぱったり姿を見せなくなった。

娘は、その菜葉が自生する場所を探し周り、山奥の小さな社の裏でそれを見つけた。
社には娘の茶葉で淹れたお茶が供えられていた。

娘は、その菜葉を
逢いたい菜
と名付けた。

娘はその後も度々社に行き茶葉を供え、

もう一度男に会えますように

と祈った。

そんなある日…


本文ここまで 410文字

これは、たらはかにさんの
毎週ショートショートの企画に参加したものです。

箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川
そんなふうに言われた大井川。
静岡県のほぼ中央を流れるこの大井川には、世界一長い木造歩道橋として有名な、
「蓬莱橋」という橋があります。

JR島田駅から1.5キロほどのところにあり、幅2.4m、長さ897.4mの橋を渡ると、全国有数の茶畑が広がる牧之原台地が広がっている。

蓬莱橋は、明治12(1879)年に、牧之原台地の開墾の為にかけられた農業用の橋で、現在では数少ない賃取橋です。

昔ながらの風情にあふれる蓬莱橋は、ドラマや時代劇など多くのドラマや映画のロケ地となっているので、見たことがある人もいると思います。

このお話は、そんな蓬莱橋を思い出して作ったお話です。

で、なんでここで終わる?
って感じですが、含みを持たせたようで、実は410文字に収まりきらなかったので…
というのが実際のところです😅

その後、ここで男と再会したのか?
実は男は人間ではなかったのか?
男は実在する人物だが、何者かが男に化けて現れ、2人を引き合わせたのか?
はたまた最後まで男には会えなかったのか?

みなさんはどんなエンディングを頭に描きましたか?
(人任せ 笑)

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