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SUMMER SONIC at its very best....①

1週間以上が経ったのに、まだ夢から覚めることができない。正直今はそんな気分です。

2019年以来3年ぶりに帰ってきたSUMMER SONIC(サマソニ)、間違いなく自分が今まで行った中で一番思い出深いフェスになりました。先日改めて紹介記事を書いたThe 1975がヘッドライナーになった時点で、素晴らしいものになることは確信していました。が、これほど余韻を引きずるものになろうとは……振り返ってみるとただ単に大好きなアーティストをたくさん観ただけでなく、アーティストからもたくさんのメッセージを受け取ったことも、これまでにない充実感で溢れている理由なのかなと思っています。

というわけで今回から2回に分けて、主にフルで観たアーティストのライブの感想を中心に、一生忘れられないものとなった夏の祝祭で体験したことを綴っていきます。今回は東京1日目

The Linda Lindas

記念すべき3年ぶりのサマソニで一番最初に観たのは、平均年齢歳のパンクロックバンドThe Linda Lindas。もうバンド名からしてニヤニヤが止まらない。もちろん由来はTHE BLUE HEARTSのあの名曲。かの有名な図書館でのライブの映像を見てから、いつか観てみたいと思っていました。

いざライブが始まると、みんな年相応の無邪気な笑顔を振りまきながら、とても楽しそうに演奏をしているではないか! 久々のサマソニの一組目ということも相まって、いきなり涙腺が緩んでしまいました・・・
ライブを見て思ったのは、よくよく聴くとTHE BLUE HEARTSというよりは、Hi-STANDARDあたりのメロコア的要素の方が強いなということ。そういえば最初の曲は「Growing Up」ってタイトルだった。(ハイスタの1stフルアルバムのタイトルも『Growing Up』)

とてもいいライブをしていましたが、beabadoobeeをどうしても頭から観たかったので泣く泣く途中で離脱・・・最後にはやはり憧れのTHE BLUE HEARTSの「リンダリンダ」をやっていたそうで! 盛り上がったんだろうな〜

beabadoobee

初日は見たいアーティストの多くがマリンステージに出ており、ここから先見たアーティストは全てマリンステージです。マリンステージで最初に観るアーティストは念願のbeabadoobee。前にやっていたMrs. GREEN APPLE目当てのお客さんが捌けるのに想定以上の時間がかかったのか、定刻の12:40ギリギリになってやっとアリーナに入れたのにはヒヤヒヤした・・・

アリーナに入って5分も経たないうちに、これまた久々なサッシャさんのMCを挟み、beabadoobeeのライブがスタート。1曲目からいきなり「Worth It」! 色鮮やかなギターサウンドは音源よりもノイジーで、かつスタジアムクラスの会場にも合うもの。聴いていてめちゃくちゃ気持ちいいオルタナロックサウンドでした。7月に出したばかりのニューアルバム「Beatopia」からももちろん何曲か披露。特に「See You Soon」の透き通ったサウンドと、Beaのエモーショナルな歌声にジーンときてしまいました。個人的にはThe 1975のMattyとの共作「Pictures Of Us」を聴きたかったのですが、今回はお預け。

今回がファン待望の初来日だったbeabadoobee。キュートな立ち振る舞いも魅力的な彼女は演奏中も結構ニコニコしていて、MCでも「ありがとう!」「愛してます!」と覚えたての日本語を使って呼びかけていた様に、初めて見た人も含めては多くのオーディエンスのハートを射抜かれたの違いないでしょう。無論僕もその一人です。

もっと聴きたい曲がたくさんあるので、近いうちにまた日本ツアーに来てほしい!

Rina Sawayama

beabadoobeeからそのままマリンステージに残り、次に出てくるのはBeaと同じくDIRTY HIT所属、3年ぶりの「凱旋帰国」にして日本での初ライブ、Rina Sawayama。「STFU!」を聴いて衝撃を受けてから、彼女のライブを見ることを本当に楽しみにしていました。

彼女のパフォーマンスはあらゆる面で本当に感動しました。まず一番強く感じたのは、「なんてスケールの大きなショーをやるんだろう」ということ。これはやはりRinaさん本人の圧倒的なカリスマ性からきているんだろうなと思いました。現に彼女の登場の仕方は、かの有名なMichael JacksonのLive In Bucharestの最初を思い起こさせるようで、溢れんばかりのスターオーラを感じました。ステージ上も比較的シンプルで、Rinaさん本人以外にギターとドラム、そしてサイドにダンサーが2名と特段大所帯でもなく、セットもそこまで派手なものではなかったものの、1曲目の「Dynasty」から彼女の世界観に一気に引きずり込まれてしまいました。演奏もかなりロック感強めながらも、90年代J-POP由来の彼女の楽曲のかっこよさが引き立って、踊れる曲はガンガン踊らされました!

そして最後の曲をやる前のMCは、一生心に刻むべき胸が熱くなる内容でした。

私はLGBTのBのバイセクシャルで、すごい誇りに思っています。
しかし私がここで同性婚をしようとしたらできないのです。
なぜなら日本では(同性婚は)禁止されています。
(日本は)G7の中で唯一、同性婚や差別禁止法がない国です。
I’m proud to be Japanese. だけど、これはすごく恥ずかしいことです。
私と私の友達、Chosen Familyが平等な権利を得るべきと思う人は、
皆さん、私たちと私たちのために、闘ってください。
LGBTは人間です。LGBTは日本人です。
愛は愛、家族は家族です。
一緒に闘ってください。よろしくお願いします。
SUMMER SONIC TOKYOでのMCより筆者書き起こし・調整

海外ではアーティストが政治的・社会的なメッセージがこもった主張をステージからするのは日常茶飯事で、配信も含めてよく見る光景でした。しかし、日本の主要フェスのメインステージで、LGBTQ+の当事者として世界で活躍している日本人アーティストの口から語られる魂の主張の説得力は凄まじく、堂々と自信をもってステージから訴える姿に思わず涙が出てしまいました。からの最後にやった「LUCID」と「Free Woman(Lady Gagaのカバー)」は本当にカッコよかった….

とにかく色々な感情が駆け巡るパフォーマンスでした。来年の1月には単独ツアーで帰ってくるとのことなので、こちらも必ず行きたいと思います。

ちなみにライブ直後、Maneskinを見るまでの間にRinaさんのサイン会に参加しました!たった一言「ライブカッコよかったです!また行きます!」としか掛けられませんでしたが、近くで見るとやはりスターのオーラが半端じゃなかったです。


Måneskin

サイン会後、しばしの休憩を挟んでマリンステージに戻り、お次は待望のMåneskin! Maneskinを初めて知ったのは今年のCoachella。画面越しでも伝わる強烈なキャラクターと、70年代のハードロックバンド顔負けの骨太ロックサウンドで一瞬にしてハートを掴まれたのを覚えています。そんな今世界で一番勢いのあるバンドの初来日、生で見たらきっとやばいんだろうなと心を躍らせていました。

実際、とにかく1曲目「ZITTI E BUONI」からやばすぎました。こんなストレートなロックンロールをやるバンドに合うこと自体も、それをライブで味わうことも久しぶりすぎて、終始アドレナリンが出まくりでした。ライブで聴くと結構Damianoのボーカルって本当に独特。いわゆる「しゃがれ声」に近いんですけど、それともまた違う感じで、カッコよさもセクシーさも兼ね揃えている。本当に彼にしか出すことのできない唯一無二のボーカル。そこにThomas、Victoria、Ethanの盤石な楽器陣の演奏が加わったら、最強の他なんでもない!サウンドもハードロックがベースですが、とにかくポップさと踊れることを重視した感じがライブになるとより盛り上がる要因なのかなとも思いました。こういった音楽を同期なしの生バンドでライブやれるのって、今結構限られていますよね。そういう点でも彼らが2022年にこういった音楽で世界を熱狂の渦に巻き込むって本当にすごい。個人的には終盤にThe Stoogesの「I Wanna Be Your Dog」やってくれたのがめちゃくちゃ嬉しかった! 割と原曲通りでリスペクトを感じるいいカバーなんですよね〜

あと、何よりも4人の佇まいが最高でした!どこまでいってもフラットな4人の関係、ジェンダーレスなファッションは音楽と並びMåneskinの象徴とも言えるもので、サマソニのステージでもそれを十分に体現していました。その後出演した「スッキリ!」や「news zero」でもこの辺りの彼らのこだわりを熱く語っているのも印象的でした。

総じて、ここ数年で最も多くの人に強烈なインパクトを残したことは間違いない、圧巻のライブでした。Ethanが桜が好きと言っていたので、ぜひ桜が咲く頃に再来日ツアーが実現して欲しいですね!

King Gnu

Måneskin観終わった後、万全の状態でThe 1975を見るべく食事休憩を取っていたので間に合わないかなと思っていましたが、中盤の「The hole」をやっている所から観れました!King Gnuは去年の11月にもさいたまスーパーアリーナでのワンマンライブに行っていて、今回が2回目。

やはりKing Gnuはライブになると格好良さが増しますね。メンバー4人の個性が強すぎて、それゆえに多少バランスが微妙な瞬間もあるのですが、ここまでまとまった演奏ができるのは流石の一言。Måneskin、そしてこの後に控えるThe 1975に挟まれながらも、現行の日本のロックシーンにおけるトップランナーたる、堂々のパフォーマンスでした。個人的には去年観に行った時点ではリリースされていなかった、「逆夢」→「一途」の『劇場版呪術廻戦0』エンドロール完全再現がかっこよくて最高でした。

何人かTwitterのフォロワーさんも言ってましたが、音響のレベルがかわいそうだったのでなんとかしてあげて欲しい…..

The 1975

今年のサマソニ、最大の目当て。そして、彼らにとっても2年半ぶりとなるライブ。ライブでこんなに緊張したことあるっけ?というくらいにはめちゃくちゃ緊張しながら、その瞬間が来るのを待っていました。

暗転しライトが上がると、そこにいたのは前回サマソニ(MUSIC FOR CARS TOUR)にも参加していたサックスとキーボードの2人のシルエット。いつものアルバム1曲目にあたるインストのSEはなく、ゆったりとしたサックスとキーボードの演奏にはじまり、ついにあの4人がステージに……スーツ姿で3年前と比べて大人な雰囲気が漂うThe 1975の面々は、さながらThe Beatlesのような圧倒的なオーラを持ったロックスターだ。Mattyがタバコを吹かしてからはじまった待望の1曲目はなんと「If You're Too Shy (Let Me Know)」!!!! 図らずもコロナ禍のサウンドトラックとなった『Notes On A Conditional Form』から、しかも最高に踊れるこのポップナンバーから始めるとは……止まっていた時計がついに動き出したような気分で、一気に正気を失いました。

この日はMCでMattyが言っていた通り、「グレイテスト・ヒッツ」なセットリストで、The 1975の代表曲を惜しげもなく畳み掛けてきたのでずっと狂っていました。笑 これまで終盤にやることが多かった「Chocolate」がいきなり3曲目にくるという攻め攻めな位置にもってきているあたり、The 1975の本気を感じました。10月に出るニューアルバムからも「Happiness」だけでなく、まだリリースしてない「I’m In Love With You」まで聴けたのが本当に嬉しかった。未発表曲を世界の誰よりも先に聴けたという特別感をThe 1975で味わえる幸せ、しっかり噛み締めていました。

そして演出も前回と比較して非常にシンプルで落ち着いたものになったのも印象的でした。何というか、色々な人が口にしていましたが、本当に映画みたいでしたね。バックに映し出される映像は余計な小細工が一切ない、モノクロのThe 1975とサポートメンバーの面々。前回みたいに双子のダンサーもいないし、映像のバリエーションがあるわけでもない。しかし、緩急のついたセトリの流れも相まって、まるで一本の映画を見ているように没入感がすごかったです。

個人的には「Love It If We Made It」からの一連の流れで、完全にトランス状態になってしまった。コロナパンデミックを経てもなお、ロシアによるウクライナ侵攻、アメリカでの中絶違憲化、日本でも首相経験者が教団に倒れたり、カルト宗教の問題が明るみに出たりと、以前にも増して世界全体が混沌とカオスに満ちて暗い方向に向かっている状況で聴く生演奏の「Love It If We Made It」の破壊力。コロナ禍で今まで以上に社会情勢に敏感な体質になってしまった自分にとってこれ以上刺さるものはなく、この日一番鳥肌が立って思わず天を仰いでしまいました。

そしてクライマックス、「Sex」で「あー終わってしまう…..」と寂しさに襲われたところではじまる「Give Yourself A Try」の流れ。2013年のサマソニで観た伝説のLinkin Parkの「Bleed It Out」→「Faint」で味わったそれに通ずる精神の昂りを感じました。ずるい、マジでずるい。こんなのやられたら盛り上がらないわけがない。そして演奏が終わると同時マイクを投げつけてステージを去っていくMatty、それに続くGeorge、Adam、Ross、そして打ち上がる花火……もう完全な放心状態でした。

本当に歴史的で、とんでもない瞬間を目撃した90分でした。2年半ぶりでただでさえプレッシャーがあるであろうライブを、母国イギリスから遠く離れたここ日本でやってくれたThe 1975。無事に僕の生涯ベストライブが更新されました。ありがとう、The 1975。来年の春また会おう!



2日目に続く・・・

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